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太陽と月  作者: 夢水四季
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ジョーカー ~エルフィンの場合(BL?的表現あり)~

 アポロンズ・ハート艦内。


「潜入捜査で、しばらく抜けますので、よろしくお願いします」


 僕は上司のオルフェさんにジョーカーの仕事のことを伝える。


「ああ、お前も大変だな。アポロンズ・ハートにジョーカーに、Uチェス講座までやって」


「まあ仕事ですから。やりますよ」


「じゃあ頑張ってこいよ」


「はい」




 今回の仕事は月国へ潜入し、何かしらの情報を持ち帰ること。


 丁度良く月国の要人が集まるパーティが開かれるとの情報が入った。


 そこに潜入し情報収集をする。


 事前に調べられたパーティの参加予定者リストを見る。


 貴族や魔法使い、軍所属の錬金術師と様々な人物が参加するようだ。


 これだけ雑多にいるなら余裕で紛れられると思った。


 僕は流れるようにドレスを着、ウィッグを付け、顔にメイクを施す。


 ドレスは勿論、女物だ。


 水色を基調とした肩が出ている愛らしいドレスである。


 何てことはない、ただの女装である。


 魔法で骨格から変えている。


 僕は、こういう任務の時は女性の方がやりやすいと思っている。


 ハニートラップを仕掛けやすいからだ。


 昔からやっていることなので慣れている。


 女装に抵抗もない。


 さあ、出発だ。





 月国へはジョーカーの平常装備の透明マントをNAに被せて潜入した。


 月国の領土内に入り、パーティ会場付近にNAを駐車する。


 誰もいないことを確認した後、NAから降り、パーティ会場まで徒歩で向かう。


 途中、同じくパーティ会場に向かうであろう黒塗りの高級車が僕を追い抜いていった。


 僕も車で来ればよかったかな……。


 しかし、そうなると運転手を手配したりもしないといけなくなる。


 僕は単独で任務にあたる方が、気が楽だった。


 自分のミスが、ちゃんと自分に返ってくる方がいい。


 そんなことを考えていると、一台の黒塗りの高級車が僕の手前に停まった。


「やあ、可愛いお嬢さん」


 車の窓が開いて、20代前半くらいの青年が声をかけてくる。


「はい?」


 声も女性の声に魔法で変えている。


「良かったら、私の車に乗りませんか?」


 親し気に話しかけてくる青年の誘いに乗ることにした。


「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」


 僕は車に乗り、青年の隣に腰かけた。


「私の名前はレッサー。錬金術師です。お嬢さん、お名前は?」


「フィーネと申します」


 適当に思い付いた偽名を口にする。


「フィーネ! 素敵な名前だ!」


 レッサーと名乗った男は僕に一目惚れでもしたようで、聞いてもいないのに自分の軍での功績などをペラペラと話している。


 今回の僕の設定はフィーネという何処かの国の貴族令嬢、魔法が使えるが軍には所属していないということにした。


 レッサーが一人で話している間に、車はパーティ会場に到着した。


 僕はレッサーにエスコートされながら会場に入場した。


 周りを見渡すと、有名人が目に付いた。


 向こうで食事をしながら話しているのはシンドバッド大佐だろう。


 彼は何かと有名だ。


 孤児院出身ながら大佐まで上り詰めた錬金術師。自伝を読んだことがあるが中々の苦労人だ。


 ちなみに、レッサーの階級は少佐だ。錬金術師の割には高い方だ。彼は貴族出身だから、親の七光りで最初から高い階級に就けたのだろう。


 こいつから上手いとこ情報を聞き出せないか探ってみる。


「少し酔ってしまったようです」


 ワインをグラス一杯飲んだだけだが、酔ったフリをし、レッサーにもたれかかる。


「この上のホテルに部屋を取ってあるんだ。行こうか」


 お持ち帰りさせることに成功した。


 レッサーは僕を抱えながら、個室まで連れていく。


 作戦通りだ。 


 部屋に着くやいなや僕をベッドに座らせると、レッサーは、そわそわし始めた。


 じれったいな。サッサと事に及べよ。


「レッサー様……」


 僕はレッサーの服を引っ張り、ベッドに誘導する。


「フィーネッ……」


 僕はレッサーの唇に自分の唇を重ねる。




 一時間後。


 ベッドには、ぐっすりと眠ったレッサーがいた。


 口の中に仕込んでいた睡眠薬をレッサーに飲ませたのだ。


 僕はレッサーが持っていた端末から情報をごっそり抜いてズラかるところだった。


 有用そうな情報は、あった。


「情報をありがとうございます。お馬鹿な貴族錬金術師さん」


 去り際、チラリとパーティ会場を見ると、月国の歌姫ルナが綺麗な歌声を響かせていた。




 太陽国に戻り、手に入れた情報を精査する。


 レッサーの一族は、錬金術の秘儀を代々受け継いでいた。


 ホムンクルス。


 人造人間。


 そういうものが完成しているとは聞いたことがあった。


 ホムンクルスのメンテナンス的な資料もあり、そこに歌姫・ルナの名もあった。


 ルナはホムンクルス。


 ディアナの妹はホムンクルス。


 これは重大事項だ。


 早急に報告書を作成し、まずは直上司のジークさんに報告した。


「そうか」


 たった一言だった。リアクションも薄い。この人はいつも、こんな感じだ。


 こうして僕のスパイ大作戦は終わりを告げた。

女装は癖になるから気を付けろよ!

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