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SSSランクのゴーレム使いは静かに暮らしたい。のに、国家という名のブラック企業が、俺をスカウトしようと躍起になっている。  作者: 堀籠遼ノ助(ほりこめりょうのすけ)
第三章 幼少期は修業の日々~If you can dream it, you can do it.~

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52 焚き木の音

「ほおれ、何時まで寝とるんじゃ。もうワシの足が痺れてもうたわい」


 俺は鈴音の声で慌てて起き上がった。ここは食事をしていた豚狩村の広場だ。あたりはすっかり暗くなっている。どうやら俺は、鈴音に膝枕をされて寝ていたらしい。


「あれ、正義さんは?」

「正義ならとっくに龍都へ帰ったぞ。正義から伝言、『また会うときまでに強くなっておいてねー』だ、そうじゃ」


 そうか。俺は負けたのか。くそ、勝ったと思って油断してしまった。これではまたあの時の繰り返しではないか。


「主……。そうしょげるでない。主と正義とでは戦いの年期が違う。それに、主はどうせ手を抜いておったのじゃろ? 主のスキルは戮に対するものばかりで、制圧する為のスキルは作っておるまい」

「それは、正義さんだって同じだ。本気を出していたとは思えない。今回は完敗だよ」


 制圧用の魔法を作っておかなかったのは今回の一番の反省点だ。戮の事ばかりを意識しすぎて、頭から抜け落ちていたようだ。今後も、殺さずに倒さなければならない場面は多くあるだろうし、さっそく明日からプログラミングに取り掛かろう。


「……ところで、前から気になってたんだけど、鈴音は正義さんの事を前から知ってるの?」

「ん、答えられん」

「答えられないって……ん?」


 鈴音が何かをお尻に隠すしぐさをした。なんだろう。怪しいな。


「鈴音……、それちょっと見せ――」

「違う! これは口止め料では無いぞ! さっきそこで偶然拾ったんじゃ!」


 鈴音が慌てた様子で両手をばたつかせていいつくろう。こいつは年寄りなんだか幼いんだかわからなくなる時があるな。

 ばたつかせている手には、何やら細い木の枝のような物が握られている。マタタビのようなものだろうか?


 まあ、いい。正義さんは『またあとで』と言っていた。焦らなくても、また会うことになるだろう。


 俺は持ち上げていた頭をボフっと、鈴音の膝へ戻した。

 未だ豚を焼いていた火が残っているのだろうか。薪が爆ぜるような音が、かすかに俺の耳に届いたような気がした。

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