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誰が許した異世界転移  作者: カノ ハル
風きりの谷駆け
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ⅩⅩⅡ-月に影は寄り添いて-⑤

術力の説明が大体になってくるかもです。

なんで、春明の技が使えたのでしょうか?

黒さのこいオレンジの光が明滅している。目を開いていない今で光があるのはきっとそばにあった焚き火の明かりだと春明は思った。

 では倒れていたはずの自分がなんで暖かいのか? 倒れた時に吉郎さんは未だつかまっていたはずだし、黒乃は影から出て来ていない。思い当たるかもしれないとしたら羽黒(はぐろ)さんか、あるいはその上の近条路(きんじょうじ)様とかあたりかもしれないと思ったが、確証がなかった。後、聞き覚えのある声だった気もする。黒乃がいっていたのは……、まさかと思うけれど。目覚めの意識半分で幻聴をきいたかもしれないとおもったが、見なければわかるまい。うっすら目を開けたときに飛び込んできた人物の顔がみえて、春明は完全に目を開ききった。


「起きたか。いつまで俺が支えている必要がある? 」


「……何で、あなたがここに、え?いやいや、髪の色違うけど、いや、誰? ってか、斡辰さま? 」


 戸惑ったのも無理からぬ事だ。目を開けた先にいたのは斡辰の顔によく似たパーツをつけている色違いの男、髪の色はくすんでいる黒か茶系だが顔立ちに瞳は鈍い銀色で、どうあっても彼ではない。おまけにあの大層な服装をつけていないし、吉郎さんの服がもう少し綺麗になったぐらいの服で、言ってはおかしいかもしれないけれど、斡辰という殿様が着るにしては質素だった。彼にばかり目がいっていたが、落ち着いてくると周囲も相当の有様になっている。

 斡辰にそっくりなその男は問答をする前に、自分の腕を少しあげると春明を草の上に座らせた。黒から夜の色合いに変わった目ではっきりとその姿をみると、周囲にはなにかが渦巻いていて、周りにいたはずの近条路様の隊の面々がみえなくなっている。闇のほうが見えるはずの自分の目蛾不具合を起こしていた。


「自分はここまでの事したかしら。少なくともあいつ等分殴りたいとは思ったけれど、こんな景色が変わるような事をした覚えが」


「落ち着いてないようだから言うし、お前が本当に術式使いのじの字もわかってないようだから言うぞ。

 俺はお前の主である斡辰だし、ここはあの織田(おりた)峠の羽末(うすえ)二褄魔(ふたつま)の道中で、今は俺が結界を発動させているおかげで周りが隔絶されているだけだ」


 色違い斡辰様からの本人発言があり、一つ事情が整理される。色違いなのもきっとなにかあるのだろうけれどそこに突っ込んでは話がすすまないだろう。ついでに結界という単語も出てきたのでなるほどと納得する。周りが見えないっていうのもきっと斡辰様の力の強さとか?に影響を受けてのことだろう。だが


「その、なぜ斡辰様がここにいらっしゃっているのでしょうか」


 そう、どうして陣の幕の中にいるはずの斡辰様がわざわざ近条路様の隊にまで足を延ばしてしかも、自分の隣にいるのだろうか。髪の色とかなにからといった風情を変えているのはきっとそのためだろうし、ちらりと視界の端で転がっている男と何か言いたげな吉郎さんが写ったのはだまっておく。斡辰様も視線の先でちらりと彼を見たが、途端に平伏しているところからしてやっぱり本当に斡辰様がきているんだなと、現実におきていることだと証明出来てしまった。

 斡辰は春明の問いかけに答える前、焚き火前の宙にどっかりと腰を据えるような格好をして話し始めた。空気イスのような状態なのに、なぜか安定性がある座りかたでやはり驚かされる。


「術力操作もまともにできてねぇのは聞いていたからな。本来なら俺が出張るのはよくないと二名からも言われているが、この状況でそうも言ってられん。なにより、お前がさっき引き起こした術力の放出で周囲の敵から丸見えだ」


『御大の言うとおりです。御方様は術力の扱いをまるでできておられない』


 斡真の説明に加わるようにとなりから黒乃がにょっきりと顔をのぞかせた。いつの間に彼の影の方に乗り換えたのかわかりもしなかった。どうも、このままお説教タイムとでもなるらしい気配が一名一匹から漂ってきているので、姿勢を崩さないように、春明は座り方を正した。ただ、春明としても言われっぱなしではない。


「ちょっと待った、術力操作できないと困るけど何も教えてくれなかったじゃないですか。それで今更教えにきたとかですか?それこそどうして」


「ほいほい大将が動けるとか思っているほどお前は脳足りんか。

 え、おい。術力操作についても本国で教えるつもりだったが、どうもお前は術力を操作するのと放出するのとがわかってなさすぎるんだ。このままじゃ本国に着く前にお前が術力の飢渇を起こしてぶっ倒れるか、それとも一ノ白からの追っ手に気づかれるが早いかのどっちかだ。

 そこで、だ」


 斡辰はそういうと、自分の手の平を春明の眼前にさしだして、短く唱えた。


「術力を玉にて 場に置く」


 もやっとした霧状の何かが一気に固体化したようなそんな感じで斡辰の手中には一つの玉ができていた。だが、一隊これがどう話につながるだろう。春明が作られた玉をじっと見据えていると、斡辰の玉が色を持ってきた。


「お前にこうして直接会いに来る頻度は多くは作れん。その上で、こうして説明してやる。分からなくとも知っておけ。契約をおぼえているだろ? 」


「自分が理解できない事は、習得して覚えるという? 」


 斡辰は春明の答えに大きく頷いて、術力で編んだ玉を少し大きくした。色を変えていた術力の玉は形の中に何かをふつふつと湧き出させそうなグルグルとした動きをしている。春明の見ている間に、沸き出て行くそれが形を成していくと、思わず口にでていた。


「水、ですか」


 それは球体の中にある水の塊だった。術力で覆われた玉という入れ物に水が発生しているのだ。くるくると流れを産み出す様は、さながら湧き水が何もないところから出てくるという、文字通り魔法のような現象を作り出している。


「そうだ、こいつを作るのは今のお前だと出来ない。なぜなら、お前は術力をこの世界にあらわす為の、形をなす助力をつけないからだ。

 助力無しで力をかたちにするのは、よっぽどの想像力があるか創造性があるかのどちらかになる。あとは、お前がやったみたいに術力を大量に生み出して作り出すか。

 そんなこと繰り返せばさっきみたいに暴走しかける。だから、お前はまず、助発の言葉を使いどころを覚えるべきだ」


 聞きなれない単語をいいつつ斡辰は手の平に載せていた術力と水の塊から、手を離した。落ちると思って水の入った術力に思わず手が伸びたが、斡辰が作った術力の玉は落ちずに中空で付与付与と浮いている。よくよく見ると、同化しているが座っているのもどうやら彼の術力で作っている水に起因する何かのようだ。


「助発っていうのは、なんでしょうか? 」


「簡単だ。俺が今こいつを作るために呟いたいくつかの言葉だ。術力は只それだけで形をつくろうとすると崩れる。崩れたのを立てなおすのにも力がいるから更に込めて、まるで崩れる砂の山を造り続けるようになるだろう。

 それを防ぐのが助発の言葉、門外人のおまえにも分かりやすく言えば、術力に形を与える呪文だ。まぁ、呪文といっても単一ではないし、それぞれで作るものだからお前がこいつを作るのだがな」


 斡辰はそういいつつ、静かに別の言葉をいった。


『意断ち』


 見覚えのある単語と共に、黒乃の爪とは違う何かが斡辰の術力の塊から棘のように飛び出す。春明が顔を守るように手をかざしたが、その針はふよふよとした術力の塊から二十センチほど出たところで止まってしまった。出された時には驚かされたが、これは春明が志坂たちと戦った時に作った技の一つではないか。

 自分の技が使える斡辰は、まさか影の属性なのかと疑ったが、今彼が術力として発現させている能力はどうみても水の属性の能力だし。辻褄が会わない。


「驚いているようだが、契約主には、契約をした相手の術力能力を式陣を介して使うことが可能だ。お前が技を覚えれば、その分俺は強くなる。お前が逆に俺から技を借りたければ、許可を俺がくだす限りは出せる。式陣士との契約が強みになるのはこの契約によるものだ」

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