第62話
新章突入的なものになります。
「それではまず互いに名乗ると致しましょうか。私が人間代表の鴨河宗太郎と申します。」
初老の男性が椅子から立ち上がり、僕らに向かって頭を下げてくる。
「『凍てつく銀の雪翁』様代理。≪雪翁の騎士≫金栄ユウと申します。」
続いて銀色の鎧。恐らくは≪凍銀鎧≫を身に纏った色白白髪の青年が挨拶をする。
「『籠る桜火の竜君』様代理。桜火人、八重ミチルと申します。」
桜色の髪の毛をした妙齢の女性が立ち上がり、同じような挨拶をする。
「『百獣纏う狐姫』様代理。≪狐姫の侍女≫不知火イナホです。」
金色の髪に狐耳を生やした狐人の女性が礼儀正しく挨拶をする。
「『蝕む黒の霧王』様代理。≪解析者≫矢払チリトです。」
最後に僕が立ち上がり挨拶をする。挨拶をするまでは明らかに年若い僕をなめる目が周囲からいくつかしていたが名乗りを上げた時点でそれは無くなった。どうやら、≪解析者≫という称号は予想以上に知られているらしい。
「ゴホン。それでは、只今より第3回日本人魔会議を始めます。」
そして、鴨河さんが咳払いを一つしてから会議の開催を宣言した。
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クロキリさんが何者かにボロボロになるまで戦って敗れ、イチコさんが忽然と行方知れずになってから9年と少しが経った。
イチコさんの行方はイズミちゃんにホウキ姉さん、狐人の不知火ムギさん、それにリョウお嬢様の四人が懸命に探しているが、その痕跡すら見つかっていない。
ただ、この9年の間にうちの国の中だけでも色々な変化があった。箇条書きで上げるならこんなところ。
・霧王+人間と雪翁の間で起きた戦いが終結。(ちなみに雪翁の配下が南下してきたのは雪翁が行動を一切縛っていなかったのが原因だったそうだ。)
・『籠る桜火の竜君』の引きこもり脱却(という名の霧王、狐姫、雪翁の三魔王による引きずり出し)
・日本の国土に居た4人の魔王の間で大規模攻勢禁止の条約を締結。
・四魔王の眷属の人数が大幅増加。(と言っても人間に比べたらまだまだ少ないけど)
・狐姫が長距離転移陣を利用して大陸の『白を塗す糖王』との貿易を開始。
・日本人魔会議が開催。この国全体に関わるような事はここで話し合うようになった。
・スキルを利用した社会制度の導入による食糧などの安定供給
で、ここまでがこの国の中の事で、大陸の方ではこんな事になっている。
・国際連合の解体。人間の国は最大でも都市国家レベルの規模にまで縮小。
・魔王が治める国同士の戦争による大規模な混乱。
・それに伴う各種問題の発生。
・勇者を名乗る人物が現れては消えるの繰り返し(恐らくは自称レベルだから名乗った瞬間に潰されてる。)
・数体の魔王の討伐(確か鬼王、辛王含めて10人くらいの魔王が狩られたと思う)
・一部人間集落での正人間教会の台頭(ちゃんとした奴である)
まあ、早い話が世界は科学中心の世界からスキル中心の世界に移り変わりつつあるわけで、この会議の予測では後50年もすれば前文明の技術の大半は失われて、スキルによって代用される。という事になっている。
まあ、この9年の間にスキルに関する研究がだいぶ進んで、親子や兄弟間では相似なスキルが発現し易いことが分かったり、同じ魔王の眷属同士の子は生まれながら眷属として産まれ、違う魔王の眷属との間の子や人間との間の子はランダムに両親どちらかの種族になることが判明したりもしたけどね。
ちなみに眷属の出生率は普通の人間に比べて低いし、魔王は子供を作れないもしくは異常に出来る可能性が低いらしい。
…。うん。魔王に関してはクロキリさんがソースです。あの魔王はまったくね…。真面目に修行をしたり仕事をしたりしているかと思えば突然女遊びに走ったりもするからね…。
ああそうだ。後、眷属になるとレベルに応じて歳を取るスピードが遅くなるみたいだね。具体的には1/(自分のレベル)になるみたい。おかげで高校一年生で眷属化した僕は未だに肉体的には20歳以下だったりする。
と、この9年ちょっとの間に起きた話についてはここまでにしておいてそろそろ会議に集中しようか。
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『以上が今回の日本人魔会議での結論です。』
「法律などは現状維持で、俺は海と空の魔王に注意せよ。か。まあいつも通りだな。」
俺は『白霧と黒沼の森』でチリトからの報告を受けていた。と言っても報告の中身はいつも通りの「何もありませんでした。」なんだがな。
まあ、日本人魔会議は実質形だけのもので、実際にあの会議の中で今まで決まったことなんて魔王同士の大規模侵攻の禁止ぐらいだからな。
さて、この9年間で当たり前のように俺のレベルも上がっている。おかげでステータスはこんな感じになった。
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Name:クロキリ(蝕む黒霧の王)
Class:魔王 Race:蝕む黒霧の王
Level:5
HP:2020/2020 ↑110
MP:2330/2330 ↑120
SP:2260/2260 ↑120
Status
筋力 40
器用 55
敏捷 57 ↑1
感知 45
知力 64 ↑1
精神 74 ↑1
幸運 10
Skill
≪迷宮創生≫≪魔性創生≫≪蝕む黒の霧≫≪循環≫≪霧爆≫≪幻惑の霧≫ New!≪尖水柱≫
Title
≪蝕む黒霧の王≫≪白霧の奇襲者≫≪霧人達の主≫≪外を見た魔王≫≪鬼殺し≫≪魔王を討ちし者≫≪奇跡を騙るもの≫≪霧人達の王≫≪扇動者≫≪甘い毒の言葉使い≫≪霧の粛清者≫ New!≪魔神と遭遇せし者≫ New!≪日ノ本の統治者≫ New!≪魔神に反旗を翻す者≫ etc.
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さて、いつも通りに紹介していくとだ。
まず≪尖水柱≫だが、これは水の柱を地面から勢いよく出現させることにより、敵を攻撃する水属性魔法のスキルである。その勢いは並の鉄板程度なら余裕で貫けるほどである。
で、このスキル最大の特徴は魔力を水に変換して放つために例え近くに水源が無くても使用可能という点である。
つまり、例え周囲に水がない状況という俺にとって最悪の状態で戦いになっても≪尖水柱≫→水発生→≪霧爆≫→霧発生という流れで一時的になら問題なく戦えるようになるのである。
さて、称号の方だが目立った新しい称号は3つ。ただ、≪魔神と遭遇せし者≫≪魔神に反旗を翻す者≫に関してはそのままなので割愛。で、≪日ノ本の統治者≫に関してはあれだろうな。最近この国に対して色々やっているからだろうな。人攫いで口減らししたり、軍に霧人をやって対海の魔王とで共同戦線張らせたり、『白霧と黒沼の森』第3階層を使った人間達のレベル上げとかな。
で、本当は他にも色々あるわけだけど…、うん。そこはスルーで。数が多すぎて語る気になれない。
まっ、俺個人の事としてはこんなところで、次はダンジョンについてだな…
06/17 誤字訂正




