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42 逢魔乱舞

 ーーチッ、鈴音の陰()か。


 地面を蹴って後方へ。

 俺を追って延び上がる鋭い陰。

 と、赤い塊が陰に集結し、爆発。陰が霧散した。


 俺は爆風に乗って大きく後方に飛んだ。


 デキム・ファイアーボールは防御用の魔法だ。今、俺の周りには常に10個のファイアーボールが廻っており、範囲内に攻撃対象が入り込むと自動で迎撃する。


 着地と同時に次の詠唱を開始する。


『――私は魔法を行使する

 デキム・ウォータ』


 俺が手のひらを前に出すと、10の水の玉が出現。

 ふよふよと陰に向かって進んでいく。


 陰は警戒をしていないのか、無視をして俺を追ってくる。


「残念。それは悪手(あくしゅ)だな」 


 陰が水の玉の1メートル以内に入る。と、水の玉の自動迎撃プログラムが発動。一斉に放たれたジェットウォータに貫かれた影は、暁に溶け込むようにして消えていった。


「主、後ろに多数! 気を抜くな!」


 見ればそこにはざっと20以上の陰。狼型だ。


 バックステップし、詠唱。


『――私は魔法を行使する

 デキム・ウィンド』


 10の風の刃が走り、それぞれの対象へ襲い掛かかる。

 風の刃に次々に霧散していく狼の陰。刃は2~3の影を破るまで止まらない。

 あっという間に後方にいた影は壊滅した。


 が、影は陽が沈まない限り湯水の如く沸いてくる。

 すでに先ほど倒した集団よりも、さらに多くの陰が出現していた。


「今日は随分と数が多いのう。手伝うか、主?」

「いや、大丈夫」


 俺は先日プログラミングした新しい改変魔法を試してみることにした。


『――私は魔法を行使する

 イクス・プロ―ジョン』 


 出現した焔の玉はみるみる大きくなっていく。

 直径60センチを超えたところで陰に向かって発射。放物線を描いて

 集団の中心へ落とされる。


「なんじゃその馬鹿みたいにデカいのは」

「鈴音、ちょっと離れたほうがいいぞ」


 鋭い閃光が瞼を焼く。

 次に体の芯に強い振動。遅れてあたりを(つんざ)く音がやってきた。


「フギャ?! 馬鹿もの! もっと早く言わんか!」


 差すような熱風が俺の肌を焼いた。

 集団になっていた陰は綺麗に霧散していた。

 イクス・プロ―ジョンはファイヤーボール20個分を一つに纏めた改変魔法だ。発動した効果は見ての通り。直径12メートルを跡形もなく焼き尽くしてしまう。


(効果は上々だな。これで戮対策がまた一つ増えた)


≪補助スキル『詠唱宣言省略』を取得しました≫


 ん? なんだろう。コン先生が何か言ったな。


「ほれ、ボーとするな。まだ陽は落ちておらんぞ」


 俺はコン先生の報告を頭の片隅に追いやり、残った陰の残党駆除に意識を戻した。

やっと4章に入れそうな兆しが見えてきたぞ。想定よりも3章が長くなってしまいました。

全部猿彦のせいだな、うん。

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