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第七話

柔らかなベッドに飛び込む。

ポフンッ。


「疲れたなー…」

今日一日は色々あったなあ…と思い返しながら、最後の日課に取りかかる。

「システム、起動」


自分の周りに各種情報が広がっていくのを意識する。

そして一通り治まったところで最後に表示される文字列。


Deep

Uunderground

Natural

Guiding

Explorer

Operation

Network


「ダ…ン…ジョン」

頭文字を繋げ、呟く。

『おかえりなさい、マスター』

俺の心に直接響く声。

「ただいま、ナビ」

このダンジョンのナビゲーションシステムの、ナビだ。


『質問があります、マスター。起動時にマスターの設定された文字を表示していますが、どのような意味があるのですか?』

「ただのオマジナイだよ、深い意味はない。単語の意味も知らないし」

いつか種割れとか出来たらいいなーと思っただけなんだ。


「ナビ、今日の結果を教えてくれ」

『了解しました。本日の侵入者は人間の子供が一人でした』

「対応はいつも通り?」

『眠り蔦と幻惑蝶により、夢と思わせて追い出しています』

「よし、お疲れ様。明日もその調子でお願いな」

『了解しました』


ダンジョン。

それはダンジョンマスターが支配する魔物の住み処の事だ。

その種類は多岐に渡り、自然の洞窟、塔、樹海などなど、あらゆる場所がダンジョンになり得る。

そこに住むものは魔獣やアンデッド、亜人などなど、人類と敵対する存在ばかり。

これらはダンジョン内にあるダンジョンコアによって制御され、人類に解明されていない謎のシステムによって運営されている。いつの間にか罠が設置され、誰かが整備しているはずもないのに再び発動する。生態系を無視して現れるモンスターは、死ねば煙の様に消えるばかりで何も残さない。

どこにでも現れ、人類に害を加え、何の益ももたらさない。

ダンジョンとは、特殊な例を除き、人類の不倶戴天の敵という訳だ。


そんなダンジョンを支配する…俺はそういう存在になってしまった。

意図した訳ではない。

「クソ神様め」

『マスター?』

「…何でもない」


もし俺がダンジョンマスターと知られれば、それは全ての人間から命を狙われるという事になるだろう。いや自分だけならまだしも、国から謀反の意思あり、と、父様や姉様、母様も巻き込んでしまうかもしれない。

…まあ父様や姉様なら巻き込んでも別にいいかなーなんて思うけど!

上手くいけばダンジョンのシステムを研究出来るとして問題がない場合もあるだろうが…現在の人類の方針は、ダンジョンは見付け次第コアの破壊! ダンジョンマスターの殺害! な訳で、賭けに出るにはチップが重すぎ、分が悪すぎる。


そんな俺の選択は、人類と敵対せず、徹底的に存在を隠すというものだった。

俺のダンジョンは洞窟型。出来るだけ入口を隠すところから始め、もし見つかったとしても眠らせ、惑わし、夢と思い込ませて追い返しているのである。


いずれ逃げられない場面に追い込まれるかもしれないが、それまでは平和に暮らしたいのだ。

「ナビ、今日もありがとう」

『どういたしまして。おやすみなさい、マスター』

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