世界を救うために
忍・J・キサラギは中立の立場だ。
どちらかが不利になり過ぎれば、負けそうな方に新しい兵器を与えてきた。
月国には武器人間を、太陽国にはマジックキャンセラーを。
そして、無駄な血が流れないようにUチェスを発明した。
しかし、ゼロサムゲームは終わりを見せない。
どうすれば平和になるのか。
「僕は世界を救わないといけないんだ」
彼はそんな強迫観念に駆られていた。
武器人間が揃った。
戦力は月陣営に傾いたように見える。
ディアナにマジックキャンセラーは効かない。
武器人間を纏ったディアナが戦場に現れれば、月陣営は勝ち確定になるだろう。
一方的な勝ちは暴虐に過ぎない。
太陽陣営をどのように盛り上げていくか、だ。
出来れば、全てUチェスで勝敗を決めてほしいものだが、そうもいかないらしい。
キサラギはヤマト国にディアナとアポロンを呼び出すことにした。
二人を呼びだすのは初めてではない。Uチェス条約を結ぶ時にも来てもらった。
ディアナとアポロンは、因縁があるらしいが、詳しいことは知らない。
初めて顔を合わす雰囲気ではなかったのは確かだ。
呼び出された二人はテーブルを境に対面し、後ろには従者を二人ずつ連れていた。ディアナはガルーダとウィル、アポロンはアーサーとオルフェを連れて来ていた。
「ここで一旦、休戦といきませんか?」
「休戦?」
「連日の戦闘で各国の兵も疲弊しています。兵の皆さんを休ませるための休戦です」
「休戦? そんなことをする必要はありません、ディアナ様。このまま攻め続ければ我々の勝ちは必然です」
「ガルーダ、少し黙っていなさい」
「……はい」
アポロンは少し考えてから、聞いた。
「期間は?」
「一年間」
「随分と長いな」
「まあ長めの夏休みだと思って、十分に英気を養っていただいて……」
「それで、その後は、今まで通り戦えと」
アポロンの指摘に、そういうことじゃないんだけどなあ、とキサラギは思った。
「ま、まあ出来れば穏便に済む戦い方で」
「Uチェスか」
「はい」
「考えよう」
「そちらにはUチェス一位の理人・アップルがいるから、その方が良いわよね」
「理人ばかりを使わないように、とは条約で決められているだろう」
「そうだったわね」
「じゃ、じゃあとにかく、一年休戦期間ということで、いいですね?」
「分かった」
「……ええ」
ディアナの方は若干、不服そうではあったが、何とか承諾させた。
世界をどう救うのか、キサラギの受難は続く。
キサラギが世界を救いたい理由は、そうしなければいけない使命があるからです。
その使命を命じた者は私の別作品に出て来る、とあるキャラなのですが、それを明かすのは、まだまだ先になりそうです。




