脱走
僕って、とってもいい子だって思うでしょ。
でもね、ママや兄弟と離れて一人ママさんの家に来た時は、
と~っても寂しくて、『きゅ~ん、きゅ~ん、ピ~ピ~』泣いてた。
寂しいんだって、思ったママさんは、長老ココたんを僕のハウスに入れてくれた。
ちょっと甘えてみたら、長老はとってもとっても迷惑って顔して、睨まれた。
怖いおばさんだ・・・って思ったさ。
そして、ママさんが僕の為に入れてあったふわふわの敷物の上に寝ちゃったのさ。
僕は冷たい床の上で、また泣いた。
迷惑顔の長老の怒りが爆発して、僕はかまれはしなかったけど、思いっきり怖い思いをした。
僕は泣こうとすると、長老が怒り、『ガウガウっ』て言われた。
僕は、寂しいって、泣くのをあきらめた。そう、我慢することを覚えたんだ。
それでも、だ~れもいない時、長老がかまってくれるのがうれしかった。
いつの間にか、長老がいると安心して、お腹を出して、足をかぱ~って広げて、
無防備に臍天で寝る僕がそこにいた。
僕がハウスにも慣れたころ、長老は自分のハウスに戻り、のんびりしたもとの生活を過ごすようになった。
この頃から、僕はフリータイムが少なかった。
でも長老や、姉たん達は、ほとんどフリーで家の中で過ごしていた。
なんで、僕は出してもらえないんだろう~。僕も遊びたい。姉たん・・遊ぼう~。
ここから出して・・・。出たいんだ~・・・。
って思いがだんだん、強くなってきた僕。
とうとう、『ギャンギャン、ピ~~ピ~~』甲高い耳をツンザクような耳障りな声
周りはそうとう、いらいらするらしく、長老も姉たんもハウスに避難して、うずくまった。
ぽっき~は動けなくなって、震えている。
ぽっき~は小さい時に、ボーダーコリーに追い詰められて、怖い思いをしている。
ママさんが、しばらくは、我慢していたけど、おさまらない僕に、限界が・・・
突然ハウスのドアが開いた。興奮して吠えまくってる僕に、いきなり襲いかかってきた。
ハウスの中に入ってくると、僕の口をぐっとふさぎ、押さえ込まれた。
必死に抵抗した僕、なんて力なんだ・・・もがいても、もがいても、動けなかった。
しばらくして、疲れた僕は、力を抜いた。
ママさんは、そっと力を抜いて、僕を解放すると、
「わんわん、吠えちゃだめよ・・・」って僕をなでてくれた。
ママがハウスから出ると、やっぱり、ハウスから出してもらえないのは同じだった。
納得いかない僕は、すぐに、『ギャンギャンギャン』
こんどは、ママがすかさず、怖い顔で、「いけない」といいながら、ハウスに入ってきた。あっ、また、捕まると思った僕はハウスの中で逃げまくった。
それでも、捕まって、押さえこまれた。
僕の抵抗は、さっきより、すさまじかった。ママもこれでもかって押さえこむ。
やっと力を抜いた僕に、人睨みして、ママはハウスから出て行った。
今日はおとなしくしとくなんてことはない。
僕はあきらめが悪いんだ。
翌日、またまた、僕だけがハウスに入れられた。
これが、ハウスに入らなきゃいいのに、おやつの為なら、ハウスにすかさず入る僕。
なんで、出して・・・って、『ギャンギャンギャン』
すると、「いけない」ってママの声
とたんに、長老を筆頭に、3匹、ハウスの周りに集結し、僕をにらみつけた。
ぽっき~は僕がハウスにいるので、ここぞとばかりに、参加して、態度はでかい。
さすがの僕も喧嘩はしたくないので、あきらめた。
こんなことが続き、僕はある日・・・ない頭を使って、必死に考えた。
ここの扉がいつも開くんだ。そして、僕は出られる。
扉を開けるときママは、いつもこのあたりを触ってる。
僕は、大きく口を開けると、扉を加え、なんとか開かないか、
上に下に横にガチャガチャいろいろやってみた。
すると、あら?開いた。やった~。
僕は小躍りして、フリータイムを満喫した。
もちろん、こんなことは、すぐにママにばれ、鍵をかけられる羽目になったが。
頑張れば、できないことはないと、学習した僕だったのだ。
でもね、これ、僕たまにだけど、開けられるんだ~。
ママには内緒なんだ。