私と俺の
お前と私は腐れ縁だ。
中学から私立に行ったお前はたまにしか会わなかったけれど、なぜか月いちで会う。
とは言っても私が無理矢理押し掛けているだけだ。
高校だって地元の高校に行った私と、内部進学で進級したお前とではエライ違いがあるのだ。
ひょろ長い身長にクロブチ眼鏡のダサい文化系の取っ付きにくいガリ男に見えて、実は着痩せしているだけで中身は締まっているとか女子供には優しいとか、なにげにモテるのも知っている。
ぶっちゃけ言えば、私はお前が好きで独占したいけど、今の状態も居心地良くて壊して良いのか迷うのだ。
でも、今のままではいつ何時お前に彼女が出来るか分からないので、今ここに尋常に勝負を申し込む!
「……おおかたさっきの時代劇観て言葉がかなり可笑しいのは何も言わないけど、今俺は告白されたと解釈してよいね?
それとも何か勝負するの?
まぁ、負けな「私が勝つにキマッ」じゃ、宜しく。」
「あ、はい。お願いします。」
「じゃ、そろそろ座ってくれる?」
「あ、はい、スイマセン」
部屋に入るなり、人のベッドの上で仁王立ちで告白するなんて、あいつは本当にバカだよなぁ~
本当、ああも残念な頭だと可哀想になる。
ほらみろ、後先考えずにいきなり告白したもんだから、居心地悪くなってソワソワしてんじゃん。
押し掛けてきても邪険にしなかったのは、どんな意味か考えたことないんだろうな。
居心地良い生温い関係を壊せなかったのは、こっちも一緒だってーの。
まさか先越されるなんて思いもよらなかったけどね。
「この勝負は完敗ってところか…。」
「何?!なんか言った?」
「いや、勝負はこれから此所から既に始まっているんだろうな。」
「はぁ、…と、とにかく晴れて恋人同士になったのだから、彼氏の部屋で勉強会~ポロリはないよ~を開催したいと思います。」
「あ~ないんだ。俺としてはあっても良いんだけど?」
「絶対に有り得ません。それより私の数学に愛の手を!」