表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蝕む黒の霧  作者: 栗木下
2:10年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/157

第66話

まずはイチコが飛ばされた直後の話からです。

「はあはあ。まさかペンギンが襲い掛かってくるとは…」

 この地に飛ばされてから3日目。ひたすら歩き続けて海岸の近くまで来た私の周囲には普通のペンギンよりも大きく、腕が金属化し、剣のように鋭くなったペンギン型のモンスターと、その亡骸が大量にありました。


「ギャアギャア!」「ガアガア!」

 何故、襲い掛かって来たかは分かりません。ただ、彼らは私の姿を認めると突然襲い掛かってきました。もしかしたら目についた生き物なら何でも襲うように命令されているのかもしれません。

 ただ、


「一つ確かなのは、こうして彼らに見つかった以上は殲滅するしかない。という事ですね。来なさい≪形無き王の剣・弱≫」

 私は周囲の地面とこのペンギン(エッジペンギンとでも言っておきましょうか。)の腕に含まれる金属をより集め、一本の剣を作り上げます。

 その剣は形こそはよくある西洋剣。その中でもロングソードと言われるもので、装飾も何もない実戦重視の剣ですが、その中身は普通の剣とは比べ物にならない切れ味を有する一種の魔剣です。


「「「ガアアァァァ!」」」

「ハッ!」

「「「ピヨッ!?……ガッ……」」」

 現に今、武器を生成する間を隙と捉えたエッジペンギンが何匹かこちらに突っ込んできましたが、私が生成したばかりの剣で軽く横薙ぎしただけで全員真っ二つになりました。


 さて、≪形無き王の剣・弱≫ですが、これは私が半魔王化したことによって≪短距離転移≫に代わって現れたスキルです。“弱”と付いているのは私が純粋な魔王でなく、半魔王だからそれに合わせて弱体化したのでしょう。

 効果としては私の周辺に存在している金属を剣に出来、私自身と持っている剣を半径25m以内の好きな場所にテレポートさせるという効果があります。


「ギャアギャア!!」

 と、また一羽飛び込んできたので、私は攻撃を避けた後にそのエッジペンギンの頭と被るように剣をテレポートさせます。


「ピヨオオオォォォ!」

 すると、剣がエッジペンギンの頭を両断する形で出現し、エッジペンギンは絶命します。これがこのスキルの恐ろしいところで、詳しい条件はまだ分かりませんが、どうやらテレポート先に別の物体があると、その物体を切り裂くように出現するようなのです。


「ふっ。」

 そして、テレポートさせた剣を素材に私の手元に生成します。こうすればテレポートさせて私の手元から離れた剣も戻せるようです。

 クロキリの霧の体も相当なチートだとは思いますが、私のこのスキルも十分チートだと思います。これでもまだ“弱”と付いているわけですし。


「「「ガアガアガア!!」」」「「「ギャアギャアギャア!!!」」」

 仲間が一度に何羽も殺されたためでしょうか。周囲のエッジペンギンたちが大きく騒ぎ出します。ですが、逃げる気はないようです。


「さて、それならば、半魔王の力がどの程度のものなのか確かめさせていただきましょうか。」

 私は先程倒したエッジペンギンの亡骸から二本目の剣を作り出し、左手に持ち、二刀流になります。

 そして、私による正式名称も分からないモンスターたちを一方的に蹂躙する戦いが始まりました。



---------------



 死体、死体、死体。辺り一帯見渡す限りエッジペンギンの死体ばかりです。

 切った数は50を超えた辺りで数えるのを止めましたが、この様子ですともしかしたら1000を超えているかもしれません。なにせ地面が1なら死体が7ぐらいですし。


 まあ、また襲われても困りますし、この先の考え事は移動しつつにしましょうか。


 さて、戦っていて思ったのですが、やはりこの体のスペックはステータス通りに異常なようです。ダンジョン外補正も普通の眷属と同じ程度にしか働いていないようですし。と、具体的なステータスを見せた方が早いですよね。こんな感じです。



--------------


Name:イチコ(定まらぬ剣の刃姫) 

Class:半魔王 Race:定まらぬ剣の刃姫・半霧人 

Level:8 

HP:1045/1045 

MP:900/900 

SP:945/945 


Status

筋力 30 

器用 45  

敏捷 54  

感知 54  

知力 21 

精神 25 

幸運 10 


Skill

≪形無き王の剣・弱≫≪霧の衣・薄≫≪魔性創生・下位≫≪短剣習熟Ⅰ≫≪首切り≫≪キーンエッジ≫≪ロングエッジ≫≪主は我を道に力を行使す≫≪霧魔法付与(エンチャントミスト)≫≪主は我が為に理を超える≫



Title

≪黒霧の王の眷族≫≪白霧の暗殺者≫≪鬼殺し≫≪霧王の依り代≫≪霧王の寵姫≫≪定まらぬ剣の刃姫≫≪魔神と遭遇せし者≫≪首切り姫≫ etc.


---------------



 確かに魔王に比べたらステータス的には弱いのかもしれませんが、ダンジョン外にでも普通に出られますから考えようによっては魔王よりもはるかに強い気がします。


 それにしても名前も種族も見事に変わってしまっていますね。『定まらぬ剣の刃姫』それが今の私の種族であり、正式な名前なのですが、これはどういう意味なのでしょうね。剣や刃は固有スキルから納得もできますが、定まらぬの意味は分かりません。


 と、何か建物が見えてきましたね。

 私の想像通りならこの地はかなり厄介な場所なので、何かしらの便利な道具があるといいのですがね…。


 私はそんな事を考えつつその建物に向かっていきました。

05/19 ちょっと文章追加

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ