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中院凛愛の人生

 雨宿りに連れてこられたカフェでマキちゃんたちを待っていたら、傘を持っているはずのマキちゃんまでずぶ濡れになってやってきました。きっと空気を読んでそうしたのでしょうがそれで風邪でも引いたらどうする気ですか!


 そんなマキちゃんの様子を見てか加納くんが帰ろうと言い出しました。確かに私もそうした方がいいと思いますが、それではせっかく今日の計画を立てていただいた高岡先輩に申し訳ありません。


「せっかく高岡先輩が計画してくださったのに……」

「……いいのよリアさん。その気持ちだけでうれしいわ」


 今先輩リアさんておっしゃいました!?ひょっとして私は先輩のお友達になれたのでしょうか。だとしたら嬉しすぎます!あっ、先輩はバドミントンに誘ったら一緒にやってくれるでしょうか。学校に帰ったらお願いしてみましょう。


 って、今はそんな場合じゃありませんでした。このままでは皆さん風邪を引いてしまいかねません。しかし先輩が計画してくれた今日という日を悲しい思い出で終わらせたくもありません。……今日という日?そういえば今日はお父様がホテルでみんなを待ち構えているではありませんか!


 たしかお財布の中にホテルのマネージャーからいただいた名刺が入っていたはずです!


「ハロー。パーシュホテルですか?中院雅哉につないでいただけるかしら?娘からだと……ええ、お願いします」


「もしもしリアかい?パ……お父様だよ」

「お父様!急なお願いで申し訳ないんですが至急ホテルまでみんなが乗れる車を手配していただけませんか?みんな雨で濡れ鼠になってしまいまして……」

「それは大変だ!すぐに用意させよう。場所は?……」


 手持ちのハンカチやフェイスタオルでマキちゃんの髪を拭いていたらすぐにホテルのバスがやってきました。バスの中にはちゃんとバスタオルが準備されていて、みんな安堵の表情を見せています。




 ホテルでは直接お父様が出迎えてくださり、殿方を秘書の方に任せて、残った私たちをエステサロンにあるシャワー室に案内してくれました。

 みんながシャワーに向かうのを見送って私はお父様に感謝します。


「ありがとうございました。これで皆さん風邪を引かずに済みそうです」

「それはよかったが……凛愛は濡れなかったようだね。心配したよ」

「加納くんが傘を貸してくれたので濡れずに済んだのです」

「加納くんと言うと一番成績のいい一般家庭の男の子だったね。……ひょっとして相合い傘を?」

「それが加納くんたらずいぶんかわいらしいレインコートを持ってきてたんですよ。きっと好きな人のために用意したに違いありません」

「ほ、ほう、好きな人?この一ヶ月ですでにそう言った話が出ているのか」

「ええ。高岡真由子さんという方で——」

「高岡真由子。たしかアーグルトン州立大学から来ているメンターだったね。なるほど、加納くんと同じ学校だから親密になったのかな」


 いったいどれだけのことを覚えてらっしゃるんですかお父様!たかが娘の友達とのディナーパーティーに本気を出しすぎではありませんか!?


 あ、思わず加納くんの想い人を暴露してしまいました!きっとお父様が聞き上手なせいですね。


「お父様、今私から聞き出したことはくれぐれもご内密にお願いしますね」

「わかってるよ。しかしちょっとした手助けぐらいはしてあげてもいいだろう?(そうすれば凛愛に近づく男が一人減るからな)」

「いま小さい声で何かおっしゃいました?」

「青春だなと思ったんだよ。私にはもう縁のない言葉さ」


 そんなこと言ってないで好きな人を見つけて自分で青春してください!


「ところで皆さんの服はどれくらいで乾きそうですか?」

「それはわからないが良い物が用意してある。ついてきなさい」


 そう言ってお父様が案内してくださったのは様々なドレスやタキシードがつるされている巨大なクローゼットのようなお部屋でした。


「このホテルには結婚式場があるからね。これらはそこの貸衣装だよ」

「ひょっとしてお父様が借りてくださるんですか?」

「いや、皆が選んだ物を買い取ることにしたよ。そうすればそのまま寮に帰ることもできるだろう」

「ありがとうございますお父様!」

「……これでお父様のこと許してくれるかい?」


 ハッ!そういえば私お父様とケンカをしてる真っ最中でした!突然のハプニングですっかり忘れておりました。


「……もし、お父様自身の青春を見つけてくださると言うなら許して差し上げてもかまいません」

「そればっかりは相手がいないと無理だから約束はできないな」

「お父様!」

「しかし努力はしてみよう。それが凛愛の望みなら」


 やりました!ついにお父様の口から努力するという言葉を引き出せました!!


「それでだな……」

「なんですかお父様?」

「凛愛は私に私自身の道を歩ませるために留学することにしたんだろう?」

「たしかにそう言いましたね」


 おかげでマキちゃんをはじめ素敵な友達と知り合うことができました。人生何がきっかけでステキな出会いがあるかわかりませんね。


「さっき言った通り私は自分の道を歩むと約束しよう。もし縁談が持ち込まれるようなことがあれば会ってみようと思う」

「それは素敵ですね」


 あそこまでかたくなだったお父様がここまで言うなんて、たまにはキレてみるものです。これで私も心置きなく私の道を歩んでいくことができるでしょう。私の新しい人生はまさに今この瞬間から始まるのです!


「だから凛愛。君も留学をやめて日本に帰ってきてくれるね?」




 ……ハイ?

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