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魔王就任 【魔石編】  作者: 市太郎
初外交
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魔王様と魔石 ■ 15

 その夜はフィンデイルさんも帰ってきた事で、本来予定していた通りに大公達も交えて晩餐を過ごせました。

 昨夜のナイリアスさんの量も多かったけれど、それの三倍は軽く食べるフィンデイルさんの分とで半端無い量である為、急遽離宮から助っ人をお願いして厨房は戦場と化していた。

 後で死に物狂いで動き回っているであろうサロエナさんには、ボーナスを支給しておこうと心の中で両手を合わせる。

 私から見れば魔族だって人間や妖精族に対しては居丈高だし十分にプライドが高いと思うのだが、竜族は居丈高とかプライドが高いとかで、大公達は好感情なんて物は元々持っていなかったけれど、フィンデイルさんも初日のインパクトを抜かせば晩餐で会話をした限りでは威圧的な様子も無くて、私としては是非親しくなりたい! とまでは思わなくても、これから良いご近所付き合いが出来れば良いなぁという程度には好感は持てたのはそれなりの収穫かな?

 鳴りを潜めているだけかもしれない竜族さんが、どのように思ってるかはさて置いてだけど。

 そして夜が明けた翌日、正式にフィンデイルさんから明日の午後に帰りますと連絡があった。

 ならば、明日の午前中は是非とも騎竜達と触れ合い広場の時間を設けて頂かねばなるまい。

 ちゃんとガルマの言う事聞いて、厩舎には寄らなかったしねっ!

 魔力だってきっちりコントロール出来ていたと思うし、これなら文句も付けれまい。

 なぜ明日の午前かというと、フィンデイルさんとナイリアスさんの本日の予定は、見聞を広めるって事で魔界領地の視察にお出掛けしているのであります。

 自画自賛で自慢しちゃうけど、魔界の都市計画は他の領土に比べて最高だと思うのよねっ。

 科学が無い代わりに魔術があるから地球と比べようは無いのだけれど、以前ラズアルさん達から聞いた人間界での道の舗装とかに関してはお粗末な物だし、王都である中心地とそこから離れた田舎では生活基盤のインフラの差が極端だったりする。

 妖精界の事情は知らないけれど、竜界は道の舗装とかに力を入れてはいないらしい。

 個人の移動は基本は術を使うから人が歩く為の道というより、物資を運ぶ為に間に合わせで作った道という感じがする。

 二人から話を聞いて、ジャングルに無理矢理道を作ったというイメージが湧いたけど、強ち間違ってもいないような気がする。

 それに二人から見たいと言い出したんだから、魔界の都市計画ってかなり良い感じに思えたんじゃないのかな。

 しかも、魔界は中心部だけではなくライフラインが山頂まで完備されております!

 ライフラインといっても、魔石の事だけどね。

 こちらの世界にはガスや電気は無いけれど、それに代わる送受魔石は山の中にも設置してあるのです。

 山の領域はインコ事ガーゴイル達を始め、魔獣や魔鳥、魔物が棲み付いている事情もあって、道の整備とかはせず極力手を入れないように保っているのです。

 現在、調査隊を送って温泉を調べさせております。

 私の住む魔王殿から見る限りでは、もうもうと煙を上げている活火山は見れない。

 でも、過去一万年以内に爆発した事があるかもしれないし、休火山なのかもしれないので仄かな期待を抱きながら火山性温泉の調査をしているのです。

 私の趣味の為に。

 仮に火山性温泉が無かったとしても、非火山性温泉の可能性はまだ残されているのだ!

 北海道にある十勝川温泉みたいなモール泉が!

 私の趣味の為に調査させております。

 温泉見つけたら魔獣達を地獄谷温泉のニホンサルみたいにしてやるんだ。

 まぁ、そんな私の趣味と野望は置いておいて。

 人間界程下水整備を必死にならなくてはいけないって事は無いんだけれど、この世界で下水完備なんて他の領土では見れないはず。

 他の領土は古代から中世辺りの文明と踏んでいて、魔界ってば結構近代的じゃない? なんて訳で自慢だったりするんですよ。

 それ以前に魔界には道も無かったんだから、どちらにしても画期的だと私は思っている。

 誰が何と言おうと画期的なの。

 上下水完備しているから、衛生面だって他の領土よりだんとつだしね。

 ただ、魔族がペストみたいな疫病に罹るなんて事は無いけれど、街の中が臭く無い方が断然良いしっ!

 で、整備の行き届いているイシュの領土を見て感動したフィンデイルさんとナイリアスさんが、本日は急ぎ足ではありますが、他の大公達の領土を見て回る事となった訳です。

 

 一方の私は暇なので、本日も真珠に魔力を注いで粉砕しています。

 昨日の話を聞いて、多少なりとも私の魔力が子孫繁栄に繋がるのならばと気合を入れて魔力を注いでいるんですけどね。

 生粋の魔族なら薬にはならなくても毒にはならないこの粉ですが、実は思う事ありましてカレアーニャさんの合意を得て臨床実験に着手しているの。

 カレアーニャさんは、現在隷属となって準魔族な状態ではあるんだけれど、元は人間だから魔力が空っぽなんだよね。

 で、ゼシェアラル男爵と子供を作るとしたら当然カレアーニャさんが母体となる訳ですよ。

 幾ら、隷属で男爵が死ぬまで死にませんとはいっても、子供が出来たら母子共に色々と大変であろうという事は簡単に想像ができる。

 子供の魔力が母親より強かった場合母体は消失しちゃう訳ですが、カレアーニャさんに子供ができたら子供の力に負けて体が崩れるけれど、隷属だから崩れた傍からゆっくりと再生、再生する傍から崩れては再生だよ?

 好きな男の子供を生みたいからって、何でそんな拷問受けなきゃならんのよね。

 二年後に迎える繁殖期ではカレアーニャさんってば俄然やる気満々だそうで、ゼシェアラル男爵が困り果てた様子で相談に来たのですよ。

 余りに余ってた真珠の使い道も思案してた所への相談で、本格的に繁殖期へ意識を向けようという時期だったからタイミングは良かったのかも。

 他にも下位の魔族も臨床実験に付き合ってもらって、効果があるかを試している所なのであります。

 魔族には、効果が無くても毒にはならないんだけど、魔力その物に免疫の無い元人間のカレアーニャさんにはどんな影響が出るかはまだはっきりしていない。

 小さじ一杯服用したら、ぶっ倒れて一週間程寝込んだそうだ。

 無理はしないようにと諭すゼシェアラル男爵の言う事をいつもの通りに聞かず、相変わらずな様子のカレアーニャさんは更にやる気を漲らせているようなので、ガルマの所から専属担当医というのも変だけど、担当を付けて服用量と経過を見ている状況なの。

 今は、耳掻きの半分から一杯まで服用出来るようになったのだとか。

 ゼシェアラル男爵の心の平安の為にも、無事に子供が生まれると良いなぁとぼんやり願っている。

 そんな事情でコツコツと真珠粉を作っている私でして、最初の頃は一個一個粉砕していたのだけれど、いい加減面倒になってきたので一気にまとめて粉砕する方法に変えてみました。

 屑真珠と分類された物を後々も管理し易いよう箱に詰めて、広い部屋一杯に重ねておきます。

 オンオフ切り替えも大分こなせてきた魔力を目一杯垂れ流して、ちょっと真珠に吸い込まれるように意識すれば一斉に粉砕されるので楽なのだ。

 最初からこうすれば良かったと、今までの地道な作業にちょっと乾いた気分になったりもするけどね。

 真珠が粉砕された時の、乾いたような砕ける音が地味に爽快感があって楽しい。

 粉砕された後は倉庫にこの箱を運び込んで、再び新たな箱を詰め直しておいてくれる。

 最初から倉庫でも良いのにと言ったら、イシュから寒気がする笑顔を返されたので駄目と判断しております。

 寒気のする笑顔でそのままイシュが口でも開いた日には、魔王様としての自覚がどうとか威厳がどうとか喧しいので、最近の私は引き際というスキルを覚えた訳。

 そろそろ倉庫も一杯になりそうだし、後数回粉砕すれば暫くは作らなくても良いかなぁという目処が立ってきた。

 一人満足感で頷きながら本日の分を終えて部屋を出ると、出掛けていたはずのナイリアスさんが一人で廊下を歩いていた所と鉢合わせたのである。

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