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37 巧魔の怒り

「わわわわ! オヤビン、さっきの奴よりでかいよ!」

「う、狼狽えるな小夏! どうせ見かけ倒しだ!」


 二人は赤武者を警戒してか、体を縮め込むように身を寄せあっている。


「さっきの奴、とは? あなた方は魔女邸の方からやって来ましたね。……あそこで何かしましたか? もしそうであれば、この村からただで帰れるとは思わない方がいい」


 ゴーレムが警告を発する理由は2つ。武器を使用した恫喝や、障害行為だ。前者であればまだ良いが、後者であれば許すわけにはいかない。


「偉そうな口を叩けるのも今のうちだぞ! 俺様は豚狩村の英雄、豚助! 第4()(うさぎ)と契約をしている異能者だ!」

「小夏はうさぎだよ!」

「どうだ恐れ入ったか? だかもう遅い。俺様になめきった態度をとった罰だ! 俺様の異能の力で、お前を地面に這いつくばらせてやる!」

「やっちゃえオヤビン!」


 豚助はそう言うと、短刀を抜き放った。


 やはり契約者か。


 あらためて小夏の服装を見る。

 まるで浴衣のような服を着ており、白を基調とした薄手の服にピンクの帯。服には子供らしい赤や黄色の水玉模様がはいっている。

 このような服を着る者はこの世界では滅多(めった)にいない。俺が知る限り鈴音一人だけだ。つまり、あれは鬼だけが着る服、(おに)装束(そうぞく)で間違いない。


「一応聞いておきますが、武器を納めるなら今ですよ?」

「ぬかせ! かかってこい!」


 いいだろう。とりあえず、殺さずに取り押さえる事にしよう。魔女邸で何があったのかも気になるしな。


『赤武者、制圧モードへ移行』


 赤武者が命令に反応して起き上がる。


「お、オヤビン降参しようよ」

「小夏、隠れてろ! 俺は負けん!」


 赤武者の制圧プログラムはもう走っているのに、そんな悠長(ゆうちょう)に話していて大丈夫か?


 すると赤武者はグッと膝を折り、跳躍。

 一瞬で豚助との距離が詰まる。


 赤武者の体当たりだ。もう避けられるタイミングではないな、と思っていると豚助の姿が()き消え、敵を見失った赤武者は辺りをキョロキョロと見渡す。


(ばかな? まさか戮と同じ能力か?)


「ハー! ハッハッハ!」


 高笑いは上空から聞こえた。

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