1、ぷろろーぐ!
-ピピピ…
どこからともかく音が聞こえてきました。とっても眠いので放っておきましょう…。
‶ドドド″
何か嫌な予感がします。刹那、予想通りに扉が勢い良く開くと布団が宙を舞います。そこには姉の姿がありました
「おきろおおおおおおおおお!!!!」
その声はあまりにも絶大でした…。
♡ ○ ♡
―ねえ、お母さん。寝られないの…。
あれは幼き日の記憶だ……。一人の少女が母親と思しき女性に虚ろな目で喋りかけている。
母親と思しき女性は少女を寝かせようとベットへ誘導する。
そうだ。これは夢なんだ。そう気づくまでに時間は必要なかった。
このまま夢が続けばいいのに。私の思いが拙く染み出る。その思いとは反対に目覚ましの音が鳴り響く。もう少しだけ…。あと、少しだけ…。
そして、願う。現実と夢が逆転する日々を…。
―寝付けないでしょう。今からお話をしてあげる。
この土地に伝わる神様のお話しを…
そして、声は遠のき、光が差し込んできた。
○ ♡ ○
先ほど叩かれた頭がジンジンします。なぜなら…
「痛いし、ひどいよ~‼」
「起きるのが遅いからだろ‼」
このひとは相沢雛。愛称ひなねえ。ひなねえはこの家の次女です。いつも活発で男勝りなところがあるのですが、いつも率先して動いてくれて尊敬してしまうほどです。
叩かれてジンジンする頭を抑えながらリビングへ行くと“しおねえ”が朝食を作ってくれていました。
「おはよう、やよい」
あっと…。この人がこの家の長女で私のお姉さん。相沢栞だから愛称“しおねえ"ってことなの。しおねえはいつもしっかりもので、私たちを見守ってくれているので、感謝し切れないほどなんだ。
私はいつも通り席に座りながら待つことにしました。
「はぁ~…。おはよう…。」
ひなねえはあくびをしておりました。
「ゲームでもやっていたの?」
毎度のことながら、しおねえが注意します。ひなねえは"ギクッ"とした顔をすると、しおねえから目をそらしちゃいました。図星なんですね。
っと…。こんなところでかおりねえがやってきました。相沢香織。愛称かおりねえ。いつもぼぉーとしているけど、以外にできる人なんです。テストだと私と違っていつも高得点ばかりでとても羨ましいです。経験則上、この二人は双子だからなのか分かりませんけど、喧嘩ばっかりするんです。それで、いつもしおねえに止められるのがオチです。
「ず…図星じゃない!!」
「それが図星って言うんじゃない?」
かおりねえは嫌味しか感じさせない笑みを浮かべながらそういうのですが、ひなねえは負けてられないと
「こ…この間、犬の糞を踏んだバカがどの口を叩くか‼」
と慌てながらも不敵な笑みを浮かべ対向します…。
「それとこれと関係ないでしょ!!この運動バカ!!」
「何だと!?この引きこもり予備軍め!!」
二人は目から火花をちらつかせ、いがみ合っています…。いつもながらその強さは色々、凌駕しています。
「……」
何か殺気が私の横から漂ってくるので横を見ると…。案の定、明に、しおねえは怒っていました…。
「あなたたち………」
それはいわゆる鬼を越えた怖さしか感じられません。二人はその後、仲良く怒られていました。
困った人達です。私は少しため息をつきました…。




