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24 従業員

 俺は、とある行商人に貰った腕時計を確認する。

 今は午前7時56分。そろそろ任務を終えたゴーレム達がやってくるころだ。


「では、そろそろゴーレム達が来るころですので、皆さん本日も宜しくお願い致します。くれぐれも怪我には気を付けて作業を行って下さい」

「はいよ! 任せとくれ!」

「はいしょーッス若ダンナぁ!」


 東商店の発展にともない人手が足りなくなってしまったため、何人かの村民さん達を雇い、仕事を手伝ってもらっている。お給料は月額金貨30枚だ。


「こんなに貰いすぎだ」と遠慮されることもあるが、半強制的に受け取らせている。


 どうせお金は使いきれないほど入ってくるわけだし、多めに渡してあげればやる気も向上し、仕事の質も上がる。いいことずくめだ。


 しばらくすると、東商店から下る坂を登ってくる人影が多数現れ始めた。

 いや、人影ではない。ゴーレムが列を成して登ってきているのだ。


 ゴーレム達は一秒も違えない正確さでやって来ると、東商店前の庭にずらりと整列した。そのようにプログラミングされているのだから当然だ。


 その数実に181体。

 

 内訳は、以下だ。


 ・ミドル・ゴーレム(鉄)150体

 ・ミドル・ゴーレム(鋼)30体

 ・サムライ・ゴーレム(弓付)1体


 ミドル・ゴーレムというのは、通常のゴーレムの半分サイズ程のゴーレムだ。消費魔法量も半分で済む。もちろんクラス登録済みだ。


 用途は装備品作成用だ。


 装備品の種類毎にクラス登録しており、今回は鉄製と鋼鉄製の装備品を身に纏ったミドル・ゴーレムがいる。

 鋼鉄製の武器を身に着けているゴーレムは少めだか、その販売価格は鉄製の武器に比べて5倍の設定になっている。


 この世界では、鋼鉄製の武器はドワーフという種族しか作り出せないため、非常に高価なのだそうだ。


「それでは、装備品に傷が無いかチェックをお願い致します」


「あいよ!」「はいしょー若ダンナ!」


 ミドル・ゴーレム達は装備品を造る為だけに産み出された存在だが、それだけではちょっともったいないなあと思ったので、町の見廻りをさせているのだ。


 コン先生に聞いたところ、ゴーレムは命令を達成すると土へ還るのだが、命令が完了していなくても24時間が経過すると魔法力が枯渇して土に還ってしまうそうだ。

 

 逆に言えば24時間は動けるわけである。


 と言うわけで、装備用ゴーレム達の勤務時間は朝10時から翌日の朝9時迄。


 昨日の朝10時に造り出されたゴーレム達が村の見廻りを終え、今帰ってきたのである。


 さて、そろそろ傷のチェックが終わるようだ。


「傷はありましたか?」

「そうだねえ、1体木の枝で擦っちまったような跡があるが、磨けば消えると思うよ。後は全部大丈夫だね」

「こっちは全部大丈夫ッス!」


 うん、今日は問題無さそうだな。


「それでは倉庫に向かいましょう。『ゴーレム、倉庫へ向かえ』」


 ゴーレム達は俺の命令に反応し、倉庫へ向かって整然と歩み始める。

 今のは「命令セット」と呼ばれる能力(スキル)だ。


 3年ほど前、俺がクリエイト・ゴーレムを行った後、コン先生が急に≪新たな補助スキル『命令』を取得致しました≫

と言ってきたのだ。


 このスキルにより、俺はあらかじめ『命令』の言葉をセットしておけば、ゴーレムを精製した後でもある程度行動を制御出来るようになった。初めは1つしか命令を出来なかったが、今では3つの命令をセットすることが出来る。


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