ジャンヌ・ヴァルキリア
十年前。
月国に対し長年抵抗をしていたオルレアンが陥落した。宮殿は炎に包まれ、王と妃は自害。街は一晩中燃え続け、最期には灰しか残らなかった。
燃え盛る城から亡国の姫が僅かな従者を連れて脱出した。
幼い姫の心に憎しみの炎が灯った。
白銀の髪に白銀のマントをたなびかせ、彼女は舞っていた。
剣を持ち、敵を華麗に斬っていく。
部下と共に進軍しているのだが、敵を屠るスピードが尋常ではなかった。
(さすが、ジャンヌ様だ。もう敵将が見えているではないか)
亡国の姫自らが果敢に進む様子は、兵士達の指揮を頗る上げた。
普通、魔法使いと、そうでない者が戦えば、魔法使いの方が勝つ。
しかし、魔法使い一強を壊すものが現れた。
マジックキャンセラー。
中立派の忍・J・キサラギが開発した。
この部品を使って作られた武器は、魔法を受けないようになっている。
ジャンヌはマジックキャンセラーを鉄に溶かし、剣の刀身にしていた。
彼女の刃が敵将の首にかかる。
アポロンズ・ハート指令室。
オルフェはトランプのダイヤのエースを見ていた。
「さて、残るは……」
アポロンズ・ハートの面々を乗せたトラックが荒野を走っている。
ここは最近まで戦場になっていた場所である。
車窓から見える景色のせいで、車内はシンと静まり返っていた。
さらし首である。無数の首が、彼らが身に着けていたであろう武具と共に晒されている。烏に食われているものもある。
「やり過ぎだ」
こんなことをやる野蛮人に、今から会いに行かねばならないと思うと、オルフェは気が進まなかった。どんな脳筋が待ち構えているのやら。
車を走らせて、一時間程、野蛮人の野営キャンプと思われるものを発見した。
「あれ~、思ったより小綺麗な人達だぞ」
何処かの国の軍隊のように、銀を基調とした装備に身を包んだ集団だった。
祝勝会をしている連中、怪我の手当をされている者がいた。
「すみませ~ん。アポロン軍で~す」
オルフェは、宅配便を届けに来たくらいの軽いノリで話しかける。
「ア、 アポロン軍のっ!」
衛生兵の男は、慌てて上官を呼びに行ったようだった。
「ジャンヌ様ー!」
「ジャンヌ……?」
オルフェは野営キャンプのテントに吊られている旗を見る。
「あれは滅亡したっていうオルレアン公国の旗……」
「知ってるのか、オルフェ」
「お前、士官学校の授業寝てたもんな。オルレアン公国、ジャンヌっていえば……」
数分後。
この集団のトップのジャンヌが姿を現した。
「アポロン軍の諸君、御機嫌よう。私はジャンヌ・ヴァルキリアだ」
「これはこれは、麗しのジャンヌ姫様。私はオルフェウス・アップル、気軽にオルフェと呼んで下さい」
「では、オルフェ殿。何か御用かな?」
「外のアレは君達がやったのかい?」
「ああ。魔法使いに支配された町だったから、奪還した」
「まあ敵を倒してくれたのはいいんだけどね。一応、法律があるんでね」
「ああ、それは済まなかった。……どうすればよい?」
「とりあえず、俺らと一緒に来てもらおうかな」
「分かった」
ジャンヌはキャンプ撤収の命令をした。
時刻は夕暮れ時になった。
「支度は済んだぞ」
「ああ、ありがとうございます」
エルフィンが応対した瞬間だった。
「貴様はエルフィン・フォールス!」
エルフィンに刃を向けるジャンヌ。
「私の国は魔法使いに滅ぼされた。何故アポロン軍に魔法使いがいる⁉」
理人が二人の間に立つ。
「だからって関係のない奴にまで刃を向けるのか? こいつがお前の国を滅ぼした訳でもないのに? ただ魔法が使えるだけで?」
エルフィンは魔法で人殺しをしたことがあるのは黙っておいた。そんなことを口走ったらジャンヌに問答無用で斬られそうだったからだ。
「どうした? 揉め事か?」
「ああ」
「オルフェ殿! 何故、魔法使いを雇っている!」
「ああ、そういうこと」
「だったら、Uチェスで決着を着けようぜ」
忍・J・キサラギの到着を待っている間、エルフィンは理人に問いかけた。
「何故、僕を助けてくれたんですか?」
「仲間だから」
「そう、ですか」
理人は、ぽつりと自分の境遇について語り出した。
「貧民街で俺を助けてくれたのは魔法使いのばあさんだった」
理人とオルフェは孤児院で育った。そこを運営しているのは魔法使いの中年女性であった。太陽側にいる人々は魔法使いに敵対心を抱く者も多い。そのため彼女は魔法が使えることを隠していた。
「魔法使いには良い奴もいる」
「でも、僕は……」
悪徳業者に所属していた過去がある。
「今のエルフィンは、仲間だ」
キサラギが到着し、Uチェスが始まる。
「さあ、今回は超注目だよ! ランク1位の理人VSランク3位のジャンヌ!」
1,2ターン目 お互いにポーンを動かす。
「ジャンヌは見習い天使カレン、理人はドラゴンベビーが動いたね!」
3ターン目、ジャンヌが「見習い天使カレン」、理人がナイト「ドラゴノイド(パワー10000)」を動かす。
4ターン目
「ジャンヌのクイーン「天使ヘルヴィム(パワー12000)」のアタック! なんとマジック「パワーチェンジ」でパワーを入れ替え、理人の「ドラゴンベビー」が破ったあ~!」
「クイーンを序盤から破るとは、さすがだな」
5ターン目 ジャンヌはビショップ「天使アルケー(パワー7000)」、理人はポーンを動かす。バトルなし。
6ターン目 ジャンヌの「天使アルケー」が理人のビショップを破る。
7ターン目 理人の「ドラゴノイド」がジャンヌのポーンを破る。
8ターン目 理人のルーク「リューマン(パワー7000)」がパワーアップマジックを使い、ジャンヌの「天使アルケー」を破る。
9ターン目 ジャンヌの「見習い天使カレン」が理人の「ドラゴンベビー」を破る。
10ターン目 理人がビショップ、ジャンヌがポーンを動かす。バトルなし。
11ターン目 理人の「ドラゴノイド」がジャンヌのポーンを破る。
12ターン目 理人が「ドラゴノイド」、ジャンヌがビショップを動かす。バトルなし。
13ターン目 理人がナイト「ティラノ(パワー10000)」、ジャンヌがポーンを動かす。バトルなし。
14ターン目 理人の「ティラノ」がジャンヌのポーンを破る。
15、16、17、18ターン目 理人がポーン、ジャンヌがナイト「天使アクセル(パワー10000)」を動かす。バトルなし。
19ターン目 お互いにビショップを動かす。バトルなし。
20ターン目 ジャンヌのビショップが理人のビショップを破る。
21ターン目 前ターンの理人のビショップをマジック強化したポーンが破る。
22ターン目 ジャンヌのポーンが「ドラゴノイド」を破る。
23ターン目 理人がルーク、ジャンヌが「天使アクセル」を動かす。バトルなし。
24ターン目 理人の「ティラノ」がジャンヌのポーンを破るが、トラップを踏み、パワー2000ダウン。
25ターン目 その「ティラノ」をジャンヌの「天使アクセル」が破る。
26ターン目 その「天使アクセル」が理人のルークを破る。
27ターン目 理人のクイーン「スカーレット・ドラゴン(パワー12000)」がジャンヌの「天使アクセル」を破る。
「来たー! スカーレット・ドラゴン! 早速、天使アクセルを破ったあ! 今日はどんな活躍を見せてくれるのか⁉」
28、29ターン目 理人が「スカーレット・ドラゴン」を、ジャンヌがポーンを動かす。バトルなし。
30ターン目 ジャンヌのポーンを、理人のルークが破る。
31ターン目 理人が「スカーレット・ドラゴン」を、ジャンヌがルークを動かす。バトルなし。
32ターン目 ジャンヌのビショップ「天使パティオ(パワー8000)」が理人のポーンを破る。
33ターン目 理人がルーク、ジャンヌがナイトを動かす。バトルなし。
34ターン目 ジャンヌの「天使パティオ」が理人のポーンを破る。
35ターン目 理人の「スカーレット・ドラゴン」がジャンヌのポーンを破る。
36ターン目 ジャンヌの「天使パティオ」が理人のポーンを破る。
37ターン目 ジャンヌの「天使パティオ」が理人のルークを破る。
38ターン目 理人がポーン、ジャンヌがナイトを動かす。バトルなし。
39ターン目 理人が「スカーレット・ドラゴン」、ジャンヌがキング「大天使ミカエル(パワー19000)」を動かす。バトルなし。
「来たー! 大天使ミカエル! 敵のマジック効果を受けないという効果を持ってるぞ!」
40、41ターン目 理人が「スカーレット・ドラゴン」、ジャンヌがナイトを動かす。バトルなし。
42ターン目 理人の「スカーレット・ドラゴン」がジャンヌのナイトを破る。
43ターン目 理人が「スカーレット・ドラゴン」、ジャンヌがルークを動かす。バトルなし。
44ターン目 理人が「スカーレット・ドラゴン」、ジャンヌが「大天使ミカエル」を動かす。バトルなし。
45ターン目 ジャンヌの「天使パティオ」が理人のポーンを破る。
46ターン目 理人のキング「カタストロフドラゴン(パワー20000」がジャンヌの「天使パティオ」を破る。
47、48ターン目 ジャンヌのルークが理人のポーンを破る。
49ターン目 理人の「カタストロフドラゴン」がジャンヌのルークを破る。
50ターン目 キング同士の一騎打ち
「パワーアップマジックを使用。大天使ミカエルのパワーを2000アップ。これで!」
「なら、こっちもマジックでパワーアップだ!」
「何っ⁉」
「理人の勝利だー!」
「さあ、報酬はどうする⁉」
「ジャンヌちゃんのアポロン軍加入を要請する」
「確かに、私がアポロン軍に協力するのは、やぶさかではないが……」
「まだエルフィンのことが気に障るのか?」
「すぐに考えが変わる訳がないだろう」
「まあそうだけど、協力はしてもらうさ」
「分かった」
ジャンヌ達をアポロンの元へ連れて行き、スカウトの報告をする。
「ジャンヌ、協力ありがとう。これから君の集団は『ダイヤモンド・ウィングス』と名乗ってほしい」
「承知いたしました。これからは、貴方のために、この剣を振るおう」
これにて、カードが揃ったのだった。
アポロン軍にジャンヌ様が加入しましたね。
実はジャンヌ様、天使デッキの他にメカデッキや勇者デッキを持ってたりします。




