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僕は男とハグする趣味はない!

 ケイの口から彼女ができた事がないと聞かされたがとても信じられない。


「あんなに女性の扱いうまいのに、彼女いないとかおかしくない?」

「あれは小さいころから紳士とはそうあるべきだってしつけられた結果だよ」

「じゃあその結果に伴って普通はモテるんじゃ……」

「俺の高校……男子校だったんだ」


 あちゃー。そりゃ彼女作るの難しいわ。


「紳士であろうとすればスイッチが入って女の子の前でも平気で振る舞えるんだけど、恋愛対象としてみてしまうと途端にどうしたらいいかわからなくなるんだ……」

「でも、今日のゲームはちゃんと紳士っぽかったぜ?」

「ニコラの声がかかるまではな」

「ん?ひょっとして5番をはずしたとき?」


 ケイが唯一ミスをしたとしたら僕の番がまわってきたあの時しかないだろう。でもあれはケイが計算ずくで僕にはできないスーパーショットを必要とするポジションにボールを移動させたんじゃないの? 


「そう。あのときはたまたまシュウに不利なとこいったからよかったけど」

「このラッキーマンめ……」

「あのあとはひたすらゲームにだけ集中してたよ」

「ぼろを出さないために?」

「ああ……。」


 そうか、こんな完璧超人でも僕と同じでカノジョいない歴=年齢なのか。一気に親近感が湧いてきたよ!


「なあ、シュウ。俺どうしたら良いと思う?」

「そうだなぁ……。じゃあ僕がデートのセッティングしてあげようか?」

「え、マジで!?シュウにそんなことできるの?」


 ん?何気に失礼だなこいつ。素で話すとこんな感じなのかな?


「まあ、上手くいくよう祈ってなよ」



 僕はさっそく真由子さんに、ボストン観光に外国人の友達を誘ってもいいか訊いてみた。少し考えるそぶりを見せた真由子さんだったが、僕が拝み倒すとすぐにオッケーをだしてくれた。まあ元の目的が『日本人同士の結束を高める』なんだから考えもするよね。

 ニコラには「週末みんなでボストン観光行くけど一緒に来ない?」と訊いてみたら、噛み付くような勢いで「行く!」と返事をもらった。話を聞くと、どうやらアメリカに来てまだまともな観光をしたことがなかったらしい。おそろいだね。

 ケイにニコラとのボストン観光をセッティングした事を話したら、感極まって抱きついてきた。離せ、僕は男とハグする趣味はない!


「ケイ、当日は英語オンリーでいくぞ」

「どうしてさ?ニコラの他にも日本人女子いっぱいくるんだろ?」

「だからだよ。ニコラの気持ちを考えてみなよ」

「ニコラの?」


『私ニコラ。イタリア人。初めてのボストン観光で母国語が通じる人は誰もいない。日本人が一緒に来てくれてるんだけど、ずっと日本語ばかり話している。たまに英語で話しかけてくれるけど、すぐに他の女の子と日本語で喋りだしてしまう……ショボン』


「どうよ?」

「最悪だな」

「だろ」

「シュウの演技が」

「おい!」


「まあ、僕の演技はおいといて。これが英語オンリーだったとすると


『私ニコラ。イタリア人。初めてのボストン観光で母国語が通じる人は誰もいない。でも日本人が一緒に来てくれて、ずっと私にあわせて英語で話してくれている。なんて素敵な人だろう。たまに日本語で話しかけてくる女の子がいても、私との会話を優先してくれる。何でこの人はこんなに優しくしてくれるのかな……ドキン』


「おお!いいな、それ」

「だろ?」

「あ、でもシュウが同じように英語で喋ってたら意味ないんじゃないか?」

「そんな野暮なことはしないよ。僕はできるだけ日本人と話すようにするから、ニコラの相手は頼んだぞ」

「ああ、任せてくれ!」


 よし、これで当日は気兼ねなく真由子さんとお話しできるぞ!

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