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太陽と月  作者: 夢水四季
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ジャンヌとヨルムンガンド

ジャンヌが捕虜として連れて来られたのはホルムのヨルムンガンドの城だった。


ジャンヌが乗せられていた船から降りると、城の召使達が総出で出迎えていた。


「待っていましたよ、ジャンヌ・ヴァルキリア」


「ヨルムンガンド!」


 宿敵の顔を目にし、ジャンヌは食ってかかろうとしたが、すんでのところで止めた。


(私は、今は捕虜の身。大人しくしなければ!)


「ようこそ、我が城へ」


 ヨルムンガンドは仰々しく両手を広げた。


「後は召使に任せます」


 ヨルムンガンドはそう言うと、ジャンヌの前から去っていった。




 ジャンヌにあてがわれた部屋は一流ホテルの部屋を思わせた。


 高級そうな香の匂いが立ち込めていた。


「捕虜への待遇とは思えない豪華さだな」


「ゆっくり、お寛ぎ下さいませ」


 メイド服を着た少女が、お辞儀をして扉を閉めようとする。


「ああ、ありがとう」


 ジャンヌは閉めようとする扉を止め、少女の顔を見て礼を言った。


「い、いえ、お気になさらず」


 少女は少し驚いた顔をして去っていった。


「さて、どうしたものかな」


 特にすることがなかった。


(本でも持ってくれば良かったかな)


 ジャンヌは暇なので、壁にかけられた絵を、ぼけーっと見ていた。


 革命軍の先頭に立った女性が旗を掲げている絵だ。




 ジャンヌは数時間程、ベッドに座りながら、ぼーっと過ごしていた。


 ガチャリと音がし、ノックも無しに扉が開いた。


「誰だ?」


 ジャンヌは扉の方向へ目を移し、警戒の姿勢を取る。


「私ですよ」


「ヨルムンガンド! 貴様、ノックも無しに失礼ではないか!」


「ここは私の城ですよ。どうしようと私の勝手です」


 ジャンヌは警戒を強めたのだが、ヨルムンガンドが距離を詰めてくる。


「何をする気だ!」


 いつの間にかヨルムンガンドがジャンヌに触れれる程の距離にまで迫っていた。


「何って、密室で男女がすることですよ。口で言わせないで下さい。ムードが壊れます」


 ヨルムンガンドの手がジャンヌの腰に回る。


「や、止めろ……」


「止めません」


 不思議と抵抗出来なかった。


(おかしい。身体が思うように動かない……)


「身体が動きませんよね、何故だと思います?」


 ヨルムンガンドは楽しくて仕方がないという風に話す。


「この部屋に満ちている香のせいですよ。魔法使い以外の感覚を麻痺させる効果があります」


(そんなものが……)


 ヨルムンガンドはジャンヌをベッドに押し倒す。


 ジャンヌは、こういう経験がなかった。


 何をされるのか恐怖が感情を支配した。


「何故、こんなことを、する……?」


「私はね、あなたが嫌がることをすることが至上の喜びなのですよ」


 ヨルムンガンドの手がジャンヌの胸のボタンにかかる。


 ジャンヌは涙目になっていた。





「おい」


 扉を開けた人物がヨルムンガンドに声をかける。


「チッ、邪魔が入りましたか」


 ジャンヌは目線を扉の方へ移す。


 その救世主の顔は知っていた。


 Uチェス2位、ナポリの領主・フリード。


(何故、こんなところにフリードが?)


「錠をかけておいたはずですがねぇ」


 それについてはフリードが魔法で破ったのである。


「捕虜の扱いについては法で決まっているだろう。心身共に傷付けることは許されていない」


「興が醒めました。ジャンヌ・ヴァルキリア、この続きはまた今度」


「ヒッ」


 ジャンヌの身体に寒気が走る。


「大丈夫か?」


 二人残された部屋で、フリードはジャンヌに声をかけた。


「あ、ああ、助かった」


 フリードは元凶の香に魔法で水をかけ、匂いを消した。


 すると、ジャンヌの身体の麻痺が治った。


「先程は、ありがとう」


「ああ」


「何故、ナポリの領主がホルムに?」


 ジャンヌは気になったことを聞いてみた。


「戦略会議があったからだ」


「そうか」


「それと、俺の目的は君の救出だ」


「私の救出?」


「先程の件を鑑みても事態は早急に対処する必要がある」


「?」


 フリードは懐から仮面を取り出し被る。


 ジャンヌには、その仮面に見覚えがあった。


 リーダーズ会議でしか話したことはないが、諜報組織・ジョーカーの首領のジークが身に着けていたものだった。


「何故その仮面をあなたが?」


「話は後だ。すぐに、この場を離れよう」


「あ、ああ」


「これを被るんだ」


 フリードはジャンヌにフードの付いたマントを渡した。


「透明マントだ」


それを被り、ジャンヌはフリードに続いて部屋を出た。


廊下で人とすれ違う時は緊張したが、本当にジャンヌとフリードの姿は隠れているようで、誰にも見つからずに城を出ることに成功した。


フリードは城の側にNAを停めていた。そこにも大きな透明マントをかけており、敵に見つからずに済んでいた。


「これに乗ってもらう」


「ほ、本当に私は逃げ出して良いものだろうか?」


 ジャンヌは不安になってフリードに尋ねた。


「大丈夫だ。先程の件を公にすれば忍・J・キサラギも事情を考慮してくれるだろう」


 ジャンヌはNAのコックピットの補助席に座りシートベルトを締める。


「では出発するぞ」


「ああ」


 


 月国の領地を出た辺りで、ジャンヌはフリードに聞いた。


「君は誰だ? ナポリの領主・フリードか? ジョーカーのジークか?」


「それは君にも教えることは出来ない。とりあえず君の味方なのは確かだ」


「そうか。分かった」


 ジャンヌは、これ以上、何も聞かなかった。

ジャンヌを助け出せて良かったですね!

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