21話
ぼくの夏休みがもうそろそろ終わりに近づこうとしている。そのため、やらなければいけないことが出てきてしまう。
ぼくは元男で今は女の子になっている。しかも吸血鬼サキュバス。このことはお姉ちゃんしかしらないので、両親に話をしに行くところだった。
「はぁー」
ぼくはため息をついた。お姉ちゃんが事前にお父さんとお母さんに連絡してくれたみたいなのだけど、息子が女の子になった。というだけならまだ救いなのかもしれないが、吸血鬼サキュバスになっているのだから、「もうお前は俺たちの子じゃない!」って言われないか心配なのである。
「はぁ」
2度目の溜息をつくころには、ぼくは実家についていた。覚悟を決め、ドアを開ける。
「お邪魔します~」
ただいまではなく、お邪魔します。どちらが正しいかよくわからない。
「あら、もこちゃんおかえり♪」
お母さんはママ友の中では1番若いらしい。歳はもう30歳後半なのだけど、まだまだ20代に見える。それから、ぼくのことを男のときからもこちゃんと呼んでいる。男のときは違和感があったのだけど、今はぴったりだね。(悲しみのもこ)ちなみにぼくだと分かった理由はお姉ちゃんがぼくの顔写真をお母さんたちに送っていたからだ。(盗撮)
「お母さん・・・。ぼく・・・」
女の子になって吸血鬼サキュバスになっちゃったよ!と、伝えると、「知ってるよ~。うんうん。写真で見る以上にかわいいね~やったね!!」って言ってきた。え?何その反応?やったね!!ってぼくはやってない!やられたんだよ?ゲーム運営にね。
それからお父さんも仕事から帰ってきて、「よくやった」と言われた。いやだからやったのは運営で・・・もういいや。疲れた。
ぼくはこの両親が異常なのだとその日初めて知ったのだった。
学校については家族で話した結果、転校することに。アツシとユキアとは離れたくなかったのだけど、ぼく的には、二人に女の子になったとばれるほうが嫌だったので。
ぼくの頭の良さは普通ぐらい。アツシよりは少しいいぐらいなので、編入試験では今の学校よりランクを下げなければいけない。つまり、不良のいる可能性の高い学校・・・。嫌だなー。それに、転入生っていじめ対象になりそうじゃない?ぼくいじめられるのかな・・・。
ぼくは今、リアルの友達が由里子さんぐらいなわけで・・・しかも、成長スキル使用時に友達が1人。普通のままだと友達は0人・・・友達作りをしなければいけない。それなのに、いじめの対象を受けたらぼく学校いかなくなっちゃうよ?ずっとゲームしちゃうよ?
ゲームの中ではタイチとマールがいる。だから、ぼくはリアルを捨てることもできる・・・(それは嫌だけど)
ん?待てよ。良いこと考えた!リアルに友達がいなく、ゲームに友達はいる。つまり・・・オフ会すればいいんじゃないか!!なんだ。ゲームからの友達はリアルの友達に入るよね?よーし。タイチとマールにオフ会のこと伝えよう!
その日は実家に泊まることにして、次の日タイチとマールにオフ会のことを話すのだった。
今日はオフ会する日。夏休み残り3日という日でもある。夏休み初めは1か月以上休みがある!!いえいー!って思ってたけどあっという間だった。
そしてぼくは電車から1時間かけて目的地に向かっている。電車では満員で、周りには汗臭いおっさんたちが寄ってきていた。満員なのだけど、ぼくの周りだけなぜか密度が高い。その原因は・・・
(んあっ)
ぼくは電車内ということもあって言葉を押しとどめた。ぼくのおしりを誰かが触っていた。
(もしかして・・・痴漢んっ)
どんどん激しくなる行為にぼくは感じていたわけではないのだけど、勝手に声がでてしまう。気持ち悪い・・・助けてっ!!
周りに助けを求めるように視線を促す。しかし、汗臭いおっさんしか近くにおらず、ぼくの表情を見てにやにやしている。
ぼくのおしりを触っているおっさんが調子にのってぼくのスカートの中にまで手を差し伸べようとしていた。
(そ、それは絶対にだめ!!)
ぼくは力の限りそのおっさんをどけようとするのだけど力1ということもあり、まったく意味がない。それどころか嫌がるぼくを見てますます周りが興奮していた。
現段階好きな人がいないぼく。こういう場面って、普通の女の子だったら心の中で好きな人の名前を叫ぶだろう。しかし、今のぼくは誰の名前も思いつかない。どうしよどうしよ・・・。ブラッドマジック使っちゃう?いや、このおっさんが二度と痴漢できない身体になっちゃうし・・・。それはそれでいいんだけど。誘惑を使うにしても、この満員状態では逆に危ない方向へと向いてしまう可能性がある。まさにピンチです。助けてください。
このままだとぼくはお嫁にいけなくなってしまう。いや、今は女の子だけど、お嫁に行くって・・・。こんなぼくでもお嫁にもらってくれる人はいるだろうか。この周りのおっさんたちはもらってくれそうだけどさすがに嫌だな・・・優しい人が良いな。
痴漢されている状況なのにそんなことを考えるぼく。不純ですかね・・・。サキュバスなのだからいいじゃないか!!いや、よくないです・・・。こんなことを考えていてもおっさんの手が止まるわけでもなく。早くなんとかしないとまずいっ。そのとき
「おっさん。女の子をいじめると捕まるぜ?」
おっさんの手をつかみ満員電車なのにわざわざこっちに来てくれた男がいた。
ドキッ
あれ?ぼく今何を感じた?うーん。よくわからないけど、その男の人はとてもかっこよく見えた。
ぼくを助けてくれた人は少し大きめな声でそう言ったので、この車両に乗っている人がぼくたちのほうを見てきた。そして、居場所がなくなったおっさんたちは
「すみません。お、おります~」
といって電車から急いで降りていった。助かった・・・。
「あの、ありがとうございます」
ぼくは助けてくれた男の人にぺこりとお礼の意味を込めてお辞儀をする。
「気を付けた方がいいですよ。ここの車両、痴漢されやすいらしいですから」
男の人はそういった。しばらく、ぼくたちはお話した。そしてぼくが降りる駅につくと、その男の人もその駅で降りた。
「ありがとうございました。お話も楽しかったです」
ぼくはお礼をいってその男の人のもとを去る。そういえば名前を聞くのを忘れていた。また会えないかなって思ってしまうぼく。
タイチとマールを待っているのだが、人が多くてどこにいるかわからない。VRゲームでは身長と体重は変えられないのだけど髪型などは変えられるので、見分けることが難しい。そのため、ゲーム内でメールアドレスを事前に交換しておいた。
ぼくはタイチとマール2人のグループにメッセージを送る。
もこ:いまどこ?
タイチ:もうついてるんだが、人が多いな
マール:すみません。ついたのですが、人混みに流されて喫茶店の前まで来てしまいました><。
もこ:そこはあまり人いないの?
マール:はい。みたところいないようです
タイチ:んじゃそこ集合でいいか
もこ:わかった!
マール:はい!
ぼくは人混みの中を駆け抜け、無事その喫茶店へと着くことができたのだが・・・
2000文字目安なのに最近2500はいってますね・・・w
ブックマークが徐々に増えてきてすごくうれしいです!ありがとうございます。




