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太陽と月  作者: 夢水四季
30/32

アーサーVSアン

休戦協定から、あっという間に一年が経った。


「これより休戦協定を解除します」


 そう宣言するのは発起人の忍・J・キサラギだ。


 キサラギはディアナとアポロンの間に立ち、コイントスをする。


 コインは月のマークを示した。


「次の勝負を決める権利は月国になりました」


「Uチェスでの勝負を所望するわ。対戦カードはアン・フロート対アーサー・シャイン」





「アーサー、君、Uチェスで指名されてる!」


 周瑜が端末のお知らせを持って、アーサーの執務室を訪れた。


「指名?」


「やっぱり見てなかったか。君、大丈夫? Uチェス苦手じゃん」


「しかし、何故、私が……」


「相手はアン・フロート。君の元部下だ」


「アン看護長が……?」


「Uチェスを通じて、君と何か語り合いたいんじゃない?」


「私と語り合い……?」


 アーサーに思い当たる節はあった。


「まあ、とにかくアーサーにUチェスを思い出してもらわないと。どうせルールもあやふやになってるんだろう?」


「確かに、士官学校以来、触れていないな」


「もう、ほぼ初心者って訳だ」


「恥ずかしながら、そうなる」


「じゃあ、僕達がレッスンするしかないね!」


「ああ、よろしく頼む」




 アーサーが連れて来られた先は開発倶楽部内にあるUチェス練習場であった。


「「Uチェス講座出張版!」」


「やあ、アーサー、周瑜お兄さんだよ!」


「助手のエルフィンです」


「今日はアーサーにUチェスのことを思い出してもらうための集中講座だよ」


「よろしく頼む!」


「じゃあ、早速だけどデッキ持ってきた?」


「すまない。探したのだが、見つからなかった」


 アーサーの部屋は汚部屋である。


「そんなことだろうと思って、用意はしてあるんだ。エルフィン君、あれ持ってきて」


 エルフィンが、いくつかのデッキが乗ったテーブルを押して持ってくる。


「はい。初心者用Uチェススターターセットです」


「さあ、好きなデッキを選ぶといいよ!」


 アーサーは、あまり悩まずに一つのデッキを手にした。


「これにしよう。私の名前にちなんでいるからな」


「ああ、円卓の騎士団デッキか! いいね!」


「アーサー王がキングの駒ですね。人気のデッキを選びましたね」


「じゃあ、早速エルフィン君を相手にしながらティーチングをしていくよ」


「まずはカードを初期位置に並べて」


「分かった」


 アーサーはエルフィンと同じように初期位置に駒を並べていく。


「はい。並び終えたね。じゃあコイントスで先攻後攻を決めるよ。表が出たらアーサー、裏が出たらエルフィン君が先攻ね」


 コインは表を示した。


「私が先攻だな。……えーと、最初はどのように動かせば良いのだ?」


「手前のポーンから動かせるよ」


「では、この辺りから」


 アーサーはビショップの手前のポーンを動かした。


「では、僕はこの辺を」


「次は、ここにしよう」


「アーサー、ちゃんと考えてる?」


「え?」


「その顔じゃ当てずっぽうに駒を動かしていただろう?」


「ダメなのか?」


「まあ遊びならダメじゃないけど、君が挑まれているのは公式戦だ。アポロン様だって気にしてるはずだよ」


「アポロン様が!」


「月国が、どういう意図で君とアン・フロートのUチェスをセッティングしたのかは分かりかねるけど、向こうは遊びでやってる訳じゃない。アン・フロートは学生時代、ランカーだったこともある実力者だ。本気でやらないとやられるよ」


「アポロン様のためにも負けたくはないが、私に勝てるだろうか?」


「正直、勝てる可能性は限りなく低いと思う。でも、やるしかない」


「僕達が出来る限りのことはします。頑張りましょう」


「ああ、恩に着る」




 公式戦までの一週間、アーサーは周瑜とエルフィンに付きっきりでUチェスを教えてもらっていた。


 アーサーも必死で駒の動かし方から戦術を覚えていった。


 周瑜とエルフィンは自分の持っている限りの知識をアーサーに教えた。




 Uチェス勝負当日。


 会場はUチェスのお膝元、ヤマトの国で行われる。


 久しぶりのUチェス公式戦ということで、屋台が出たりと祭のような盛り上がりだった。


 観客席には周瑜やエルフィンを始め、ジャンヌやオルフェらも応援に駆けつけていた。


 アーサーは特設ステージの壇上に上がる。


 緊張しているのか手が汗ばんでいる。


 対するアンは何処か涼し気な様子で緊張している様子は感じられない。


「さあさあ、今日は異色の対決だ! 太陽国、ナイト・オブ・スペード隊長のアーサー・シャイン対、アーサーの元部下で、現在は月国の武器人間のアン・フロート! 何やら因縁がありそうな二人だぞ~。楽しみだ!」




1,2,3ターン目 駒をお互い動かす。


「アーサーは円卓の騎士団デッキ、アンは星座デッキだ!」


「アン看護長、何故、私と対戦を?」


「私は知りたいのです。兄の最期を」




4ターン目 アンのポーンがアーサーのポーンを破る。




5ターン目 アーサーのビショップ「トリスタン(パワー8000)」がパワーアップマジックを使い、アンのナイト「乙女座ヴァルゴ(パワー10000)」を破る。


「上手い! アーサーやった!」




6ターン目 お互いポーンを動かす。




7ターン目 アーサーのビショップ「トリスタン」がアンのポーンを破る。


「兄は何故、死ななければならなかったのですか?」


「ヨルムンガンドという魔法使いの魔法のせいだ」


「ヨルムンガンド……。ホルムの領主ですか」


「ああ」




8ターン目 アーサーのポーンがアンのポーンを破る。




9ターン目 ビショップ対決。アンの勝利。




10~15ターン目 駒をお互いに動かす。




16ターン目 アーサーのポーンがアンのポーンを破る。


「ヨルムンガンドは私達を操る魔法を使い、同士討ちをさせようとした。パーシヴァル隊長は、これ以上、部下に手をかけないようにするため、私にご自身を止めるようおっしゃった」


「殺す必要がありましたか?」


「殺さねば私が殺される」


「だから兄を殺したと?」


「ああ、そうなる」




17、18ターン目 お互い駒を動かす。




19ターン目 アーサーのポーンがアンのポーンを破る。




20ターン目 アンのビショップがアーサーのポーンを破る。




21ターン目 アーサーのルークがパワーアップマジックを使い、アンのナイト「みずがめ座アクエリアス(パワー10000)」を破る。


「やりました! ナイト撃破です!」




22ターン目 アンのポーンがパワーアップマジックを使い、アーサーのルークを破る。




23~27ターン目 お互い駒を動かす。




28ターン目 アーサーのナイト「パーシヴァル(パワー10000)」がアンのポーンを破る。


「君の兄は良い上司だった」


 アーサーのナイト「パーシヴァル」にアンは兄の面影を見た。




29、30ターン目 お互い駒を動かす。




31ターン目 アンのビショップ「スピカ(パワー8000)」がアーサーのポーンを破る。




32ターン目 アンのビショップ「スピカ」がパワーアップマジックを使い、アーサーのナイト「パーシヴァル」を破る。


「どんな事情があろうとも、あなたが兄を殺したことは変わらない!」




33ターン目 アンのビショップ「シリウス(パワー9000)」がパワーアップマジック「シューティングスター」を使い、アーサーのキング「アーサー王(パワー17000)」を破る。




「チェックメイト」




「あ~、アーサー負けちゃった……」




「さあ、月国の報酬はどうする?」


「太陽国の軍人を一人、人質としていただきます」


「何ぃ⁉ 人質だと⁉」


「太陽国、どうする? 僕は、この条件でいいと思うけど」


「仕方がない。私が人質に……」


「いえ、人質はアーサーさんではありません」


「え?」


 アンは観客席を指差す。


「へ?」


 指差した先は、屋台のイカ焼きを食っているジャンヌだった。


 急に呼び出され、持っていたイカ焼きを落としそうになるところを側近のピオーネがキャッチした。


「何故、ジャンヌ殿を?」


「それは私も分かりません。上の要望です」




 その日の内にジャンヌが月国へ向かう準備がなされ、次の日早朝、ジャンヌは月国の艦隊に乗った。


 アーサーは、その様子を苦々しい顔で見詰めていた。




Uチェスでアーサーとアンは語り合えたのでしょうか。

さて、月国の捕虜になったジャンヌはどうなる⁉

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