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一人目続

というわけで続きです。

投稿の仕方が下手でサブタイがひどいことになってますが、内容はその通り続きです。


まぁ言うことはそれだけですので本文をどうぞ。

(もうちょっとましなこと書かんかい)


「…にしても迎えに行った時まで寝てたなんて…本当迎えにきてよかった」


「違うって。迎えにきた時には起きてたって」


「ちょうど、でしょ!もぅ、明日から文化祭なんだからしっかりしてよね」


「へいへ…、待てよ伊集院。文化祭はまだ先だろ」


「え?何言ってるの、今日は前日準備の日で背景とか実際に教室にセットしたりするよ?」


「……だっけ?」


「しっかりしてよね!最近ぼう、としすぎ!」


「あれ、あの日からもうそんなに経ってたか」


…あの日っていつだ?確かあの日は…


「なぁ、伊集院」


「ねぇ、なんで今日は名前で呼んでくれないの…」


「えっ?」


「こないだから、その…名前で呼んでくれてたのに…」


「こ、こないだって、いち?っ…!」


…な、なんだこれ。噛んだし。


「……ばかっ!」


そういって、伊集院は顔面を真っ赤にして、走っていった。




残された(?)俺はただ呆然と立っていました。

じゃなくて、これって追いかけるべきか、いやそもそも名前で呼んでって…



これはあれか。いつも佐藤の奴が言ってるような状況なのか…。




などと、渉は混乱しつつも学校へ向かった。





教室へ入るのにこんな勇気がいる日が来るとは。


渉は教室の扉の中へ入るのを渋っていた。


「よお、扉の前で何やってんだ。てかテンパってるし」

「おぉ?!佐藤か。なぁ、伊集院がどんな様子か教室に入ってみてくれないか」


「ふん?はいはい!りょーかいそゆことね。なんだよそれならそうと一言俺に言ってくれればいつでも…」


「いいからはやく!」


「なら一緒に入ろうぜ!めんどくせー」


「なっ!ちょっ!」


佐藤は逃げようとする渉と肩を組み扉を開けた。

「おはよう!諸君」


「おう、はよう」


「おはよ」


「OH!葉よう!」


佐藤の挨拶にそれぞれが挨拶する。(待て、最後のは挨拶か?)

そして、肩を組んだまま伊集院の前に進んだ。


「伊集院さん、おはよう!」

「あ、おはようございます。佐藤くん」


「いいねえ、朝から元気で!今日も頑張っていこう!」


「はい。今日の準備頑張ろうね。」


「おう!なんならよそのクラスの奴も手伝わせるから何でも言ってね!では!」


「………」


そんな佐藤と伊集院との遣り取りの間渉はずっと黙っていた。

そうして渉と佐藤は席についた。


「さてと。ここからは内緒モードといきますか。で、何があった?ありゃあ間違いない。間違いなく何か些細だけど大切な約束なようなもの忘れられたときの感じだ。何を忘れた?」


「何で今のでそこまでわかるんだよ?!」


「で、何があったって?」

佐藤はなぜか楽しそうに俺の肩を肘でつついてきた。何がそんなに楽しいんだ?


「それは……」


渉が言い澱むと、佐藤は勝手に推論を言い始めた。


「じゃあ、俺から当てようか?そうだな、今日は一緒に登校してなかったから待ち合わせに遅れたとか、はたまた他の女子と話してたかまたは登校中に伊集院さんとイベーントとつにゅ…」


「わかった!わかった言う!言うから!」


これ以上何を言うかわかったもんじゃない!





そして渉は登校の際あった出来事を話した。


「なーーる。はいわかった、おまえが悪い」


「いや、まぁ、そうだけど」


「というかなんでそこまでしかイッテナイワケ?まだ名前で呼ぶとかなんとかってそこかよ!お前ゲームだったらプロローグ以前の問題だよ!」


「てかツッコムところそこかよ!」


「はぁ、まあいいや。原因は分かったとして。どうする?」


「どうするって…」


「つまりどうしたいかってこと」


「どうしたいかってそれは…」


その時ちょうど鐘がなり、担任が入ってきた。


「はい、じゃあ今から準備に取りかかるぞー。ゴミだしとか時間決まってるからちゃんと放送を聞くように。後は委員が指示出して動くように」


「はい。じゃあみんなまずは教室の掃除からお願いします」


おー、とかうぇーとかかけ声があがり、全員が机を下げ始めた。


「まぁいいや。続きは作業中にな。うぉっしゃー!早く準備して早く帰るぞー!」


と叫んで全体のモチベーション上げ下げしつつ、佐藤は自分の席に去っていった。




「でさっきの続きだが。どうしたいか考えたか」


文化祭準備の中、佐藤と渉は並んで作業しつつ話を再開した。


「……別にどうもする気は、ないよ」


「でもよ、俺が言うのもなんだがここんとこの二人の仲、てっきり本当につき合い始めたのかと思ったぜ」


「それが、俺ここんとこの記憶が曖昧なんだけど」


「曖昧っていつから?」


「あれからだから、ちょうど一週間前。」


待てよ、そのあれってのはいつのあれだ?朝も言ってなかったか?


「お前なぁ、記憶喪失なんて今どきっておーい、戻ってこーい」


「あ、ああ」


「まぁいい。で、今までの事をふまえ俺からのアドバイスはひとつ、それは…」


「それは…」


佐藤が間をあけるのでつい言葉を繰り返してその先を促す。




そして、佐藤が口を開くタイミングに教室の扉が勢いよく開かれた。


「いた!」


そこにいたのは息を切らした三年生の姿だった。身長は女子の中でも高めで肌は白、その体は運動部なのか足、肩など引き締まっているのがわかる。顔は走ってでもいたのか頬が赤く上気している。




かわいいというより美人、の外見もそうだがそんなことより目を引くのはぼろぼろの制服だった。


三年間着てもそこまではならないだろうというくらいすり切れいて、至る所(特に腕)が破けていた。更にはその白い肌の所々に明らかに火傷とわかる赤い痕がその白さに反して痛々しく残っている。



その三年生はまっすぐと渉へ近づいてきて腕をつかみ引っ張っていかれ、連行される形のようになった。


「ちょっ、ちょっといきなり…!」


渉は佐藤に助けを求めようとしたが、

「って、なんだよ!このタイミングでエスケープ!どんだけヘタレだよ!そりゃねえだろ!何のために溜めたと思って…」


「訳わかんない事言ってないで止めてくれよ!」


どういう事だ?逢い引きかよ!、とか新たなフラグ立ててんじゃねーよ!とかならわかるがエスケープ?明らかに三年の、しかも女子の先輩に連行されてるのに?




しかし、この状況の異変はそれだけではなかった。佐藤だけでなく他の生徒全員が気づいてない。渉に声をかけるクラスメートも、


「なんだ、サボタージュか?」


「おーいどこ行くの?迷路の壁の設置終わった?」


「渉、暇だったらついでに工具貸し出しで金槌三つ、たのんでいいか?」


等と、明らかにこの先輩を無視、いや気づいていない。




そう、なんていうか、渉の腕を掴んでいる三年生がいる、のに気づいていない。視えていない。存在していない。




渉が何かおかしいことに気づき始めたときには、校舎から少し離れた自転車置き場にいた。



そこで渉を引っ張ってきた三年生と向き合った。そして渉はあらためて三年生をみた。



ぼろぼろの制服。



火傷の痕。



つぶやきながら考える仕草。


!!!


「…でも幻惑にはまってる限りこちらと見えている世界が違うわけだし…」


「あ、あの!」


「ん?」


「もしかしてこないだの、えと、銃弾はじいたり屋根に跳び移ったり…」


「あなた、私のこと覚えてるの?」


「ええ、はい。だいぶ前のことでしたから忘れていたんですけど。」


「そう、でもだいぶ前の事じゃないわよ。あなたと私が会ったのは昨日よ。」

「は?」


「本当はだいぶ前から話しかけていたんだけど、幻惑者の術中で私が視えていなかったみたい。何とかして君と話せないかと幻惑の隙間を探していたんだけど君が学校に通っているならこの姿でなら気づいてもらえると思ったんだけど。それがやっと昨日の事よ」


「それなら、今日はまだ文化祭の前日じゃないはず!あれは確か…!」


「それも幻惑の一つ。今のあなたの周り、時間も人も環境も全て幻惑者が作り出した偽物。普段通りに見えても不自然な部分とか矛盾があったはず」


確かに心当たりはあった。さっきの事といい突然日にちが飛んだ事といい。


「じゃあその話が本当ならここは今、夢の中とか、なのか?」


「それは違う。敵の幻惑はもっと高度なものよ。聞いて。私は幻惑にかかってないから全て普通に視えているわ。そして今、私から視たこの町にはあなたしかいないの」


なっ、と俺はさすがに絶句した。


「そんなっ!母さんや俺の妹、他にも佐藤や伊集院までも幻だっていうのかよ。だったら、俺が食べていた朝飯や弁当は!」


「それは私は実際に見てないからわからない」


「都合がよすぎる。それにそしたら本物の俺以外の人たちはどこへ行った?そしてあんたが幻覚じゃないとも言い切れない」


「どこへ行ったかもわからないし、証拠もない。けど、君の幻惑を解く方法ならある」


「なに?」


「それは幻惑者を倒す事。そしてその幻惑者の核を取り除く。そうすれば君の幻惑も解ける」


「………」


こうなってくるともはや子供向けのファンタジーだな…。


「能力の特徴上、幻惑をかけられた時、君は幻惑者に会ってるはずよ。多分記憶が飛んだり、物事に矛盾を感じた直前とかに」

「記憶が飛ぶ…?」


たしか、確か…戦いの場に遭遇して、そして…


「!」


渉が何かを思い出しそうになったとき、少女に緊張が走った。


「いた!けどっ!最後にこれだけ、いい、何かおかしな事を感じたりしたら私を思いだして!私の名前は…」


その時、聞き覚えのある銃声のような音が鳴り響いた。


「なんだ!?」


渉は音の鳴った方、校庭に振り向いたが、そこでは文化祭の出し物の予行練習が行われていただけだった。

渉が顔を戻した時には、目の前に誰もいなかった。




……あれ、俺は何でこんな所にいるんだ?


「おーい、わたるー」


渉が見上げると佐藤が窓から呼んでいた。


「個人練習もいいけど舞台ができあがったから一回最初から最後まで通すって監督様が言ってるぞ。早く来いよ、主役!」


「あ、ああ。今行く」


…そうだ。俺はクラスの劇の練習をここでしてて、それで…それで?

誰かと話してた気がするが、まぁいいか。



そして渉は劇の練習のため、クラスの教室に戻っていった。





「…はい、ありがとうございます。あとは明日に最終フェイズに突入ですか?…はい、では予定通りで。例の少女はどうしますか?…………はい、では全力で。いえ、やっと下っ端を抜けてからの初任務、必ず成功させてみせます。はい、では」


リンゴは自分の直々の上司であり、かつ今回の計画の首謀者との連絡を終えた。


「で、旦那は何だって言ってた?」


「予定通り、明日には《洗脳》が完成するそうだ。そしたらこれを、」


といってリンゴはポーチから腕時計のケース大の、中を衝撃から守るケースをちらとみせ、確認し、

「こいつをターゲットに埋め込むまでだ」


「でも、NP、ナチュラル・サイキッカーにそいつを埋めるなんて初めてじゃね?」


「だからこそ、この計画は旦那、ひいては俺たちの組織で注目されてるんだろうが。だから失敗は許されない。何としても」


「へーへー、気張ってるねぇ。じゃああの女は?」


「あいつも間違いなくNPだろうが、今回はただの邪魔だ。計画さえ邪魔されなければ生かすも殺すも自由、だそうだ」


「ひゅぅー、なら俺が殺っていいか?借りを返してやるぜ」


「やめとけ、とは言わんが俺としてはこのまま近づけさせないにとどめたい。戦闘向きのNPだし、一人でいたが仲間がいるともわからない。それに単純に強い」


それを聞いてハチミツは半目になり、溜息をついた。

「はぁ、リンゴ、お前ってば本当につまんね」


「あのなぁ、つまんないとかおもしれぇとかそんな話じゃねえぞ。大体今まで何度か接触したが二人ががりで逃げられてんだぞ」


「わかってねえのはそっちだ。ああいうやつは古龍とかと一緒で何回か戦ってやっと殺せんの。実際向こうはボロボロ、こっちは快復済み。次くらいで殺せるって」


その時、ハチミツの携帯に着信が入った。


「ったく、こんな時に誰だ…って、ハートロックのあねさんじゃないですか!」


『ハロー☆元気してる?ハッチー☆』


と、ハチミツの携帯から明るく艶っぽい声が聞こえる。


「ええ、元気元気ですよ!こないだの《ライブ》でもう元気ちょーーー貰いましたから!」


『やだ、きてたの?もう☆言ってくれたら終わった後に会えたのに☆あの《ライブ》は全てハッチーとリンリンのおかげなのに☆』


「いやいや、それ程でもあるッスか?いやぁ、今隣にいるそのリンリンのせいで最後まで観られなかったんスよ。仕事中だ、とか言って」


『あは☆リンリンらしいね!ところでぇ、ついでにリンリンにも代わってくれないかな☆』


「ええ!いいスっよ!」


と言ってリンゴに携帯を差し出す。


「ほらよ、我らがアイドルが、ついでに、あんたに代わってほしいってさ」


リンゴはやや嫌な顔をしつつも受け取り、


「もしもし…」


『…おいこら、電話でろや』


「あ?着拒にしてるからわかんね」


『よけいタチわりぃじゃねえか!ああ!?』


さっきと全く様子の違う電話越しの相手にリンゴは溜息をつきつつ用件を聞く。


「で、今度は一体なんだ?」


『ッチ、あんたの用意した信者候補達、あんまアタシになつかないんだけど。てか若い奴が多くないんだけど、おっさんとか主婦とかどうでもいいのばっか』


「そりゃおまえの本性を見抜いてんじゃねえか?」


『うっっっざっ!死ね!あたしは完璧だっつの。こっちは協力してやってんだからもししくじったらアタシの信者どもに襲わせるかんね』


「はいよ、言いたいのはそれだけか」


『そうよ、いい?今度アタシの信者の集めるときはもっと若い奴らにしなさい。じゃないとこっちのやる気も起きないし使い物になんないでしょ。わかったわねこの腐リンゴ!』


特に用はないと判断したのかリンゴは電話を切った。


「あー!何すんだよ!せっかくのあねさんからのコールが…ついでのくせに勝手に切ってんじゃねえ!」


「ったく、電話を切ってもうるせえな。あいつはこれから《ライブ》の練習だとよ」


「なに?…それならしょうがねえ。最後に応援の一つでも言えればよかったのに…。がんばれあねさん!」


「おまえもつくづくかわいそうな奴だな」


「あぁ?なんか言ったか?」


「別に。それに俺たちの方も動くぞ。怪我は治ってるな?」


「あんたこそ重傷の方は治ったか」


ハチミツが皮肉気味に聞く。



リンゴは自分の体を見下ろす。そこには昨日少女の一撃をもろに喰らい吐き出した血の痕が付いたシャツがあった。吐血したということは内蔵が傷ついたはずだがしかし、今では体の外、中、どちらも正常である。



一方ハチミツもあの後の戦闘で更に三回吹っ飛ばされたが体そのものは無傷であった。否、傷ついた二人の体は異常な速さで快復していた。


「便利なのはいいけど消費が激しいんだよなー」


「確かに。意外にもスペアの分もなくなった。だが、こっちの方が有利なのは変わらない。できるならやはりここで潰す」


そして、渉は文化祭当日を迎えた。


内容についていくつか。


今回は戦闘はないですが、渉と少女が接触します。あと佐藤が、佐藤が…!特になにも起きないんですけどね。



それで次で一人目、つまり一話分終了になる予定です。

一話終わると書き溜めがなくなってしまうんですが、できれば順調にね、その、続きを投稿できればと…(できるかなー)


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