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太陽と月  作者: 夢水四季
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武器人間の集い

 月国、天空基地・ラピュータ。


「それではディアナ様の武器が無事、5人揃ったことを受けまして……」


「「「「乾杯」」」」


 ウィルは乾杯のことが分からず、ジュースを持ったまま止まっている。


「ほらウィルはんも」


「か、かんぱい?」


「はい、かんぱーいっ!」


 光明がウィルのグラスに自分のグラスを合わせる。


 ちなみに光明以外、未成年なのでノンアルドリンクだ。


「じゃあ、新しく入ったアンさんから自己紹介をよろしゅう」


「アン・フロート19歳です。アポロン軍ナイト・オブ・スペードから来ました。盾だそうです、よろしくお願いします」


「はい、よろしゅう」


「よろしくお願いします」


「アポロン軍を裏切ったという訳か」


「そういう言い方はよくないんちゃう? アンさんは元々、武器やったから表返ったってのが正しいんちゃうん?」


「それで、私はこれから何をすればいいんですか?」


「う~ん、今は休戦状態やから特にすることもないで。しいて言うならトレーニングでもしたらええんちゃう?」


「トレーニングですか?」


「ほら、健全な精神は健全な肉体に宿る、いうやろ?」


「わ、私もトレーニングした方がよいのでしょうか?」


 潤子が、おずおずと手を上げる。


「まあ、好きにするとええよ。わいなんか運動嫌いやから絶対やらへんけど」


「俺の鍛え抜かれた腹筋見るか?」


 ガルーダが服を捲って、腹筋を見せびらかす。


「わあ、すごいです!」


「そうだろう、もっと褒めろ」


「すごいですね!」


「潤子さんもアンさんも素直過ぎやで。ガルさんなんて適当にあしらっておけばええんやで」


「で、でも本当にすごいですよ、割れてます、腹筋!」


「ふふん」


「ああ、またガルさんが調子に乗ってまう……」




「ウィ、ウィルさんも何か食べましょう?」


 特に喋らず飲み物をちびちび飲んでいたウィルに潤子が声をかける。


「あ、ああ」


 ウィルはクッキーを食べる。


「美味しいですよね、このクッキー」


「ああ」


「ウィルはんも何か喋ったらどうなん? 相変わらず無口やなあ」


「何を喋ろというんだ?」


「最近、楽しかったこととか」


「楽しかったことか……」


 ウィルは考え込んでしまう。


「ミーナの師匠の家で探し物をしていたのは少し楽しかった」


「そかそか」


「ミーナさん?」


 アンは来たばかりなので月陣営のことは、良く知らない。


「俺の、友人の錬金術師だ」


「錬金術ですか……。聞いたことはありますけど、具体的に何をするんですか?」


「賢者の石を作ることが目標だと聞いた」


「どうやって作るんでしょう?」


「魔法を使って、人の生き血を材料として作るらしい」


「生き血っ⁉」


「ほう。そうなんや、錬金術」


「お前も知らなかったのか」


「わいは魔法には詳しいけど、錬金術はそれ程やで。ラヴクラフトはんとも仲良くなれそうにないしな」


「あいつに友人なんていないだろ」


「確かに、いつも一人でいるイメージやな。ああ、でも弟がいるって聞いたことあるで」


「弟?」


「せや。そうや、今度、皆でラヴさんとこに乗り込んでみよか。皆で行けば怖くない」


「まあ暇だから行ってもいいぞ」





「ラヴさん、入るで~」


「いらっしゃいませ」


 どこかラヴクラフトの面影を感じさせる少年が出迎えてくれた。


「もしかしてラヴさんの弟さん?」


「あ、えっと……」


「客人に茶を入れなさい」


「は、はい!」


 少年は覚束ない手つきで茶を用意する。


 運んでいる途中で躓いて、茶を全てこぼしてしまう。


「大丈夫?」


 アンが駆け寄って一緒に片付けを手伝う。


「この出来損ないが」


 ラヴクラフトが少年の頬をぶった。


「DVやめえや、ラヴさん」


「出来損ないに罰を与えるのは当然でしょう」


 ウィルは傭兵時代の雇い主を思い出した。


「そいつは弟ではないのか?」


「こいつは、ホムンクルス、人造人間です。姿かたちは弟ですが、弟本人ではありません」


「へえ、ホムンクルス、成功させてたんや……」


「ええ。作り方は秘密ですが」


「ふん。相変わらず不気味な研究ばかりだな」


「これでも錬金術最高顧問ですからね。……それで、あなた方は何故訪ねてきたのです?」


「まあ何かラヴさんの研究室を見てみたいと思うてな」


「特に用事がないなら帰っていただきたいのですが。私も忙しいのですよ」


「聞きたいことがある」


「何ですか?」


「お前は賢者の石を作ったと聞いたが、どうやって材料、人の生き血を調達したんだ?」


「ああ、賢者の石の作り方を知っているのですか。それは健康診断の際に血液検査と称して採取したのですよ」


「そうか」


 案外、安全な入手方法で拍子抜けした。


「他には、何か聞きたいことは?」


「特にないで」


「では帰っていただきたい」


「そんなんやから友達の一人もいないんとちゃう?」


「友達? そんなものは必要ありません。研究の邪魔ですから」


「じゃあ何で、その弟君を作ったんや?」


「弟は私の研究を手伝えるくらい優秀でした。そんな弟を蘇らせようとするのは当然でしょう。まあ失敗しましたが」


「それも言葉のDVや。やめとき」


「こいつはホムンクルス、人間じゃないんですよ」


「そういう問題ちゃうで。その子にも心はあるように思えるんよ」


「あまり私に干渉しないで下さい、邪魔ですから」




 こうしてウィル達はラヴクラフトの研究所を出た。


「やはり、いけ好かない野郎だ」


「怖かったですね」


 ウィルはラヴクラフトの弟(仮)を助け出してやりたいと思った。


(どう助けるかは、まだ分からない。だが救ってやりたい……!)



ウィルはこの時点ではラヴさんの弟の名前も知らないんですよね。

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