初めての競技会
ハードルも飛ぶ事を学んだ僕は、
そう、ハードルと、トンネルが出来れば、競技会のビギナークラス
オープン競技に出場できるのだ。
何事も経験が必要~と、社会勉強に、競技会場には時々参加していた僕。
始めは、走ってる犬達にも興味はなく、
周りを歩いてる犬や・・・
声をかけてて、なでなでしてくれる人間・・
には興味深々で、甘えまくっていた僕。
そんな僕に、とうとう、競技に出場する日がやってきた。
この日はとっても晴れていて、リンクの周りを歩いたものの
やっぱり、犬見つけては、
やぁ・・・君は走るの?
やぁ・・・・もう走ったの?
としっぽを精一杯ふって、あいさつをしてたのさ。
なんだか、皆、心臓の音がばくばく大きく聞こえるし、
息づかいも荒く、はぁはぁ言ってる。
なんだか皆楽しそうだし、興奮してるし・・・
僕もテンションあがるな~・・・
5番前くらいになると、名前が呼ばれ、順番を付く。
僕の前の犬も後ろの犬も、走ろうとしている犬も
やるぞ。。走るぞ・・・走りてぇ~って気持ちも高揚してるのが伝わってくる。
僕も・・・ハンドラーを見てわ・・・
ねぇ、僕も走るの?
僕の番はまだ?
前のハンドラーがスタートの指示が聞こえる毎に
一緒にスタートを切っては、リードの長さが短くて、跳ね返っていた僕。
僕、考えたんだ、そうだ、このリードが邪魔なんだな・・・
じゃ、噛み切っちゃえ・・・とギリギリと噛み切ろうと試みてると・・・
ママに見つかって、叱られてしまう。
じゃ、いつ、僕の番なの?って、ギャンギャン吠えたり、
ちょっと、小突いてみたり・・・ちみってかじってみたり。
とにかく、落ち着かない僕。
いよいよ、ど~ぞ・・って声がかかって、
ママとハードルの前へ進みでた。
あぁ~やっと僕の番だね・・
僕は、ちゃ~んとハードルの前で、伏せして、スタンバイOK
とママを見上げると、
ママの顔は青白く、笑顔が消えて、足も手も小刻みに震えてる
こんなママを見たことがなかった。
え?どうしたの?ママ?
怖いの?何?
指示をちゃんと聞こうと耳を澄ましてみた。
ママの心臓が爆発しそうなほど、ドッキドッキドクドクドクって
早く、不規則に大きく聞こえた。
気の小さいワンコだったら、逃げ出したいに違いない。
でも、僕は走りたい方強かった。
やるぞ~、さぁ・・・いつでもいいよ~。
ママのホップの声を聞いて、僕は、目の前のハードルを飛んで行った。
途中からは、もうママの声は聞こえなかった。
とにかく、目の前に見えるハードルとトンネルに突っ込んでいっただけ・・・
最後のバーを飛ぶと、
周りで見ていた人達からの「ワァ~、おりこう~、おめでとう~」と
いっぱいいっぱい褒めてもらい、僕はとっても嬉しかった。
やったね・・・ママ・・・僕ってとってもおりこうでしょ~。
ママの顔も笑ってた。
競技会って楽しいな~・・・また行こうね・・・ママ。