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ぼく吸血鬼×サキュバスになる  作者: ぴよーこ
第五章 平穏と不穏
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65話

 視聴覚室は普段学生が使うことのない教室だ。使用する場合は、保健体育の授業でビデオを見たことぐらいしかぼくは経験していない。そんな利用回数頻度の少ない教室にぼくは駆け込み、誰も来ないだろうと思って安心して泣いていた。しかし、そこで鈴木先輩に鉢合わせする状況になってしまった。


 鈴木先輩は学校でトップクラスのイケメン。それだけではなく、性格も優しかった。そんな先輩がぼくのことを好きだったなんて信じられない。今でも好きなのかはわからないけど。

 以前、ぼくは鈴木先輩からの告白を断ってしまったので目の前にいる先輩とは少し気まずい。それに、ぼくは泣いていたので顔をあまり見られたくない。ただ、視聴覚室の出口には鈴木先輩が立っているのでそこを通らなければ出られない。

「鈴木先輩・・・。お久しぶりです」

 先輩に対して顔を合わせずに挨拶をする。とても無礼な行為だとは思うのだけど、告白をされてからは話をしていなかったことと、泣き顔を見られたくないことで直視することができなかった。

「こんなところで何をしていたんだ?」

 教室は薄暗く、ぼくの表情を確認できない鈴木先輩はぼくが視聴覚室にいたことに疑問を掲げている。

「・・・」

「聞いているのか?おい。あ・・・」

 ぼくは鈴木先輩に腕を捕まれ、引っ張られた。そして、鈴木先輩から顔を背けていたのだけど、引っ張られたことにより鈴木先輩のほうを向いてしまった。泣いているぼくを見た鈴木先輩はすぐに掴んだ手を離し、戸惑った様子。

「ごめん。痛かったか?」

「いえ、違うんです・・・」

 ぼくは痛くて泣いていたわけではない。

「大丈夫か?何かあったのか?」

 心の整理が出来ていなく、不安な気持ちで頭がいっぱいのぼくは、心配されたことにより、

「うぅ・・・うあああん」

 また泣いてしまった。


◇◇


 ぼくが再び号泣し始めたので、視聴覚室の扉を鈴木先輩が閉め、誰にも気づかれないようにしてくれた。それから、先輩はぼくの頭を撫でて落ち着かせ、ぼくに何があったのか話せるまで待ってくれた。


「んで、朝比奈と何かあったのか・・・?」

「・・・はい」


 ぼくはタイチとの関係が悪くなって、別れることになりそうなことを鈴木先輩に伝えた。先輩もサクラさんのようにぼくとタイチが別れることを望んでいるのかもしれないと思ったが、そんなことはなく、ぼくを励ましてくれた。


 しばらく教室内は静まり返る。外では部活をする人たちの掛け声が聞こえてきたので、もしかしたらぼくの泣き声も向こうに聞こえてしまった可能性がある・・・。恥ずかしい・・・。


「少しは落ち着いたか?」

「はい。ありがとうございます。これは洗って返します」

 先ほど先輩から頂いたハンカチをバックの中にしまった。ぼくの涙が止まらなく、自分のハンカチだけでは拭ききることができなかったので、先輩が貸してくれた。このまま返すわけにはいかないので、一旦ぼくが預かると伝えといた。

「返さなくてもいいんだけどな。わかった。それより、朝比奈のやつ・・・神崎が泣いているのにあいつは何をやっているんだ」

 鈴木先輩が口にする言葉は荒々しく、ぼくの出来事なのに自分のことのように怒ってくれた。良い人すぎる・・・。

「ぼくがいけないんです。クリスマスに彼氏と会わないなんて普通しないですから」

「もうすぐクリスマスだったか・・・。朝比奈にプレゼントは渡さないのか?」

「あっ。プレゼントとか、用意するんですかね?全く考えてなかった・・・」

 鈴木先輩はぼくの顔を見て笑い、神崎らしいな!と言った。


「鈴木先輩は・・・何をもらったら嬉しいですか?」

「うーん。そうだな・・・。気持ちがこもっていればなんでも嬉しいけど、彼女に作ってもらう料理とか食えたら嬉しいかもな」

「料理・・・!ぼく、こう見えて料理得意だから料理にしてみます!!」

 やり気が出てきた!由里子さんから映画のチケットももらったし、クリスマス会えなかったことを謝って、映画を見に行って・・・それから、ぼくのお弁当をタイチに食べさせてあげよう。うん。このプランいいかも。


 タイチとの仲直り大作戦を想像してにやけているぼくに、

「元気が出たみたいでよかったな」

鈴木先輩が安心した顔で言った。

「あ、はい!ありがとうございます」

「朝比奈が羨ましいな。神崎のうまそうな料理が食べられるなんて」

「そんなこと・・・ないですよ~」

 ぼくは鈴木先輩が褒めてくれたので少し照れてしまい、頬を赤らめる。

「鈴木先輩も今日のお詫びに今度お弁当作りますよ?」

「え?!いいのか!?」

 鈴木先輩は料理食べるのが好きなのかな?ぼくの肩をがっちり掴み、聞き返してきた。

「はい。何のおかずが好きですか?」

「そうだな・・・。唐揚げかな」

 

(ちゃんと覚えとかなきゃね。えっと、クロウの唐揚げっと)


 前にぼくの使い魔であるクロウがぼくを見捨てていち早く逃げ出したことを思い出し、食材の候補に入れといた。


「ほかには何がいいですか?嫌いな食べ物とかあったりします?」

 恩返しに嫌いな食べ物を入れるわけにもいかないので、しっかり覚えておかなきゃね。

「特に嫌いな食べ物はないかな」

「じゃあ、デザートも入れちゃお」

 お米に唐揚げとデザート、それから栄養が偏らないように惣菜も入れとかなきゃね。んーと、肉じゃががいいかな?見た目も重要だから、トマトや、ポテトサラダを入れて・・・あ、でも、お弁当箱に入りきるかな・・・?

「うむむ・・・」

 お弁当のスペースには限りがあるので、全部を入れることはできない。何かを削る・・・?いや、待てよ・・・

「デザートの唐揚げ・・・」

 唐揚げとデザートを組み合わせれば2つのスペースを1つにできることに気が付く。ぼく天才・・・!!それにクロウも揚げられるだけじゃなく、スイーツに囲まれて死んだほうが幸せだよね♪

 

 揚げたてのクロウに溶かしたチョコを周りに付けて冷やす。それからクリームを付ければ見栄えもよくなるし、何より・・・

「おいしそう・・・」

想像しただけで涎が出てきた。ぼくも食べてみたいけど、まず鈴木先輩に食べてもらわないと感謝の気持ちにならない!

「鈴木先輩!おいしいお弁当が思いつきました!」

「お。期待してるわ」

「はい!!鈴木先輩が驚いて言葉がでないほどの料理を作ってみせます!!」


 ぼくは鈴木先輩とお弁当を作る約束をし、時間も気づけば夕方になっていたので帰ることにした。


お久しぶりです。久々に書く小説はなかなか書きづらいですね。

今回は文字数少な目でウォーミングアップ用とします。すみません。


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