3話×イラスト
なんかいろいろあったけど楽しめそうな気がする。リアルでは大変なことになってしまったのだけど、せめてこっちでは充実した環境がほしいものだ。つまりはある程度ゲームに慣れたら友達がほしい。リアルでも友達はいる。ただ、学校でいつもともに行動する中であってプライベート(学校がない日)では遊んだりしない。そんなわけで、ぼっち生活ではないのだけどリア充と言うわけでもない。まあこんなもんだと思っている。一人だと時間も長く感じるからゲームする訳で。ゲーム内でなら共に狩りをしながら話もできるのでゲームではゲームの友達がほしいのだ。しかし、今は女の身体なんだよね。そこが問題。
あとはギルドにも入りたいな。ギルドというのはどのゲームでもあるのだけど、このゲームはギルドを作ることによって、ギルドの土地が手に入る。その土地を広げるためにはたくさんの資金をギルドに投資するか、戦争をして勝てば相手の土地が手に入る。細かい内容は知らないけど、このゲームの宣伝でやっていたことなのでそこだけは知っている。ギルドに入るときにでも詳しくその話を聞くことにしよう。
(いろいろ考えたところでしょうがないし、まずは街にでもいくとしますか)
見渡す限り草原しかない現在地。どこを目指せば街があるのか。全く分からない。ただ、こういうときってまっすぐだよね?まっすぐいけば着くって迷った人たちみんないってたよね。
そういえばさっきの戦いでレベルあがってないかな?よくあるゲームだとパララリンみたいな効果音と共にレベルアップしているはずなのだけど。
ステータス
プレイヤー名:もこ[Lv2]
種族:吸血鬼サキュバス
HP150/150
MP300/300
力1
魔力13
速さ1000※速さの基準100。
スキル:吸血 誘惑
装備:布の服 古びた腕輪
お!レベル上がってる!ただ、効果音がないってことはこまめに確認したほうがいいってことかなー。新しいスキルが覚えてたら使ってみたいし。とりま、狩りでもしますか。
しばらくここらへんに住んでいる狂犬を狩るのであった。
犬狩りを始め、3時間が過ぎた。奥に進めば進むほど犬の強さが上がっている。見た目が変わらない犬なんだけど犬にもレベルがあった。オプション設定の敵レベル表示で常に敵のレベルがわかるようにしておいた。
目の前の犬を快楽で討伐したあとステータスを開く。
プレイヤー名:もこ[Lv10]
種族:吸血鬼サキュバス
HP600/600
MP1000/1000
力1
魔力40
速さ1000※速さの基準100。
スキル:吸血 誘惑 ブラッドマジック 成長
装備:布の服 古びた腕輪
レベルも10まであげた。3時間で10れべって結構鬼畜ゲーな気がする。もっとサクサク上がるのかと思っていた。でもやりこみ要素があっていいかな。新しく覚えたスキル。実は8れべ時に覚えたスキルである。全スキルを試しにいろいろ使ってみた。
吸血:相手にがぶっ。成功時、ダメージの1%HP回復。使用時MP10消費
誘惑:相手をメロメロにする。成功時、相手はしばらく攻撃できない。♀には効かない。使用時MP20消費
ブラッドマジック:血で作られた魔法。直撃ダメージ=魔力×10使用時MP100消費
成長:ぼんっきゅっぼんな体になる。使用時MP500消費。 成長時、全ステータス10倍。何かしらのスキルを使用すると解除される
とまあ、こんな感じの内容だった。成長は正直強いけど、現段階ではあまり必要ではないかな
いろいろ検証しながら冒険していって今に至る。そして目の前には街が見えてきた。さっそく街に入ろうとしたときそこの兵士に止められた。
「この街に入るには銀貨1枚必要だ。ないのであればそこらのモンスターを倒すとたまにドロップするぞ」
どうやらNPCかな?ギルドが作った街というわけでもなさそうだ。明らかに1日でできる規模の大きさではない。
ぼくはアイテムボックスから銀貨を指定し具現化させる。この方法も検証中に発見した。ドロップしたアイテムは勝手に自分のアイテムボックスに格納される。そして、アイテムボックスから取り出したいアイテムを念じると具現化される。
「これで大丈夫ですか?」
初めて使うお金。一応心配なので聞いてみる。
「確かに受け取った。ようこそ、初心者の街、エネスコへ」
ここの町はエネスコというらしい。そして初心者の街ということからスタート地点からここまでの道はあっていたということか。よかった。
ちなみに今あるお金は銀貨9枚、銅貨40枚。お金の価値がわからないけど、あまりない方だと思う。まだ3時間の狩り分だけだし。とりあいずこのエネスコでフレンドでも探そうかな。せっかくのオンラインゲームなんだしパーティー組んでみたい。騒がしい方にいってみよう。
この町は初心者の街というだけあって見るからに初心者の人が多い。まあ出たばっかりのゲームだから当然なんだけど。それにしてもさっきから視線を感じる。まさかpvp?!いや、街ではpvpできないってチュートリアルでも言っていたし、違うかな。なんだろう。
結論はすぐにでた。たまたま建物の窓が自分の姿を映したときに。
(そういえばネカマというものが存在しないからほかの人はぼくのことを女の子だと思っているのか。しかもこの可愛さじゃ目立っちゃうかな・・・)
すっかり忘れていたことを思い出し、あまり目立たないように騒がしいところに行ってみる。すると、肩に手を置かれた。
「君かわいいね。このゲーム初めて?俺も初めてなんだ~。なんならそこらへんの喫茶店でお茶しない?」
自分イケメンだぜ?みたいなオーラを出しているが正直かっこいいとは思わないそんな人が話しかけてきた。今日発売日のオンラインゲームでそんなことはわかっているはずなのになぜ聞いてくるのか。いわゆるナンパというやつですね。生まれて初めてナンパされたよ。まだゲームでのナンパでよかった。うんうんよかったヨカッタ・・・。今後、リアルでも危ないよね・・・
「おい!抜け駆けはよくないだろ!!御嬢さん。俺とも仲良くしようぜ~はぁはぁ」
少し太った男も絡んできた。正直怖い。誘惑スキル使ってないんだけどなんかこの人はやばい顔してる。狂犬より怖いモンスター初めて見た。
「あの・・・まだこの街に来たばかりでいろいろ見て回りたいので、また今度に・・・」
2度と来てほしくないまた今度。女になるよりもこの人たちと話す方が嫌だね・・・。でも原因は女になったことだけど。
「そういわないでさ~。一人なんでしょ?今後俺らの入るギルドに一緒にどう?狩りも手伝うからさ~」
自称イケメン?がそう言ってきた。ナンパを断るのもめんどくさいんだね。勉強になったよ。
「はぁはぁ」
小太りなモンスターはさっきからはぁはぁしかしてないんだけど大丈夫?とりあいずVRヘッドはずして病院いったほうがいいんじゃない?
周りの人に救いの手はないのかな?と思ったら数人さらにナンパしてきた。
怖いよ・・・
ぼくは初めてゲームで、いや、リアルも含めて怖い思いをした。皆からいやらしい目を向けられているからだ。このゲームにはそういう18Rの方向性は完備されていないのだけど事前に見た噂では五感の触覚が脳に伝わり18Rのようなことも起こってしまうとよそうされていた。つまり、18Rはできないようでできるってこと・・・
ぞっとした。想像したら泣いていた。情けない。元男なのにこんなことで泣いてしまうなんて。いや、元男だから男に18Rされるのも女の10倍は嫌だと思う。
太った男がついに手を伸ばしてきた。もうフリーズしてしまった僕は身動きが取れない。そのとき
「はぁ。めんどくさいけど見て見ぬ振りはよくないよな」
小さく聞こえたその声。ぼくは顔を見上げた。そこにはさっきいなかった男がぼくを守るようにたっていた。
「なんだお前は?野郎には興味ねえんだよ。うせろ」
ナンパ軍団はその男を睨みつける。ぼくのせいでこの人が・・・
「すみません。この人ぼくのリア友なんです。待ち合わせてたので皆様のおかげで会うことができました。ありがとうございました」
そういって僕を守ってくれた男の子を手で引っ張りあまり人のいないところに連れ込む。連れ込むと言ってもサキュバスだから精気を吸い取るってわけじゃないからね?
「助けていただきありがとうございました。本当に助かりました」
感謝の気持ちを言ってぺこりとお辞儀をする。
「いや、俺も君とお茶したくてね」
冗談とわかるようにそう言った彼は照れ隠しがしたかったのだろう。
くすくす
お互いに笑う。良い人でよかった。
「あ、ぼく、もこって言います。よろしければフレンド登録しませんか?」
そういいフレンド申請をする。検証中にどこにあるか確認済みだ。
「俺の名前はタイチ。よろしくな!いいよ。まあ俺はそんなガチプレイヤーじゃないんだがな」
発売日からまだ5時間ぐらいしかたっていないのにこのゲームをやっているということはガチプレイヤーでしょと思った。
「俺も一人で行動してるんだけどよかったらパーティー組んでみないか?ここら辺でパーティーを探そうと思ってたんだけどなかなか見つからなくてな。嫌だったら断ってもい・・・」
「是非お願いします」
ぼくはそういった。この人なら大丈夫だと思ったからだ。容姿もイケメンの部類なのかな?って感じだし。性格もいい。女の子なら惚れてしまうかもしれない。ぼくは女の子だけど惚れないよ?心は男だもの。
こうして、タイチさんと街を観光することになった。
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