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デートじゃなかったの?

 夕方、寮の男子エリアの一室でトランクスとTシャツ姿の男が2人、もんもんと語り合っている。


「どうしようケイ、真由子さんが『今夜空いてる?』……って」

「そりゃおまえ……デートに誘ってるんじゃないの?」

「やっぱりそういう事なのか!?」


 僕が真由子さんに気がある事はケイにいつのまにかバレていた。まあこれでお互い公平に恋バナができると言う物だ。


「デート以外に何があるんだよ……。よかったな」


 あれ、なんだか悔しそうなのは気のせいかな?ケイだってニコラといい感じなんじゃないの?


「そういうケイはニコラと最近どうなの?」

「俺は……また一緒に遊ぼうねって言われたけど……」

「へえ、いつの間に」

「いつって、この前ボストンコモンに行ったとき」

「え!?それってけっこう前じゃん。今まで何してたんだよ」

「だってSATがあっただろ、それで——」


 コンコン。男同士の暑苦しい会話はノックで遮られた。


 部屋の鍵は基本的にオートロックだが、男子の出入りがあるこの部屋は鍵がかからないように、ドアの下にストッパーがかませてある。


「開いてるよー」


 ケイが英語で言い放つと「失礼しまーす」と真由子さんが入ってきた!


 入ってきたのが女性だとわかるや否や、シーツで体を隠すケイ。おまえ中身は乙女かよ。顔を真っ赤にしながらクローゼットの影に隠れようとするケイの姿に、いつものカリスマ性は皆無だった。


 一方僕は姉ちゃんの前ではいつもこんな格好だったし、高校の頃入っていた演劇部ではもっと恥ずかしい格好をする事もあったのでとくに慌てる事も無く対応できた。


「ようこそ先輩。どうやって男子エリアに入ったんです?」

「アハハ、これはメンターの特権だよ。ケイの貴重な姿が見れちゃった」


 僕としては薄着男子を見て恥じらう真由子さんも見てみたかったが、もしそうなったらセクハラとして問題になったかもしれない。痛し痒しだ。


「ところでもう晩ご飯食べちゃった?」

「いえ、いつも通り夜は飯抜きです」

「こいつ寝ながら腹鳴らしてるんですよ」


 ケイうるさい!っていうかそれマジ?なんかごめんね。


「じゃあ外で晩ご飯食べない?」

「喜んで」

「よかったらケイも一緒にどう?」


 え?ひょっとしてこれデートじゃなかったの?


「ケイもSATで高得点取ったんだよね。そのお祝いに……」

「残念ながら俺はもう食べちゃったんで、2人で行ってきてください」


 おお、ケイ!晩ご飯まだなのに僕に気を使ってくれたんだね!ナイス紳士!


「そう?じゃあ7時前にバス乗り場に来てね」

「わかりました」

「あと、女の子が部屋に来た時は……ううん、なんでもない」


 そういうと真由子さんはそのまま男子フロアを後にした。ひょっとして僕の姿はまずかったかな。それにしても、恥ずかしがる先輩はやっぱりかわいい。


「はあ、お前は順調に行っててうらやましいな」


 このモテ男は何を言ってるんだか。まあ、好きでもない子から言いよられても迷惑なだけなのかもね。経験がないからわからないけど!


「そうだ、今週末にでもニコラをデートに誘ってみれば?トーフルお疲れさまってことで」

「ああ、それいいな!でもニコラだけを誘うって変に思われない?大丈夫?」

「相手は愛の国イタリアの出身者だぞ?何も問題ないって」

「そうは言ってもなぁ……。なあ、今回も前みたいに4人で出かけるわけにはいかない?」

「ダブルデートか……。それなら僕も参加できるけど……どうしようかなぁ」

「もし一緒に来てくれるならディナーをおごってあげよう!」

「行きます!!」


 ケイに良いように操られてるかもしれないけど、僕だって真由子さんとデートできるにこしたことはない。さっそく今日のディナーで誘ってみるか!

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