1話×イラスト
ある朝、僕は待ちに待ったVRゲームの発売日だったため、ゲーム屋が開いていないにも関わらず長蛇の列に並んでいた。列に並んでいるほぼ全員がこのゲーム「Your Monster Fantasy」をするために並んでいることだろう。もちろん僕もその一人だ。この列から並び3時間が経とうとしていた。店は開店し、多くの人がこのゲームを購入していく。
このゲームはVRゲーム。つまり、リアルでゲームを体験できる優れた技術で開発されたシステムであり、世界中で注目されている技術。また、今回発売の「Your Monster Fantasy」と言うゲームもかなり期待された作品で、オンラインゲームとしてほかのゲーマーと一緒にプレイが可能というものであった。
「次の方どうぞ」
順番が回ってきたので、財布を取りだしお金を払う。そして、ついにゲームを手に入れることができた。
季節は夏。僕は高1で今は夏休みなため学校には行っていない。普段はちゃんといってるよ?この日のために宿題はすべて終わらせ、ゲームに没頭できるというわけだ。
家に帰り、さっそくゲームをしよう。そう思い、ゲームのセッティングをしていく。
最後に非現実世界でプレイするための最も重要である装置。「VRヘッド」を装着する。VRヘッドは視覚情報をゲームだけに集中させるための装置。まあ詳しくはわからないけど、このヘルメットみたいな装置を付ければゲームができるという訳で・・・
「よーし。できた!スタート」
ゲームを始めるのに掛け声は要らないが、浮かれていたので声に出す。ゲーム内ではさっそくナビゲーターが指示をしてきた。
「名前を入力してください」
キャラクター設定でアバターの次に重要な名前。何にしようかな・・・
僕の名前は神崎もこ。女の子みたいな名前だって?母親がとてもかわいいものに目がないので、そのためかわいい名前を付けられたのだ。両親にはすごい愛されて育った半面、一人暮らししたいと自分から親を説得し、高校からは一人暮らしをしている。まあ、そんな話は置いといて今は名前、名前・・・
もこでいいか
[もこ(使用可能)]
お。使用できそうだ。朝から並んで買い、ゲーム屋から家までの距離も近いため、もこって名前を使用する人もいなかったのだろう。
[次にキャラクターを制作します。このゲームでは性別を偽ることが法律によって禁止されております。そのため、あなた様の性別は女となります]
今の世の中、ネカマプレイが出来ないゲームが多い。その理由はネカマ詐欺によって被害者が多く出たためだ。とくにVRゲームでのネカマプレイはほぼ不可能なはず。僕もネカマをする気はないのでまあ性別を偽ることもないだろう。そう思っていたのだが・・・
(なんで女なんだ・・・)
ナビゲーターの言い間違えかと思い文字画面を見たが、そこにはちゃんと?[女となります]と書かれていた。ふむ・・・おかしい。
(いったんゲームを中止するか)
何かの間違えかな?と思ったためゲームをやり直すことにする。VRヘッドを外し少し喉が渇いたため水を飲みに冷蔵庫まで行こうとした。そのとき違和感を感じた。
(あれ?こんな冷蔵庫高かったっけ?それに胸のあたりが重い気が・・・)
胸を見ると膨らみが。何かの病気だろうか。蜂にさされた感じはないのだけど。
恐る恐るその膨らみを揉んでみる。
もにゅもにゅ
ふむ。痛くはないし大丈夫か・・・って
「大丈夫じゃねえええ」
聞きなれない声。僕と同じことを思った女性が近くにいただろうか。ここは1人暮らししている僕の部屋。つまり僕一人。ってことは・・・
よくあるやつかな?目覚めたら魔法少女になってました的な。なっちゃった。てへぺろ~
まあ僕男なんだけどね。魔法少女は男のロマンなのかもしれないけど魔法少女にはなりたくないよね。
あ、でもゲームが故障していたわけじゃなかったんだね。さっき女キャラ制作しますっていったとき、ゲームが壊れちゃったのかとおもって焦ったよ。壊れてたのは僕のほうでしたか。よかった・・・
「全然よくない・・・」
なにか大事なものを失った気がするが(気のせいではない)とりあいずゲームしよ・・・
この日のために僕はどれだけ待ったと思っているんだ!宿題を終わらせるためにどれだけ頑張ったと思ってるんだ!
今はそんな気持ちで性別が変わったことなんて気にしてはならないのだ。そう思いゲームのある部屋に行く。あれ?さっきまでこんなものあったっけ?僕が手にしたものは取扱説明書。このゲームの説明書かと思ったけど見た目的に違った。ページを開くとそこには・・・
※イラスト書きました(手抜き)by ぴよーこ
※色つけました・・・w byぴよーこ