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魔王就任 【魔石編】  作者: 市太郎
初外交
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魔王様と魔石 ■ 06

 そうして迎えた五日後、竜界より使者が到着した。

 竜族の魔力であれば、直接魔界に転移術で移動なんて事は容易いんだけど、外交上の問題もあるのでちゃんと外交用の飛竜に乗ってやって来たのね。

 伝書ドラゴンも西洋風ドラゴンって感じで、ちょっと腹ボテというか肉厚な感じだったけど、騎乗用の竜もやはり肉厚なタイプだった。

 映画とかに出てくるワイバーンとかに近いタイプかな?

 大きさは一トン車、荷台に緑のシート被せているトラックとかアレ位の大きさはあるから、シャイア三人位なら余裕で乗れそう。

 本当は間近で見たかったのに、イシュに強く駄目出しをされてテラスから指を咥えて見ている私。

 強面な飛竜だけど、何だか格好良くて羨ましい。

 この魔界で暮らすようになってから、本当に愛玩動物に飢えている気がする。

 だって、魔界にいる動物って、獲物を取る為の触手が一杯とか、貫通するような牙とか、ちょっと腐ってるとか愛玩向きじゃないんだもの。

 仮に見た目が可愛いインコ君とか美乳ハーピーちゃんとかだって、魔力少ないから傍に置いて可愛がれないし。

 ハーピーちゃんなんて、美少女顔なんだよ?

 胸だってお椀みたいに盛り上がってて形良いんだよ?

 揉んだら、凄い柔らかかったし。

 あれは、癖になる柔らかさだった。

 いえ、決して私は女性とどうのこうのとなりたい趣味は持ち合わせてないんだけどね?

 途中でサナリが没収しちゃったから、揉めなくなっちゃったけど。

 いえ、決して女性の胸を揉みまくる趣味はありませんけどね?

 胸筋揉んでも余り楽しくないから、詰め寄るサナリには丁重にお断りしたけど。

 魔力と見た目事情の兼ね合いでちっともペットを飼えないけど、竜属性だったら力も結構ありそうだし傍に居ても大丈夫そうな気がするんだよね。

 友好のしるしとかいってくれないかしら。

 魔石の融通利かせるんだから、物々交換とか駄目かな。

 でも、くれるとか言ってもイシュとかに激しく反対されそう。

 現に今だって、近くで見たかったのに駄目って言われてこうしてテラスから覗き見ですよ。

 二頭いる内、一頭は赤というか炎みたいな朱色の飛竜で、もう一頭はアクアマリンみたいに透明感のある水色の飛竜。

 どちらも雄々しい感じで格好良いなぁって見てたら、着地して落ち着いた様子の二頭がこちらを見るからちょっとびっくりした。

 このテラス、マジックミラーみたいな仕掛けがあって、外からだと壁にしか見えなくてテラスがあるとは気付かないのね。

 もしかしたら、気配で気付いたのかな。

 何だかばっちり目が合ってる気がする。

 二頭が揃ってこちらを見るから騎乗してた人も不思議そうにこちらを見ているけど、竜族の人達は私がいる場所は分からないみたい。

 赤い飛竜に乗ってる人は赤い髪をしていて、水色の飛竜に乗ってる人は青い髪をしているから、飛竜達は騎乗している人の個人所有なのかもしれない。

 飛竜から下りた二人は、イシュより気持ち大きいかなといった長身にシャイアよりかは若干肌が浅黒い。

 見た目はヒスパニック系な肌の色をしている。

 赤い人がイシュに握手を求めて片手を差し出してそれに応えるイシュなんだけど、何故竜族の方は顔がくっつきそうな程の至近距離でしかも両手で握手してんだろ。

 おお、珍しくイシュが一歩下がっている。

 それを気にせず更に詰め寄る赤い人に、イシュが早々と手を放している様子から余程押しの強い人なのかと想像する。

 出迎えに出ていたイシュとサナリが、二人を引き連れて建物の中へと入って行くのを見送ってから私もテラスから離れた。

 数日は居る事になるんだろうから、その間に飛竜に触らせてもらおう。

 六畳程度の部屋を抜けるとそこは王の間でして、玉座の後ろに出るのであります。

 部屋に続く扉はカーテンで隠されているし、ここも壁に見えるような目晦ましの術が施されているから、一見では分からないようになっているのね。

 一応、セキュリティとか安全面も考えてある訳なのよ。

 「魔王様、くれぐれも魔力は身の内へ留めて頂きますよう、気を引き締めて下さいましのぅ」

 「あ、うん。何かイシュにも口すっぱくして言われたよ。漏れてる?」

 玉座に座って安定できる位置を探している私に、数日前からイシュに散々言われている注意をガルマからも念を押された。

 だいぶ魔力を抑えられるようになったつもりなんだけど、と自分を見下ろしてからガルマへ聞いてみたが、今は大丈夫と頷いて返してきた。

 「だけど、何でそんなに気を付けなくちゃいけないの?」

 イシュだけでなく、ガルマからも注意をされると流石に気になってくる。

 「いえ、杞憂であればそれで構わぬのですがなぁ……少々気になりましてのぅ。魔力の件は、お心内に留めて頂ければ十分でございます故に」

 「う~ん? 分かった。なるべく気を付けるけど、出てたら教えて?」

 曖昧な返事には小首を傾げたけど、二人揃って言うのだから気を付けておくに越した事は無いでしょう。

 取り合えず、自分では漏れてるか漏れてないのか今一分からないから、漏れてたら注意してもらうようお願いはしておく。

 改めて蛇口をギュギュッと締めるイメージを浮かべて気を引き締めていた所に、イシュとサナリに連れられて竜族の使者が王の間へと入ってきた。


 竜族の二人が入ってきたその一瞬、気のせいかな? と思う妙な圧迫感を感じた。

 私の傍にいたガルマは既に壁際の定位置に移動していて、戻ってきたイシュは私の斜め後ろへ、サナリは壁際へと其々の定位置に立つ。

 案内されてきた二人はシャイア程の長身では無いけれど、体格はシャイアに劣らない感じでがっちりしていて、赤い人はかなり筋骨隆々って感じだから隣に並ぶ青い人は若干細身に見える。

 しかし、何と言うか。

 いい加減慣れてきたけど、子供の格好しているからって、あからさまに驚くのはどうかと思うんだよね。

 まぁ、来た主旨が違うから、ラズアルさん達程派手には驚いてなかったけど。

 直ぐに立ち直ったのは青い人だった。

 二人は賓客として、私と非礼にならない距離で立ち止まると軽く会釈をしてくる。

 竜族は、我々魔族よりも上位の種族になるから、儀礼的であっても私達に膝を付いたりしないし、深々と低頭なんて事はしないのね。

 ここは魔界で、魔王である私に一応敬意としてちょっと会釈してくれたって程度かな。

 パッと見た感じだと赤い人は肉弾戦派、青い人は術師派って雰囲気を持っている。

 青い人が穏やかというか柔和な空気をまとっている分、赤い人の自信が溢れる感じが嫌という程伝わってくる。

 青い人は髪だけでなく目も青く、赤い人も同様で目も赤い。

 何となく違和感を感じていたのだけど、程良い距離にいる二人を改めて見て気付いた。

 二人とも瞳孔が金色なんだよね。

 妖精族とは会った事がないから知らないけれど、魔族も瞳孔に色が付いてるのが殆どなの。

 ラズアルさん達人間族は、普通に瞳孔は黒いようなのに。

 一体、こちらの連中の人体構造がどうなっているのか不思議でしょうがない。

 どういう構造になっているのか一度じっくり見てみたいけど、自分を危険に晒してまで知的好奇心を追求したい訳ではない。

 しかし、獣化とか普通でしちゃう訳だし、不思議に思った所で誰も答えられないんだから仕方がないんだけど。

 そして青い人が口上を述べだしてから赤い人は漸く驚きから立ち直り、そしてガルマに熱視線を送っている。

 視界の隅とかそんな可愛いモンじゃなくて、顔が明らかにガルマを、つまりは横を向いているんだけど。

 予想外の行動に一瞬自失してしまったけど、見なかった事にして私は青い人に集中する事にしたのだ。

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