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53 片鱗(正義視点)

(いてててー。くそー、巧魔っちめー)


俺は服をめくって身体中に出来た痣を確認しする。脇腹、腕、脚。至るところに痣が出来ていた。巧魔っちには強がりを言ったが、50体もゴーレムを同時に出された時には肝が冷えた。そんな数避けきれる筈もない。あんなの反則技だ。


 最後の風魔法は危なかった。まるで鉛の塊をぶつけられたような衝撃。異能を発動しなければ今日1日飯が食えなくなるところだった。


 エマっちに聞いていた通り――いや、それ以上の実力だ。


「いやー、次戦うときは苦労しそうだな」


「勝てないかもしれませんよ」


ぎょっとして振り返ると、にこにこと頬笑むエマっち立っていた。……額に青筋が浮かんでいるのはきっときのせいだろう。


「まったく。探しましたよ」

「やあ、エマっち。気配を殺して背後に立つのは止めてくれるかなー」

「以後気をつけます」


 エマっちはしれっと答えた。恐らく気を付ける気はない。


「俺っちが負ける訳無いだろう。『東の守護神』だぞ、俺っちは」

「何故、勝利条件を「触れた方の勝ち」にしたんです? 身体強化を使う国王様に随分と有利な条件ですが」

「いや、身体強化は使わずに勝つつもりだった」

「でも使いましたよね」


 くそー、バレてるよ。何処で見ていやがったんだ。


「ほ、本気出して無いし」

「それは巧魔くんも同じです。知ってましたか? 巧魔くんの得意魔法は火属性です。中には広範囲を焼き付くす改編魔法もあるとか」


 ぐう。広範囲魔法か。苦手だな。


「ほ、本気で逃げればなんとか」

「まあ頑張って下さい。――ところで」


 エマっちの額に先程から浮いていた青筋がいっそう太くなる。怒ってる。凄ーく怒ってるなあ。


「私の机の上に置いてあった書類は何でしょうか?」

「知らないなー」

「ほう、知りませんか。あなたの筆跡で『探さないで下さい』と書かれた置き手紙がありましたが……」

「……」

「このくそ忙しいときに城を抜け出して油売ってんじゃねえ!! どんだけ探したと思ってんだ!」

「わお、国王に対してなんて言葉使い。俺っち傷ついちゃうなー」


 ああ、これでまた城での退屈な時間が始まるのか。


 ぎゃあぎゃあとわめきたてるエマっちの言葉を聞き流しながら、俺っちは小さくため息をついた。

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