第77話
ちょいグロ注意
リョウが『魄剣』を持った男に襲われていたのと同時刻・別の場所
イズミたちはリョウお姉ちゃん以外の『霧の傭兵団』のメンバー一纏まりで食事を摂っています。普通の大衆酒場で味はイマイチでも量が多いので、みんなは満足しています。
ちなみにリョウお姉ちゃんが居ないのは仕事の報酬をもらった後に、こちらに来たのではいつもの場合だともう食事が残ってないから、別な場所で食べて戻ってくるからです。
と、フードを被った人間が三人、店の中に入ってきました。周りの傭兵さんたちは変わらず騒いでいますが、イズミはその三人から嫌な気配がしたので、ムギお姉ちゃん、ホウキお姉ちゃん、ウネお姉ちゃんの三人に目くばせをした後席を立って、その三人とすれ違うように店の外に出ようとします。
そして、三人とすれ違った瞬間イズミの体が腰から真っ二つにされ、ホウキお姉ちゃんには槍が、ムギお姉ちゃんには≪土の矢≫が向けられているのが見えました。
ウネお姉ちゃんがイズミの体を両方とも抱えて店の外に飛び出します。それに続いて一人の斧を持った人間。イズミを斬った男が飛び出してきます。
お店の中からは傭兵団の皆と襲ってきた男との間で戦いが始まったのか怒号が聞こえてきます。
「かヒ…ひひひヒHi比…」
イズミを斬った男の顔は明らかにおかしな様子です。まるで何か乗っ取られているみたいです。
と、そうして観察している間にウネお姉ちゃんがイズミの体の切断面と切断面を合わせてくれたので、≪自己再生(中)≫で無理やりくっつけます。正直まだ痛いですけどウネお姉ちゃんは直接戦闘が苦手なのでイズミが頑張るしかありません。
「ひはははハHa葉はは!!≪重撃斧≫!」
「…!?」
男が突っ込んできて、斧を勢い良く振り下ろしてきます。
イズミは右腕から≪生体武器生成・斧≫で骨の斧を取り出し、≪筋力強化≫で自分の体を強化して、斧の腹で受け止めようとしましたが、イズミの斧は一撃で粉砕され、男の斧によって左肩から股まで一気に切られてしまいます。
死ぬほど痛いです。というより普通なら明らかに致命傷です。けれど、倒れるわけにはいきません。イズミは再び≪自己再生(中)≫を発動して、体が離れる前に再びくっつけます。出血もスキルのおかげでありません。大丈夫です。
「何ダTo!?」
明らかに手ごたえがあったはずなのに倒れなかったイズミに驚いたのか男の動きが止まります。チャンスです。
「イズミ!≪敏捷強化≫ネ!」
「ありがとう…。」
ウネお姉ちゃんの支援でイズミの敏捷が強化されます。
そしてイズミは両腕を大きく上にあげ、そこに≪生体武器生成・斧≫で先ほどよりも肉厚で巨大な斧を作り出し、強化された筋力と敏捷を生かす形で勢いよく振り下ろしました。
「ふう。さすがはイズミの馬鹿力ネ。」
ウネお姉ちゃんの呟きがかすかに聞こえます。
でも、斧が男を叩き潰し、地面に着くと同時に大きな音と振動、それに爆風が辺りに巻き起こり、それと同時に大量の土煙が立ったのですからその感想にも納得するしかないかもしれません。
それに土煙が晴れた後には、人だったものが真っ赤な絵の具を辺り一帯にまき散らしてよく分からないオブジェがありますし、地面が少し陥没してヒビが周りに走っていますから。
と、酒場の方の戦闘も終わったようで、皆が出てきます。
皆、クレーターにちょっと驚いています。
「イズミがこれをやったのかい?」
「すごい威力ですねぇ…これで攻撃スキルじゃないんだから驚きです。」
「少し…やりすぎた…。」
イズミはムギお姉ちゃんたちに近寄って、酒場の中の様子を聞きましたが、どうやら、酒場の中に残った二人も皆が仕留めたようです。
と、自警団さんのようなものが近寄ってくるのが見えます。
「ムギ姐さん達はリョウの姐御の元へと行ってやってください。事情説明は俺らでやっておきますんで。」
傭兵団の一人が何故か目線を横に逸らしつつもそう言ってくれたので、イズミはムギお姉ちゃんたちについていってリョウお姉ちゃんのところへと向かいました。
ところで、イズミの≪自己再生≫には一つ欠点があります。それはイズミ自身の傷は直せてもイズミの身に着けていたものは直せないということです。
そしてイズミは今回、腰を横に斬られた上に左肩から股に向かっても斬られてしまいました。おまけに最後の自分の一撃で爆風を辺りにまき散らしたので…その、リョウお姉ちゃんに指摘されて気づいたんだけど、イズミは裸になってました。
うう。流石に恥ずかしいよう…。
イズミは見た目はまだ10歳でも中身はもう12歳なんだからね!お胸がちっちゃくてももうちょっとしたら立派なレディになるんだからね!
だから…やっぱり恥ずかしいよう!
結局、街を離れる前に新品の服を買ってもらうことになりました。ごめんなさいリョウお姉ちゃん。
現時点でもイズミは首を切られるか、頭を潰されない限りは何とかなったりします。




