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蝕む黒の霧  作者: 栗木下
2:10年

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第74話

「さて、少々時間がかかるし時間稼ぎ頼むわ。」

 俺は掌を上に右手を前に出し、そこに少しづつ力を集める。


「ほう。随分と面白そうな事をしよるのう。」

「妾たちを巻き込むでないぞ。」

 雪翁が腰を落として竜君の攻撃に備えた体勢になり、狐姫が扇に再び青い炎を灯しつつ先程よりも強く踏み込むために力を溜める。


「何をするのか分からないけど…アタシの家から出ていけぇ!」

 竜君が口腔内に桜色の炎を集めていき、それが口から漏れ出るほどになった所で勢いよく俺に向かって莫大な熱量と迫力を持って放たれる。


「そうはいかんのう。≪多重氷壁≫。」

 しかし、俺と竜君の間に割り込んだ雪翁が5重の氷で出来た壁を生み出して炎をガードする。

 けれど、強力な炎によって雪翁の生み出した壁は少しづつ融けていく、このまま行けばもう数秒で融け切るだろう。だが、


「やれやれ、隙だらけじゃな。」

「がっ!」

 先程よりも速く、音を上回るスピードで狐姫が竜君の顎下に移動し、そのスピードのままで竜君の口を上下から蹴りつけて強制的に口を閉じさせる。

 そして、その衝撃で竜君の口の中で爆発が起き、その衝撃と痛みで竜君の体勢が大きく崩れる。


「アイツ等流石だなぁ。じゃ、俺も『我が身に流れるは黒き血潮。全てを蝕む黒き霧。さあ我が血よ氷嵐となりて全てを喰らい尽くせ…』」

 俺の右手に大量の黒い霧が集まり、最初はいくつもの泡がくっついた様なものであったが徐々に泡が弾けて球体となっていき、最終的に黒い真球が生み出される。

 そしてそれを俺は竜君に向けて…


「行くぜ!巻き込まれたくねえなら逃げときな!『アウタースキル・クロキリバク』!!」

 投げつける。


「こんなも…なっ!」

「なっ!これは洒落にならんぞ!?」

「うおう!危ないことこの上ないわい!」

 黒い真球が竜君の鱗に触れる。そしてその瞬間周囲一帯に大量の黒い霧と氷が撒き散らされ、竜君の体からHP,MP,SPが奪い取られ、奪い取られたHP,MP,SPは俺へと吸収される。

 ただ、残念なことに狐姫と雪翁はクロキリバクが発動した瞬間に範囲外へと全力で逃げのびている。


「はあはあ…お主!これほどのスキルならきちんと事前に説明しておかぬか!」

「まったくじゃ!こんなふざけたスキル初めて見たわい!」

 狐姫と雪翁が俺に対して文句を言って来る。


「ハッハッハ!どうせならお前らも巻き込まれりゃあ良かったのにな。」

 が、俺にとってはぶっちゃけ巻き込まれてくれても構わない。だって本来なら二人とも敵だしな。


「「ああん?」」

 まあ、それを言えばこんな反応が当たり前のように返ってくるけどな。


「ガ…グッ…なんだこの氷は…」

 と、徐々に霧が晴れて来て俺たちの目に竜君の姿が映り始める。

 竜君の右腕と右翼は黒い氷に覆われていて、そこから少しづつ体力などが俺に向かって流れ込んでいるためかその動きは非常に鈍い。


アウタースキル・クロキリバク

 ≪蝕む黒の霧≫と≪霧爆≫を組み合わせたスキルで簡単に言えばドレインとスリップ効果が付いた≪霧爆≫と言ったところだな。範囲ドレイン美味しいです。

 ちなみに威力そのものも上がっているから純粋に≪霧爆≫の強化系としても使える。


「さて、竜君よ。いい加減表舞台に上がる気は起きたか?」

「つっ…はっ…誰が…」

「ふむ。じゃあ、もう一発…」

「止めんか。これ以上は本当に死んでしまうぞ。」

 多大な手傷を負ってもなお抵抗しようとする竜君に俺は追撃を加えようとするが、狐姫に止められる。


「さて竜君よ。お主が外と関わりを持ちたくない。と言うのは分かる。だがな、今の世界にとって妾たち魔王は圧倒的な力の持ち主であり、その力は人間のためにも欠かす事の出来ない存在なのじゃ。じゃから最低でも関わりたくないのなら関わりたくないという意思を外に出すための眷属程度は持ってもらわねば困るのじゃよ。」

「人間の…ため?」

 竜君の目が大きく開かれ、驚いた様子を見せる。


「ふん。時間切れだから今回はこれで去らせてもらうが、これでも出る気がないなら次は討伐の為に俺たちは来る。どうするかを良く考える事だな。」

 俺はクロキリバクのドレイン効果を解除してから、竜君に最終勧告を告げて帰るための準備に入る。


「お主は最後までそういう態度なんじゃな。」

 狐姫も帰るための準備に入り、徐々にその姿が薄くなっていく。


「はー、久々に暴れられてスッキリしたわい。腰は多少痛くなったがの。」

 雪翁がスキルを解除して小さくなり、腰を叩きながら帰るための準備をする。


「あ…う…。」

 竜君が徐々に消えていく俺たちに戸惑っている。


「ふん。眷属を作ったならとりあえずは狐姫の方に寄越せ。そうすれば必要な事は教えてくれるだろうさ。」

「なっ!お主は妾に押し付けるのか!」

「ふぉふぉふぉ。お隣同士仲良くのー」

 そして、俺たちは戸惑う竜君を残して自分たちのダンジョンへ帰っていった。



■■■■■



 数週間後。『籠る桜火の竜君』は三魔王と合流する。


 更に数か月後。四魔王と人間の代表が集まり、第1回日本人魔会議が開催され、その場で四魔王間での大規模攻勢を禁止する条約が締結された。

魔王が関わるバトルは派手になりやすい気がします。

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