二人目続
どうも、樹純我純です。
久々の更新です。読んでくださっている方お待たせしました。
突然不機嫌な声が割り込んできた。
声の方を見ると、男の割りには髪は長く、キーチェーンにピアス、指輪などたくさんのアクセサリーをつけた男子がいた。
年は渉と同じくらいみえる。細いがそれなりに筋肉のついた体格で身長は高くないが髪型のせいで高く感じる。
「やあ、頼貴君!ちょうど君のことを話そうとしたんだよ。渉君、彼は柴崎頼貴君。君の一つ年下かな」
笑顔の皆堂に対して頼貴は全く表情を変えず、渉を見ている。
「おまえが渉か?」
喧嘩腰な言い方に少しむっとした渉は
「そうだけど」
何だ、と言おうとすると、いきなり紫色の光に囲まれた。
渉は触れないようつま先立ちできょうつけの姿勢をとらざるを得なかった。
「な!」
「よくも鬼灯を突き飛ばしやがったな。許さねえ」
「ちょ、頼貴!渉君動かないでね!頼貴!今すぐ止めなさい!」
「できねえな。こいつは助けもらう立場でありながら助けようとした鬼灯を突き飛ばしたんだぜ」
「あんなことで私が怪我する訳ないでしょ、それよりも何で知ってるのよ!また勝手に人の記憶履歴みたでしょ!」
「鬼灯の記憶履歴なんだから俺が毎回チェックするのは当たり前だろ」
「もうやめてって言ったでしょー!だいたい見たなら状況ぐらいわかってるでしょ!」
「もちろん、鬼灯が逃がそうとしているところを…」
「そうじゃなくて」
「おい!いい加減何とかしてくれよ!」
揉めているうちに渉はつま先立ち状態で限界が来て足が震えていた。
鬼灯は紫の光の根本を蹴り飛ばした。
一瞬、バチィ!とはじけるような音がして光は消えた。
はぁ、と息をつき渉は座り込んだ。
「ごめん、大丈夫?」
「はぁ、何だったんだ…てかいきなり何すんだよ!」
「それはおまえだ!鬼灯を突き飛ばしておいて。おまえがここで暮らすなんて絶対許さねえぞ」
「あれは俺も悪いと思ってる!」
「思ってるならなおさら許せるか!一回落ちろ!」
と、頼貴は渉に対してまた紫の光を放とうとする。
「なにを騒いでいる」
大きくはないが低く落ち着いた声が響いた。
頼貴が動きを止め、皆がそちらを見ると、先ほどの声に似合わない金髪碧眼の小柄な少女が立っていた。
「ずっきー!帰ってたんだ、おかえりー」
と言って少女は鬼灯に抱きついた。
「ベック!久しぶり、こっちに来るって聞いてたけどホントだったんだ!」
きゃー、と二人は再会を喜んではねている。
「鬼灯、久しぶりだな」
「師匠!お久しぶりです」
「もうマスターと呼ばなくていい。最後の訓練でお前は一人前だということを証明した。だから師としてではなく対等の立場だ。敬意は要らん」
「そうでしたね。ウォルフさん、改めてお久しぶりです!」
ウォルフはうなずいた後、渉と頼貴の方を見た。
「ライキ、その辺にしておけ。加減のわからん相手にうっかり死なれても困る」
さらっと怖いことを言ったウォルフ、という男がさっきの声の主だった。
身長はやはり高くスーツを着た上からわかるほどに筋肉のついた体格で、短めの茶髪であり目が細かった。
「渉、といったか」
「はい!」
「すまんな、ライキは短気な奴だが仲間としては頼りになる。仲良くしてやってくれ」
「は!?誰がこんなヘタレ卑怯者と仲良くするか!」
「なっ!こっちだってそこまで言われてわざわざ仲良くしてやれるか!」
「んだと、上から目線で上等じゃねえか」
「男だったら素手でこいよ、能力に頼らずに」
と、売り言葉に買い言葉となってにらみ合う二人。
「…仲良くしろとは言わん。せめて信頼できるようになるんだな」
ウォルフはそんな二人を見てぼそっと言い直した。
「はいはい!喧嘩はそこまで。四人は明日朝早いでしょ?渉君もこれからやることがあるからそこまで」
と、皆堂は渉と頼貴の間に入り込み、二人を押し止める。
と、そこへ鬼灯とはねていた少女、ベックが来た。
「ラーイキ、イライラしてると放電してばてちゃうよ?」
「しねーよ!しかも“らいき”じゃなくて“よりたか”だって何回言えばわかんだよ!」
しかし、彼女は無視して、その碧い目で渉を見つめ、話しかけてきた。
「渉っていうの?」
「あ、ああ。土岐野渉」
「トキノトキノ……じゃあトッキーだね!これからよろしくねトッキー!」
「トッキー?!」
「ベックはね、必ずニックネームを付けてくれるんだ。ここの人みんなにつけてくれるよね」
「そうだよ。だから今日からここで暮らすトッキーもよろしくね」
そう言って渉とベックは握手した。
「こっちこそよろしく。日本語ぺらぺらなんだな」
「うん、日本大好きだったからいっぱい勉強したんだ。ライキにも教わったんだよ」
「へぇ、意外だ」
渉は横目で頼貴をみる。
「何がだ」
再び喧嘩になりそうになるが、皆堂が言葉を挟んだ。
「じゃあ自己紹介が一通り済んだことだし、夕飯前に渉君の部屋に案内しようか」
「じゃあ私も」
「鬼灯、お前は俺たちと明日のことについて静婆様の所に行くぞ」
「えっ今からですか…分かりました。じゃあ渉君、また後で」
そして鬼灯はウォルフたちと一緒に、渉は皆堂の案内でエレベーターへ向かった。
「生活エリアはこのすぐ下の三階分が全部。専用のエレベータがあるからそれを使ってね」
そういって皆堂は三階のボタンを押す。エレベータはすぐにつきチン、と音とともに扉が開いた。
開いた途端に明かりがついた。廊下はV字型になるように左右へと広がっていた。
「ここが男子フロア。三階が女子フロアで、二階が共通フロアになってるから。えーっと、渉君の部屋は、と、こっち」
皆堂は右の廊下へと歩き、渉もついて行く。
エレベータから五番目の扉の前で止まった。皆堂は鍵を取り出し、扉を開けて渉に鍵を渡す。
「はいこれ鍵渡しとくね。何かあったら中に電話あるからそれで連絡してね。とりあえず荷物が届いてるから確認とかするといいよ」
じゃあねー、と皆堂は手を振りエレベータへと向かった。
部屋はベッド、本棚、机が既にそろっていて、部屋の奥にトイレ、風呂があるらしい。
部屋の中央には自分の荷造りした段ボール箱が積んであった。
「さてと」
渉は一番上の段ボールを開けた。
「村の神様?」
「そうだ、いわゆる“現人神”というやつだ」
薄暗い部屋の中、鬼灯の疑問にウォルフが答える。
部屋は四隅に紫色のカーテンが垂れており、真ん中にはテーブルが一つ、そしてその上にはプロジェクターがおいてあった。壁には農村の様子がわかる映像が流れていた。
鬼灯、頼貴、ウォルフ、ベックの四人に対してテーブルを挟んで座っている老婆が座っていた。老婆が目を閉じたまま語る。
「左様、年は分からんが、若い娘の姿をして、頭と腰にそれぞれ獣の耳と尻尾を生やした者が人々に崇められておる」
老婆はそこで口を閉じ、代わりに部屋の暗闇から現れた若い男の助手が続ける。
「そこで調べたところ、穂路端村という場所が浮かび上がりました。
ここは、山と山とに挟まれた場所で片方の山、鷲尾山は登山でそこそこ有名です。
が、その登山口の反対側にあるらしく人も少なく閉鎖的な村でした。また、古くから耳と尻尾のついた獣の神を祀り、狐や狸、イタチなどを信仰の対象としていたそうです」
「んー、でも神様として扱ってもらってるなら平気そうですけど。静婆様の目って“助けを必要とする者が視える”んですよね?」
「まあの。いつものごとく、どんな危険かはわからんが。あるいはこないだの少年のように…」
「確かにここ最近日本での『彼ら』の活動が活発になっています。なので今回も『彼ら』が関わっている可能性があります」
「そしてそのために俺たちが呼ばれたんだろ。鬼灯を守るために」
頼貴が言葉を挟む。
「ええそうです。あなた方には鬼灯さんの村までの護衛と村近辺の調査、そしてそのまま他の任務へと向かってもらいたいのです」
「望むところだ」
「では必要な物はこちらで準備します。何か質問はありますか?」
すると、静婆の手が上がる。助手の男は一拍空けた後、
「はぁ…なんですか」
「気に入らん」
「何がですか」
「この機械じゃ」
と言って、テーブルの上のプロジェクターを指さす。
「せっかく部屋を占い師風にしたのにこれがあって台無しじゃ。普通は水晶を置くもんじゃ」
「…後で置きますよ」
「今置かんでどうする!鬼灯たちがおるときに置いておかなきゃだめじゃ。のう?」
と静婆は鬼灯に同意を求める。
急に振られて鬼灯は、
「あっえ、ええとその…(でも静婆様には水晶なんか必要ないしけど本人のモチベーションや気分によって能力が左右されることもあるからってプロジェクターは確かに不釣り合いだけど…)」
考え込んでいた。
「シズ婆様って形からはいるんですね」
ベックが相づちにならないような相づちを打つ。
「そうなのじゃ!だからのう、本当は始める前に言うておきたかったんじゃがな…」
「では、解散で」
静婆が助手に文句の続きを言ってる所をウォルフが会議を閉じた。
若い助手はいつものことらしくウォルフに一度目を向け苦笑し静婆の対応に戻った。
「これで全部か」
最後の荷物を出し終えた渉はふぅ、とため息をついて部屋を見渡した。
荷物はそう多くはなかったが部屋の家具の位置なども少し変えていた。
時計を見ると案外時間が経っていた。
「そろそろさっきの場所に向かうか」
部屋を出ると、隣の部屋からもちょうど人が出てきた。
向こうも気づいたらしくこっちを見てくる。
身長は160もないくらい小柄で肌は白く中性的な顔立ちな少年だった。男子フロアで会ってなかったら間違いなく女の子と思っていただろう。
「えっと、今日からここで暮らすことになった土岐野渉っていうんだ。よろしく」
「……よろしく」
声も声変わりはまだらしくやや高めな感じであった。
「名前はなんて言うんだ?」
「…坂上薫」
もう話す気はないのか、坂上は渉の前を通り過ぎ廊下の奥へと向かっていく。
「エレベータに乗るんじゃないのか。そっちは行き止まりだろ?」
「別に、下に行くだけだから階段を使うだけ」
「下っていうと…」
「共有フロア」
「なら、俺も一緒に行っていいか。見学ついでに」
「まぁ、いいけど」
二人は並んで廊下の奥にある階段を降りていった。
下のフロアはソファ、テレビ、自販機などがそろっていてテレビ前にあるテーブルの上には誰かが置いていったのか雑誌があった。
「なんていうか、くつろげそうな場所だな」
「そういう場所だし、ここは。意外ですか」
「いや、まるでどっかの寮みたいだと思って」
ふーん、と坂上は適当に相づち、スナック菓子の自販機に硬貨を入れる。
二人は向かい合って座った。
菓子のサクサクと食べる音が続く。
「坂上君は」
「君つけないで。呼び捨てでいいから」
「あ、ああ」
「それと僕のことは名前で呼ばないで」
「わ、わかった。…それで坂上は何の能力をもってるんだ?」
坂上が手の動きを止めて渉を見る。渉はその年下の少年の目線にたじろいた。
「いや、ここにいるなら能力者なんだろうなぁ、と思って答えたくなければ別に…」
「……わかんない」
「は?」
「僕の能力は、よくわかんないんだってさ。まだ能力も不安定だし」
「そうなのか。俺もさ、自分の能力がわからないどころか本当に超能力者なのかさえわかんないうちにここに来てさ」
「…………」
「まぁさすがにこれで勘違いでしたって事はないと思うけど」
「仕方がなく連れてこられたとか」
「あー、少しそうかな。できれば自分の能力がどうとかってのは巻き込まれたくなかったけど。けど、俺のせいで巻き込まれた大切な友達がいるんだ。その二人を探し出すまではここに居続ける」
「…………」
「って急になに言ってんだろうな俺」
坂上は何もいわず立ち上がって今度はエレベータへ向かっていく。
「食堂、行く?」
渉もエレベータへ乗った。
「あ、渉君!」
食堂へ来ると先に来ていた鬼灯が渉たちに気づいた。
「今呼ぼうかと思ってたんだけど坂上、と一緒だったんだ」
「部屋出るときにちょうど会ってさ」
「…ども」
「でも珍しいね、食堂で食べるなんて」
「いや、冷蔵庫空だし買い置きもなくてそれで仕方がなく」
仕方がなく、と言った坂上に鬼灯は、
「そっか………」
「さ、坂上の部屋には冷蔵庫があるのか」
「そうだよ、坂上さんは自分で料理してるんだよ。だから滅多に食堂に来てくれないし」
「…あんまり騒がしいのは苦手ですから」
「そっか……でも今日は一緒に食べようね!」
坂上はうなずくとカウンターに並びに行く。渉も並ぼうとするが鬼灯に呼び止められた。
「渉君、その坂上さんについて聞いた?」
「ん?ああ、自分の能力がわかんない事なら本人から直接聞いたけど」
「そう…」
「なんか俺と同じだな、って思ったんだけどさ。それがどうかしたのか?」
「なんでもないの。あ、ちなみに坂上さんは渉君と同い年だからね?」
「えっ、そうだったのか。てっきり小学生くらいかと思ってた」
「それ、本人に言っちゃだめだよ…」
鬼灯の会話にどこか引っかかる所があったが渉は同い年だという方が気になって気づかなかった。
その後は頼貴、ベック、ウォルフを加えた六人で夕飯を食べ、少し話したり(喧嘩しかけたり)して過ごし、そこでそれぞれの部屋に戻ることにした。
「じゃあまた明日ね」
「鬼灯、明日は早いからこいつには会わねえだろ」
「別にいいだろう、また明日」
鬼灯、ベックとはエレベータで別れ、頼貴に嫌みを言われたが無視し、頼貴、ウォルフとは廊下で別れた。
「じゃあな、お休み」
「お休み」
坂上とは部屋の前で挨拶をして別れた。
部屋に帰ってやることもなかったので風呂を浴びてさっぱりした後、眠れるとは思わなかったが、早々に布団に入った。
意外なことにすぐにまぶたが重たくなってきて夜はあっさりと一日目を終えた。
次の日。
朝に電話で皆堂さんからのモーニングコールをもらい、教えてもらった部屋の前についた。
時間は10時5分前、渉はノックしてから部屋に入ると、すでに二人がすわっていた。
男女一人ずつで二人とも渉と目線があった。
「ここって、説明会みたいな場所であってるかな」
渉が聞くと奥に座っている男子が笑って答えた。
「そう、“今の状況とこれからについての説明会”であってるよ」
短髪を金髪でたたせているが常に笑顔で好青年の印象を与えていた。年は自分と同じくらいか、と思っていると、
「俺は水無瀬宗次、ここへは一週間前に来たばかりなんだ。よろしく」
「よろしく。俺は土岐野渉、昨日来たばかりなんだ」
「そうなのか。なら」
その時扉が勢いよく開かれ壁にぶつかってバン!とものすごい音がした。
三人が三人ギョッとしてみると、少女がひとり。
「すいません!遅れました!!」
それだけ言うと少女は膝に手をつきゼェ、ハァ、と息をつくだけになった。
「いや、まだ遅刻じゃないと思うよ」
渉がそれだけを言うと、声が出てないが、うそ?なんだぁ〜、と言ったと思われその場にペタンと座った。
「や、みんな揃ってるね」
「はひっ!」
続いて皆堂が到着して説明会が始まった。
四人の男女が山道を歩いている。二人の少女に一人の青年、そしてスーツ姿の男が一人。風景と組み合わせがちぐはぐな四人だがそれを気にする者はいない。
青年、頼貴と同じくらいの年の少女、鬼灯がウォルフに尋ねる。
「本当にこの先に村があるんですか」
「そのはずだ。多分、この道は狭く車も通れんから普段は使われてないのだろう。都合が良いと言えば良いが」
「?都合って」
「つまり、あいつらのことでしょ」
と、ベックが言うと四人の前に男二人が現れた。
二人は中華風の装束のようなものを着ていて、片方は白一色、もう片方は黒一色という明らかに浮いている格好をしていた。
白い方が口を開く。
「俺たちに気がついていたか」
黒い方が口を開く。
「さすがだ、と言いたいところだが」
白い方、
「お前らはすでに袋のネズミ」
黒い方、
「おとなしく降参してもらおうか」
ここで頼貴がイラついた声で口を挟んだ。
「ったく、白黒白黒…うるせいやつらだ。交互にしゃべってんじゃねえぞ」
「条件は」
「はあ!?何相手に会わせてんだよ」
「待ってライキ。相手は後三十人くらい隠れてる。こんな人数を動かすってことは何か目的があるはず。それが何か聞かなくちゃ」
ベックは小声で頼貴に理由を話した。
ち、わかったよ、と頼貴が黙ったところでウォルフの問いに白が答える。
「条件はただひとつ。そこの娘、ほおずきとやらをこちらに渡せ」
「そうすれば他三人は生かして返してやろう」
黒が引き継いで答えた。
「私?」
「そういうことか」
「やっぱりね」
「諸々引っくるめて言いてえことはあるが、ウォルフ、もういいよな?」
「無論断ればどうなるかはわかっ」
「断らせてもらう」
ウォルフが白い方の言葉を遮っていった。
再び白、「いいだろう。なら」
黒、「全員ここで殺してやる!!」
周りの茂み、崖から炎、氷、雷が一斉に飛んできた。
「さて、まず自己紹介からしようか。じゃあ宗次くんから」
「俺は水無瀬宗次。高校一年、さっきも言ったがここには一週間前に来たばかりだ。改めてよろしく」
宗次が自己紹介をしたあと、渉の先にいたもう一人が立った。
「次は私ですね。はじめまして、私は風間愛風といいます。高校では三年生で多分、この中では一番お姉さんですね。
名前の通り風が好きで少し操れるんですよ。これからよろしくお願いしますね」
と言って席に着いた。髪は茶色。今は制服を着ているが雰囲気が落ち着いていてどことなくお嬢様っぽい感じがする。
「じゃあ次は渉くんで」
「はい、俺は土岐野渉。水無瀬と同じ高校一年でここへは昨日来たばかりだ。あとは、自分の能力とかよくわかってないけどこれからよろしく」
「うん、そうだね。君たちの能力についてはこれからだからね。まあ心配することはないよ。最後にかなちゃん、よろしく」
はい…、と自信なさげに立ち上がったのは先程ドアを思いっきり開けた少女。眼鏡をかけていて髪は結わいて二つに分けている。そして眉毛が申し訳なさそうに下がっていた。渉と目があったがすぐにそらした。
「えと…名加那かなです。中学二年です。………よろしくお願いします!」
「はい、じゃあ自己紹介も終わったとこだし今度は僕達について、簡単に説明するね」
「なっ、ばかな!!」
「ありえん…」
その場に立っていた六人の内、白と黒の中華風装束の二人が愕然としていた。
若い男女の集団、総勢三十名が倒れていた。
そして、その中心に四人、鬼灯たちが立っていた。
「これで全部か?」
「あとはあいつらね」
「すごい…」
鬼灯は今見た光景に改めて仲間たちの強さを感じた。
数分前―。
鬼灯達めがけて様々な攻撃が飛んできた。
しかしこれは四人ともかわしきった。が、すでに一人一人が五、六人の敵に囲まれていた。
これはやるしかないわね…鬼灯が構えると、
「鬼灯には手を出させはしねぇ」
と、鬼灯を囲んでいた敵が紫電に包まれた。
「頼貴!?」
と頼貴の方を見ると、頼貴の周りの敵も倒れて痙攣していた。
と、次は目の前をがたいの良い男性が吹っ飛んでいった。
そっちを見ると他もまとめて飛んで倒れていて、ウォルフが左手を突きだして止まっていた。
「左拳『ショットガン』…この程度とはなめられたものだな。」
ウォルフが睨むと、たじろいた白い方が叫ぶ。
「くそ、そこのチビだけでも捕まえろ!」
ベックを囲んでいた敵が同時にベックへと距離を詰める。
「そんなんじゃつかまんないよ」
するといつのまにかベックは鬼灯のとなりに来ていた。お互いの顔を付き合わせることになった敵を頼貴がまとめて紫電に包む。
「くっ、話が違う!所詮ガキのお守りばかりしている集団ではなかったのか?!」
「確かに俺達は身寄りのない子などを引き取る慈善団体でもあるが、それだけだと思ったのか?」
「まぁニホンは最近戦力増大したばっかだしね。私たちもそのために来たし」
「…そして、その中で君たちのような超能力者をみつけるのが目的でもあったんだよね。ここまでで何か質問ある人はいるかな?」
はい、と宗次が手を上げる。
「その割りには人が少なくないですか?もっと色んな超能力とか見れると思ったんですけど」
「それはそういった子が見つかるのは希だし、なにより問題がなければこちらからは干渉せずにそのままにしておいたんだよね。頼貴君や鬼灯君なんかは逆に珍しいんだよね」
「それは俺、達もですか?」
渉は自分がここへ来た理由を思いつつも訊いた。
「君たちの場合は状況が状況だからね。最近はそうもいかなくなったんだよね」
「さて、他にも聞きたいことがあるんだがな」
白と黒は目を閉じ静かに笑いだした。
「……ふっ」
「ふっふっふっ…」
「ったく気持ちわりぃやつらだぜ。今度はなんだ」
『やはり、奥の手はとっておくものだな!』
ハモった…
と、鬼灯が思うと、地面が盛り上がり人らしきものが出てきた。
そいつは全身包帯だらけての先からそれぞれ三つ、両手で六の鉤爪がついていた。
とまあいかがでしたか?
相変わらず区切る場所が下手ですよね。
登場人物が急に増えた感じになっていると思います。
更新は不定期となっています。
ただ、そのうち他の話も同時進行させていただければと思っています。
それでは、ありがとうございました。