気付いたら婚約破棄を見ていた
”気付いたら婚約破棄をしていた”
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の周り視点です。
それは学園の卒業パーティで起こった。
「ロザリー・ベルレアン公爵令嬢、お前の悪行は全て白日の下にさらされた。
よって、おまえとの婚約を破棄する!」
この国の王子レオポルドが公爵令嬢に婚約破棄を告げている。
この王子、はっきり言って頭が良くない、いや悪い。
「自分の信じた者しか信じない」と言う典型的な人の上に立ってはいけない人物である。
ただ相手の公爵令嬢のロザリーも性格がきついことが有名で、“常に最上を求め失敗を許さない”タイプである。
この者もまた、人の上に立つべきではないタイプの人間である。
そんなキツイ公爵令嬢が婚約者なのだから、王子も息が詰まるのも理解できる。
だが、よりによって
(コゼット・オーランシュは無いだろう!!)
ここに居るほとんどの者がそう思った。
コゼットはコゼットで尻軽女で有名で、夜遊び朝帰りは有名であった。
それを知らないは王子だけだったかもしれない。
王子と一緒にコゼットが入場した時点でひと悶着あると予想は出来たが、ここまで派手な展開になるとはだれも予想していなかった。
だが、その後の展開は彼らの思考の斜め上を行くものだった。
スパーン!!
小気味のいい音と共に、レオポルド王子かもんどりうつ。
王子の胸の位置を支点に一回転半ほど周りそのまま階段下まで転げ落ちたのだ。
(おおおおお、王子に手をあげた!!)
王につぐ権限を持つ公爵の令嬢とは言え、その国の王子に手をあげるのは不忠と言われても仕方がない。
周りの貴族の子息や令嬢はかたずをのんで事の成り行きを見守っていた。
王子は階段の支柱に頭を言ぶつけたのかなかなか起き上がらない。
その場にいるほとんどの者が心配し始めた時、
(あ、起きた。)
よろよとと王子は立ち上がった。
取り敢えず大事には至ってないが、何か様子がおかしい。
「・・・最悪だ、最悪だ・・・。」
コゼットの取り巻きや義理の妹のセシリアが心配そうに見ている。
「では、あなたはそこのコゼット・オーランシュ男爵令嬢を選ぶというのですね。」
ロザリー嬢が涙を浮かべながらレオポルド王子に詰め寄る。
(いよいよ佳境だな。でも王子はあれを娶るのか???)
(そもそも勝手に婚約破棄は出来たっけ?)
ロザリーかコゼットかどちらを選んでも王子には灰色の未来しかない。
誰もがそう思っていた。
「ふん!コゼットの様な尻軽女はこちらから願い下げだ!!」
(!!!!!!!!!)
(すげえ、言い切った!と言うより王子。知ってたのか!!)
(もし判っていたのなら王子はすごい策士なのでは!!)
ここに来て王子の株が上昇する。
「私が何も知らないと思っていたのか。」
王子はコゼットの悪行も糾弾する。
「フェリクスやジョエル、セザール、リシャールと関係を知らないとでも?」
「そ、それは・・・。」
(すげえ、王子、あんたはただ者じゃなかったんだな!)
更の王子の株が急上昇する。
「では、一体誰を???」
王子はため息をつきながら言う
「共に入場してきた令嬢は他にもいるだろう。」
「・・・・・え?」
「私は、このセシリア・オーランシュ男爵令嬢を新たな婚約者に選ぶ。」
「「「「「ええええええええええ!!!!!!」」」」」
それまで沈黙を保っていた一同が一斉に声を上げる。
(すげえ!王子。俺達に出来ないことをサラッとやってのける!!)
(そこにシビ略)(あごがれ略)
ここに来て王子の株はストップ高である。
コゼット嬢は半狂乱になってセシリアに掴みかかろうとするが王子が身を挺して守る。
それを見ていたロザリー公爵令嬢は驚き感心したように考え込む。
(レオポルド王子、今まで頭の軽い愚か者だと思っていましたがここに来てその考えを改める必要があります。)
そうと決まれば話は早い。
ロザリー令嬢は執事を呼びつける。
「セバスチャン!」
「は、ここに。」
「公爵、侯爵、伯爵までのご子息で10歳以下。将来有望そうな人物を選出して頂戴。」
「はつ!仰せのままに!」
(そうよ。理想の殿方は幼いころから教育すべきなのよ!)
その後、この国では貴族階級では理想の相手を自分で作り上げるのが標準になっていったとか・・・。
この国大丈夫か?