【一瞬の静寂】
【一瞬の静寂】
雑音の人波
うるさい、うるさい、うるさい
酷くひんやりとした触感の廊下
西洋の芸術的な古城
そんな神秘的なイメージ
実際は、ただのコンクリートに囲まれた、ただの宇宙
昼のひと時。日差しの届かない奥まった曲がり角
時が止まる
一瞬の静寂
遠くに聞こえる人々の残響が、酷く懐かしく、酷く心強い
一人ではないのだけれど、一人でいるような
一人なのだけれど、誰かといるような
不思議な感覚
気がつくと、体が宙に浮いて、空に漂っていた
無空に漂う体の表面は溶けていて、もう空気と同化している
境にあるのは俺の体なのか、それとも空気なのか、もはや判別は不可能だ
あぁ、なんと心地よいのだろうか?
俺はこの心情をうまく表現できる言葉を知らないけれど、一つだけ言えることがある
俺はこの、”一瞬の静寂”というものが大好きで、この瞬間のために一日を生きてみるのも、悪くない
雑音の人波
うるさい、うるさい、うるさい
それがどんなに素敵でも、一瞬は一瞬
すぐに雑音が宇宙にはびこる
人は、一瞬だからこそと言うが、だからこそ、永久を想像せずにはいられない
平穏を願わずには、いられない
あなたの心にも、”一瞬の静寂”を
そして、幸あれ