二人目「俺の能力は……」
どうも、樹純我純です。
今回から二人目(二話目)ということで始まっていきます。
携帯小説の長さが大体どれくらいかわかってないですが、読んでくださってるかたはどうか長い目でみてください。
朝、いつものように喜美が家の前で待っていた。
「おはよ、渉!」
「おはよう、相変わらず早いな」
「渉こそ最近はちゃんと起きてるじゃない」
「まぁな、毎日家の前で待たせるわけには行かないからな」
会話をしながら俺たちは学校に向かう。早めに家を出ているため歩くペースは少し遅めでもかまわない。
学校が見えてくる頃二人で話していると、
「ようお二人さん、おっはよう!」
「おう」
「おはようございます!」
後ろから佐藤が追いついてくる。
本当は声をかけるもっと前に追いついているのだろうが、気を使って学校に近づくまでは話しかけてこないらしい。恩着せがましくも本人が言ってきた
そして、学校の校門を三人で通る。
そんないつもの光景。
「…………ん」
渉は上下に激しく揺れるのを感じて目を覚ました。
今は夕方。
この季節、すでに空のほとんどが黒く染まり夕方チャイムは鳴り終わった後だ。
渉は今まで夢を見ていたのを思いだした。
今のは、普通の夢だよな…いや、本当なら今頃あんな風に過ごしてるはずだ。喜美、佐藤…
俺は五日前の朝方、友達二人が事件に巻き込まれ行方不明になったのを知った。
他にも行方不明者はいたため、二人だけに注目されることはなかった。ニュースではこの現代の「神隠し」を集団失踪事件として捜査することを警察が発表したが、俺はその事件の真相を知っている。
行方不明者たちは皆“超能力者”と名乗る連中にさらわれたのだ。俺もそいつらに狙われていたが、そこを“超能力者”の少女―神山鬼灯に助けられた。
彼女が奴らを倒したが、逃げられてしまい喜美と佐藤、他50名もの人がさらわれてしまった。
正直、まだ喜美たちをさらった超能力者と鬼灯たちの超能力者がどう違うのかわからないが俺は喜美と佐藤を捜しだすために鬼灯たちについて行くことに決めた。
「あ、起きてた?」
一つ前の席から神山がのぞいてきた。
「あ、ああ」
顔が近い…。
今まで気にしてる余裕がなかったけど、鬼灯がもしうちの学校の生徒だったら人気になっただろう。特に佐藤とか。
渉はそんな事を考えていたのでつい生返事になってしまった。
「もうそろそろ着くから降りる準備しといてね」
といって、座りなおす。
渉たちは現在鬼灯たち超能力者所有のバスで移動していた。渉たちの他にも数人乗っていたが、どの顔も疲れ眠そうにしている。
目的地に着いたのか、バスは右折し建物の中に入っていく。建物は普通のどこにでもあるビルでバスはそのまま地下駐車場へと入り停車した。
「ここが目的地?」
「そ、私たちの秘密基地、なんてね」
鬼灯は冗談めかして言って先にバスを降りた。渉も続いて降り見回すが、まさに普通の駐車場。
あるのも守衛室の隣にある駅の改札のようなゲートだけである。
しかしバスを降りた人は全員そのゲートに向かってる。
「あそこから入るんだよ。ちょっと待ってね、今カード借りてくるから」
そういって鬼灯は守衛室に向かっていく。
中にいる人と話し、戻って渉に免許証サイズのカードを渡した。
「とりあえずそれを使って。明日には自分のカードができあがるから」
「わかった。でもなんていうか思ったより」
「思ったより普通?」
「ああ、なんていうか、もっと秘密組織っぽい物を想像してた」
そう言いながら渉はゲートを通りその先の扉を開けた。
扉の中は広い空間だった。
まず扉の先、飛行機の搭乗口のような壁の部分がガラスになっている廊下がのびていた。
まるでなにかのSF映画で見たような場所だった。。
扉を入って右側にはロングテーブルがたくさん並び左側はカウンターやロッカーらしきもの、更には大きな電光掲示板などがある。
そして壁はもはやエレベータで埋められ、そこかしこにガラスの柱が数本たっている。人が少ないせいか余計に広く感じる。
「想像してたとおりのような場所でしょ?」
渉が絶句してると後ろから鬼灯が声をかけ渉を抜かして行く。
廊下の先はガラスの柱の一つにつながっているらしい。
「……」
俺はさっきまでの駐車場と今の光景とのギャップに声が出なかった。
他の人は既に下へと降りている。どうやらガラスの柱はエレベータだったらしい。
思わずワクワクしてしまった。
エレベータはすぐに着き改めて空間を見回す。すると後ろから声をかけられた。
声の人物は眼鏡をかけていて、 幻惑者と同じくらい長身だったがこちらの方が細長い感じの体格だった。
「やあ、ご苦労様。ここまでの長旅大変だったね」
男は笑顔で話しかけてきた。
「あ、皆堂さん!バスに乗ってないと思ったら先に帰ってたんですか」
「そう、いろいろと準備があったからね。
君が渉君だね。僕は皆堂満、一応ここの責任者、ということになってるから今後ともよろしく」
と言って、渉に手を差し出す。
「どうも、土岐野渉です。こちらこそお世話になります」
といって渉は手を取り握手した。皆堂は申し訳なさそうに、
「すまなかったね、先日は間に合わなくて危険な目に遭わせてしまって。鬼灯くんから連絡をもらってすぐに向かったんだけど邪魔が入ってね」
「いえ、俺はほとんど何もなかったから大丈夫です」
「私も何だかんだで無事でしたよ。それに自分の能力も発揮できたし」
「いや、鬼灯君は結構な重傷だとおもうよ…?
とりあえずこれから当分、渉君にはここに住んでもらい自分の能力について学んでいってもらうから何かわからないことがあったらいつでも相談に乗るからね」
「あの、まずはっきりさせておきたいことが。俺、ここへ来たのは友達を捜すためなんです。だから都合がいいのは承知なんですけど」
「“超能力については関わりたくないと?”
友達のことは聞いてるよ。もちろん、その事に関しては協力するし友達と再会できたらここを去るのも君の自由だ。
ただ、友達が見つかった場合、君はどうする?」
「それは」
「もしピンチな状況だったら助けたいよね?」
渉は迷うことなく頷く。
「けど、その時本当に助けられる?」
「は?当たり前です!なにいっ」
「本当に?君はもう見たよね?僕たちがどんな存在か、どんな戦いをしてるか。君はその中に飛び込んで行ってさらわれた友達二人を救い出すことができる?」
「っ!…………」
「さっきも“なにもできませんでした”って言ってたけど、救いたい人が目の前にいるのに“なにもできませんでした”の君で助けられるのかい?」
「…………」
「でもね。僕はまだわからないと思う。そんな君はこないだ、鬼灯君を助けたいと思って結果的に助けられた。そして君自身の能力をわずかながらも発揮してね」
そこまで言うと皆堂は鬼灯の肩に手をおく。
「まあさすがに鬼灯君みたいに強くなれーっとは言わないよ?それに君が超能力についてよく思ってないのもわかっている。それでももしもの時、君が悔いることがないよう能力を発揮できるようになった方がいいかなーとお兄さんからのアドバイス」
渉は軽く考えていた自分を恥じた。
なんでそんな簡単なことも考えなかったんだ…
渉が何も言わないので鬼灯が助け船を出す。
「渉くん!そんなに重く考えなくても良いんだよ!?別に皆堂さんだって責めるつもりで言った訳じゃないし」
「そ、そうだよ!?鬼灯君の言った通り責めたわけじゃないしむしろ巻き込んでしまったこっちも悪かったしね?」
「それでも、俺、全然考えも覚悟も足りなかったです。俺の方こそすみませんでした」
渉が頭を下げると、
「そうだ、渉くん。啓大さんに会お」
鬼灯が思い付いて提案した。
「啓太くーん、いるかな」
そして広間の奥、どうやらロングテーブルの辺りは食堂として使われるらしかった。
「ここは食堂ね。このテーブルが全部埋まることは滅多にないけど、食事の他にちょっとくつろぎたい時とかはここがおすすめだよ」
と、鬼灯が補足をいれる。
皆堂が名前を呼ぶと、調理場のような場所から一人の青年が出てきた。
見た目は二十歳くらいで場所にふさわしくコックの姿だった。
「あ、皆堂さんお久しぶりです。夕飯にはまだ早い気がしますけど何か作りますか?」
「いや、それはまた今度で。こちら、今日からここに加わるメンバー、土岐野渉君」
皆堂は大げさに両手をぱらぱらと振る。
「土岐野渉です。よろしくお願いします」
「よろしく、僕は春原啓太。今はまだ見習いだけど小腹が空いた時とかここに来れば何か作ってあげられるよ」
「彼はいわゆる火炎操作だけど、別に戦ったりしてるわけじゃなくてこうして料理を作ったりしているんだ」
「僕の炎はそんなに大きくできないですから。でも料理したり作り置きをすぐに温めたりするのには便利なんだ」
といって指先に火をつけて見せてくれた。
「そういうこと。ここではこうして皆自分にあった能力の使い方をしながら学んでいくんだ。だから渉くんにしても急に未来予知をしろーとか言わないからさ。どう学んでいくかは君次第」
「私も自分から戦い方やこの能力の訓練を受けたんだよ」
「そうだったのか。てっきり日々能力の開発とか鍛えたりするのかと思ってた」
「能力の開発ね、できたら便利だよねー」
「そう言えば頼貴もそんなこと言ってませんでしたか?」
「あ、そうか。渉くんを見てるとなんか似てるなーと思ったら頼貴君に似てるんだ!」
「誰がどう似てるって」
ということで続きます。
二話目では新キャラをどんどん出していくことになりますがここで区切ると二話終わりまでかなーり投稿数増えますね…。
あんまり多いと飽きられてしまうと思うのでなるべくまとめて投稿しますが、最後までついてきてくださると嬉しいです。
読んでくださりありがとうございました。