第五話
これが俺の[ステータス]か。
力 :44
体力 :42
敏捷 :45
器用 :1050
知力 :3180
精神 :2863
生命力:102
魔力 :2520
スキル
槍術:1 体術:1 火魔法:1 水魔法:1 氷魔法:2 生命魔法:1 闇魔法:1
礼儀:2 社交:1 紋章学:1 演技:3 料理:1 歴史:1 語学:1 数学:5
能力値が偏ってるのは、中身に16歳だった魂がいる影響かねえ。この歳だとどの能力値も30くらいが普通って話だしな。
スキルが豊富なのは努力の結果だな。学園に入る前から家庭教師をつけて、一通り鍛えてきた。
…こうして毎日鍛えている結果が見えると、やる気が出るなあ。これからも頑張っていくぞっ!
「アレイシアさんはどのくらいだったの?」
突然かけられた声に横を向けば、そこには知らない男の子がいた。教室では見た気がするけど、誰だ?
「僕? 同じクラスのフィリップ・ソウマ・ハイウインド。よろしく」
疑問を浮かべているのを察してくれたようで、フィリップは自己紹介をしてくれた。髪も黒いし、どこか日本人めいた子だなあ。
「アレイシア・リル・レオンフィールドですわ。よろしくお願いします。
先ほどの質問は、どういう事ですか?」
「え? [ステータス]の事だよ。噂のレオンフィールド公爵家の方がどれ程凄いのか、皆も知りたがっているだろうから」
そう言われて、俺はちょっと悩んだ。
基本的に、[ステータス]は他人からはわからない様になっている。
[ステータス鑑定]のスキルは存在はするけどかなりレアだ。だから基本的には自己申告を信用するか、教会で使われている鑑定石というアイテムを有料で使わせてもらうかのどちらかになる。
公的な場で聞かれたのなら嘘をつけば罪に問われる事もあるが、この場ではどう答えても自由なのだ。
「全て、40は超えましたわ」
結局、俺は控え目な事実だけ伝える事にした。家名に傷がつかない程度は優秀だとアピールしないとならないからな。貴族ってのは、本当に面倒くさいぜ…。
「へー。さすがだね。俺は40なんて知力だけだよ」
ああ、うん。そこが一番、君と差があるところだよ…なんかごめん…。
内心を隠しつつ、俺はにっこりと微笑んだ。
「褒めていただき、ありがとうございます」
「こちらこそ、教えてくれてありがとうね。お礼に、聞きたい事があったら何でも教えてあげるよ。ハイウインド商会をよろしく」
ピンときた。こいつ友人ポジションの情報屋キャラか?
ギャルゲーでも乙女ゲーでも、よく情報屋はいるもんな。男って事は、隠し攻略キャラだったりするのかな? それとも主人公の友達とくっつくパターンか?
いずれにせよ、情報をもたらしてくれるなら俺にも有用だ。これからも仲良くさせてもらおう。
〈新緑の儀〉はその後もつつがなく進み、学園の決まり事などの注意も受け、本日は下校となるのだった。