46話
ぼくはカーテンの隙間から差し込む光によって目が覚める。
(痛い・・・)
人間ならば、「眩しい!」と言うかもしれないが、ぼくは吸血鬼とサキュバスのハーフなので、日光を浴びると痛さを感じる。寝るときは日焼け止めを塗っていないので、日差しにより皮膚がヒリヒリした。
ベッドから起き上がり、学校用のお弁当を作る。昨日はゲームをずっとしていたので、体がだるい。
(ふぁ~。今日は何にしようかな・・・?)
ぼくは1人暮らしで、ご飯を自分で作ることにしているのだけど、悪魔になってからは食事が血と精気に変わり、学校用のお弁当だけしか作っていない。料理は割と好きなので、お弁当には少し工夫していたりする。
手際よく料理を作り、それを冷ましてからお弁当につめていく。そして完成したのだが、
(少し作りすぎちゃったかな・・・?タイチの分も作っちゃお♪)
タイチと付き合っているんだから、お弁当を作っても問題ないよね?迷惑じゃないかな・・・?あ、でもタイチの好きなおかずを入れてっと。これなら大丈夫かな?
「できた~」
ぼくは小さいお弁当と大きいお弁当の2つをバックにいれて、何も食べずに歯を磨き、日焼け止めを塗る。いつも学校へ行く前に、タイチから血と精気を少し分けてもらっているので、そのお礼にタイチのお弁当作りをしたのだった。
家を出て、タイチと待ち合わせの駅で待っていると、タイチが走ってやってきた。
「遅いですよー!」
待ち合わせより20分も遅れてきたタイチにぼくはそう言った。
「わりい。寝坊しちまった!メール見てなかったか?」
ぼくは自分の携帯を手に取る。画面を見るとそこにはタイチからのメールで「寝坊したから先に学校行っていいよ」と書いてあった。
「ごめんなさい。見てなかったです」
ぼくは携帯をサイレントマナーにしていたので全く気付かなかった。現代っ子としてメールに気づかないのはやばい・・・?
「まあ、時間もないし走るぞ」
「あの、その前に・・・血と精気ほしいです・・・」
ぼくはお腹が空いていたのでタイチにそうお願いした。
「時間ないから今日は早めに終わらせろよ」
記憶のないときのぼくは、血と精気を吸うだけではなく、タイチの頬にキスをしたり、血を吸うと見せかけ、首を舐めたりしていた。遊び心でね。だから、そういうことをする時間はないぞ。とタイチは言いたいんだろうけど、今のぼくにはハードルが高すぎてできません。記憶喪失時のぼくは、そういった積極的な行動をするので、サキュバスなんじゃないかと思った。まあ、サキュバスなんだけど・・・。
人がいない場所で血と精気を吸い、満足したぼくは、タイチと一緒に学校まで走った。
下駄箱で靴を履きかえるときに
「タイチさん。はい」
ぼくは今朝作ったぼくのより大きいお弁当箱をタイチに渡す。
「なんだ。これは?」
「お弁当です。多めに作ってしまったので食べてください。後、いつもごはんありがとうございます」。
「ああ、気にしなくていいのに。まあ、ありがたくもらっとくよ」
タイチにお弁当を渡し、いつも血と精気をもらっているのでお礼を言った。そして、ぼくたちは教室まで走り、なんとか遅刻にならずに済んだ。席に着くと、
「もこさん。おはようございます」
ぼくの隣の席に座る女の子、山本サクラさんが話しかけてきた。
「おはようございます。サクラさん」
ぼくは挨拶を返して、ホームルームまでの時間を見ると、後2分あった。走り疲れたので机に顔を付ける。
「はぁ、疲れた~」
いくら足の速いぼくでも疲れは感じる。2分だけ休憩~。
「もこさん。抱きしめていいですか?」
サクラさんは飛び切りの美少女で、タイチからの話を聞くと、クラスで3番以内に入る可愛さらしいのだけど、そんな女の子がなぜぼくと抱擁したがるの・・・?
「なんで・・・ぼ、わたし?」
美少女にハグしていい?と聞かれ、動揺してしまったため、一瞬ぼくって言おうとしちゃった。あぶないあぶない。クラス内でもぼくが記憶を失っていることになっているので。
「もこさんが可愛いからです」
可愛い子に可愛いと言われると、嬉しいような、悲しいような・・・。そういえばこの学校で1番かわいいのはぼくらしい。他にもっとかわいい子いるのにね・・・。きっとサキュバス効果のせいだろう。
「ホームルーム始まるからまた今度で・・・」
絶対に来てほしいまた今度である。ナンパ男のときとは違ってね。ぼくはタイチと現在も付き合っていることになっているのだけど、これは浮気ではない。その証拠に・・・ぼくは女の子だもん♪ だから女の子同士のハグは平気だよね?(ゲス顔)
先生が来てホームルームが始まり、その後は授業へ。授業を受けている最中に、サクラさんが手紙を渡してきて、「いつ抱きしめていいですか?」と書いてあった。女の子って授業中にこういうことするよね。ちょっといじわるしちゃお。
ぼくは「今ならいいですよ」と手紙に書き、サクラさんに送る。すると、サクラさんが立ち上がり、ぼくに・・・抱き着いてきた・・・。
「サ、サクラさん?今・・・授業中ですよ?」
「今ならいいんですよね?」
この子、冗談通じない?!まあ、先生はまだ気づいてないみたいだから、そろそろ離れてもらおう。
「サクラさん。そろそろ離れてくれます?」
ギュー
離れてとお願いしたのだけど、離れてくれない。なんでだろうね。あはは。はぁ、いつの間にかクラス中がぼくたちを見てる・・・あ、先生も気づいちゃった。
「神崎と山本。あとで職員室こい!」
教師はニヤニヤしながらそう言って、「これで神崎とマンツーマンで授業できる」とつぶやいていた。怖いなぁ・・・
授業を終え、職員室に行くときもサクラさんは抱き着いていたんだけど、この人いつまで抱き着いているんだろう・・・。嫌ではないのだけど周りの視線がすごく気になるので、そろそろやめてほしいなぁ。
ぼくたちは職員室で説教をされ、サクラさんはすぐに解放されたのに、ぼくだけは長く叱られた。うぅ・・・。まあ、ぼくのせいでこうなっているのだから仕方ないと言えば仕方ないのだけど、なんでそれを教師は知っているのだろう・・・。
やっとぼくも解放され、その後の授業も終わり、昼休み。ぼくはお弁当を食べて、みんなから怪しまれないようにしなければいけない。と言っても、ぼくの正体が悪魔だということは、みんなにばれないと思う。「あいつ飯食ってねえぞ!悪魔だ!!」なんて言う人はいないだろうから。しかし、何も食べていないと「もこさんってダイエット中ですか?」と聞かれ、みんなから注目される。それも嫌なので、意味のないご飯の摂取はすることに。まあ、味覚は感じるので、1日1回は人間食も悪くない。おなかは空くけどね。
そんなことを考えながら、ぼくはお弁当箱の蓋を開けると
(げっ・・・)
今朝、学校まで走ってきたせいで、お弁当の中身がぐちゃぐちゃになっていた。
(もしかして、タイチのも・・・?)
ぼくは料理をするのが好きで、腕にも自信があるため多少のプライドを持っている。だから、タイチにこんな料理を見せたくないわけで・・・
「タイチさん!やっぱりお弁当返してください!!」
タイチがお弁当の蓋を開けようとしていたので、すぐ撤収しに行く。
「え?無理。いただきます」
タイチの視界には崩壊しているおかずとごはんが。ああー。見られたあああ。
どうせ、こんな弁当いらないよ。って言ってくるんでしょ? かなりシャッフルされているので、まずそうに見えた。
ぼくが落ち込んでいると
「見た目はあれだが・・・うまいな!」
タイチを見ると、とてもおいしそうに食べている。
「タイチさん・・・。無理して食べなくてもいいんですよ?」
見た目がグロテスクなお弁当をタイチが食べているので止めてみた。
「まあ、なんだ。お前の作る料理は何でも食べるよ」
タイチ・・・。ありがとう・・・。
ぼくは少し涙目になっていた。こんな料理でも食べてくれるなんて、やっぱりタイチは優しいね。
そして・・・
「なんでも食べてくれるんですか?」
「ん?ああ」
「じゃあ、今度ためしに作る、ヨーグルトカレーうどん食べてくれますか?」
ぼくは料理が好きだ。そして料理をするものなら自作料理にあこがれるだろう。ぼくはいろんなことにチャレンジしたいのだけど、作った料理の処理に困っていたのだ。失敗作が山のようにでて、ここしばらく作っていなかったのだけど、なんでも食べてくれるタイチさん♪ならきっと食べてくれるだろう。
「え?それは・・・ちょっと・・・」
「あ、プリンヨーグルトカレーライスのほうがいいですかね?それとも、カレー風ヨーグルトプリンですかね?全部作っちゃいますよ~」
ん?タイチ何か言ったかな?料理の事に夢中になっていて全然聞こえなかった。まあ、「どんなものでもこい!!」ってかっこいいセリフでも言っていたんだろうな。尊敬します♪
タイチが「うあああああ」と叫んでいたのだけど、そんなにうれしかったのかな?気合入れて作るぞ!!
ぼくはタイチがぼくの家に来たときに作る新しい料理を考えるのだった。
すみません><
最近7時更新できないです・・・。
今回は文字数多めにしました。明日もできるだけ7時更新したいのですが、無理だと思います・・・。
ごめんなさい!




