表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽と月  作者: 夢水四季
24/33

賢者の石

 月国・天空基地ラピュータ。


「おい、見舞いには何を持っていけばいいか分かるか?」


 ウィルは光明に尋ねた。


「見舞い? 誰にや?」


「ミーナだ。錬金術師の」


「ああ、あのゴーレムに乗ってたゆう」


「そうだ」


「ウィルはんが友達に気を使えるなんて思わんかったわ」


「友達?」


 その単語には聞きなじみがなかった。


「友達やないん? 何回か一緒に任務やっとるやろ」


「確かに、何度か一緒に任務をやった」


「お見舞い行きたい思うんは、もう君ら友達やろ」


「そうか、友達か」


 何だかむずがゆいものを感じた。


「それで、お見舞いの品やったな」


「ああ」


「定番なのはフルーツの盛り合わせやな。街で普通に売ってるやろ」


「分かった、ありがとう」




 ウィルは言われた通り、フルーツの盛り合わせを街で買い、ミーナが入院している病院を訪れた。病室にはミーナの他に、部下のヒデキもいた。


「ウィル! 来てくれたのね!」


「ああ、良かったら、これ食べてくれ」


「ありがとう!」


「調子はどうだ?」


「もう、けっこう動けるようになってきたわ。そろそろ復帰できそうよ」


「そうか、なら良かった」


「果物、剥きますね」


「ありがとう、ヒデキ。ウィルも一緒に食べましょ」


 三人は果物を食べながら、話をした。


「あの後、ゴーレムは暫く使用禁止になったの。術者が危険過ぎるからって」


「中にいる人の生命力を奪うなんて酷過ぎますよ!」


「全くそうよね! 錬金術最高顧問のラヴクラフトが作ったっていうじゃない。上はいつも現場のことを考えてくれないのよね! そんな奴のせいで、私の仲間は……」


 ミーナは泣き出しそうな顔になる。ウィルはミーナをこんな顔にさせるラヴクラフトに対して、怒りが湧いてきた。


「そういえば、ウィルはラヴクラフトに会ったことあるのよね。ねえ、どんな奴だった?」


「どんなって……、胡散臭い奴、だった」


「そう! やっぱりね! 胡散臭いのよ。賢者の石だって、どんな風に作ったのか教えてくれないしね!」


「その賢者の石というのは何だ?」


「私達、錬金術師の目標よ。作れたら何でも願いが叶うとか、そんな伝説があるわ」


「何でも願いが……」


「私は退院したら、一度故郷に戻ろうと思っているわ」


「何故だ?」


「ちょっと調べたいことがあるのよ。私の師匠のアトリエへ行くわ」


「僕も付いていくんですよ」


「ウィルも来る?」


「行く」




 数日後。


 ウィルはミーナとヒデキと共に、汽車に乗ってミーナの故郷のマドリードへ向かった。 


「私の師匠は南部の獅子って呼ばれてて、引退するまでは錬金術最高顧問だったの。今のラヴクラフトと同じ地位ね」


「すごい人だったのだな」


「うん、そう。で、師匠は引退した後、後進を育てようと弟子を何人か取って、その中で大成したのがシンドバッド大佐と私」


「兄弟子ということか」


「そうね。いつか超えるべき兄弟子よ」


「何かあったのか?」


「まあ、う~ん」


「言いたくないなら言わなくてもいい」


「いいわ。特別に教えてあげる。シンドバッド大佐はね、私の初恋泥棒なのよ」


「初恋泥棒?」


 ウィルは初めて聞く単語に首を傾げる。


「シンドバッド大佐って女性に優しいじゃない?」


「そう言われても、俺は知らないが」


「女子に可愛いとか言ってなかった?」


「そういえば、立花潤子が言われていたような」


「でしょ。女癖が悪いのよ。それに14歳の私はコロッとやられちゃった訳。シンドバッド大佐は私のアプローチも軽くいなしつつ、他に恋人を作って……。もう大喧嘩したわ。師匠が見兼ねて止めてくれたけど。あの頃は私も若かったわ」


「今でも若いが」


 ミーナは今18歳である。


「ありがと。とにかくシンドバッド大佐には気を付けてって、その潤子って子にも言っておいて」


「分かった」





 マドリードのアトリエに着いた。


「おばさん、来たわよ」


「あら、ミーナちゃん、久しぶりね」


「おばさん」と呼ばれた老女は「南部の獅子」の妻だと紹介された。彼が亡くなった後も、家を守り続けているそうだ。


「師匠のアトリエ調べさせてもらうわね」


「ええ、どうぞ」




 アトリエの中は思ったより片付いていた。


「何を探せばいい?」


「賢者の石の作り方について書かれたノートよ」


「そんなのあるんですか?」


「分からないわ。でも私は、もっと上に行きたい。そのためには賢者の石を作るのが手っ取り早いのよ」




 本を出しては戻す作業の繰り返しだった。


 一日探しても見つからなかった。


 おばさん作った夕食をご馳走になりながら、ウィル達は今日の成果を報告し合った。


「どれも既出の情報ばかりね」


「まだ見れてない本も、まだまだ沢山ありますよね」


「明日も頑張って探すわよ」


「はい!」


「ああ」




 次の日。


 ウィルは昨日と同じように本を探す。


 本棚の後ろにボタンのようなものがあるのを見つけた。


 押してみる。


 すると、本棚が動いて、隠し扉が現れる。


「これは隠し部屋ね! よく見つけたわ、ウィル!」




 隠し部屋の中には実験道具や本があった。


 ある本の中に、それは書いてあった。




 賢者の石の作り方。




「賢者の石は魔法を使わないと作れない」


人間の生き血が必要。だから真っ赤なのだ。


「何よ、これ」


「人間の生き血って、怖いですね」


「でも、あのラヴクラフトなら普通に作りそうよね。人命軽視してるし」


 本のページを捲っていくと、ミーナ宛の手紙が出てきた。


「師匠からだわ」




「ミーナへ


 この手紙を読んでいるということは賢者の石の生成方法について知った後かと思う。あれは、みだりに作ってはいけないものだ。ラヴクラフトの誘いに乗ってはいけない。奴は危険だ。賢者の石を大量生産する日も遠くはないだろう。この部屋の右から3つ目の戸棚の引き出しに銃がある。それに私の生き血で作った賢者の石を埋め込んである。君の助けになることを願う」




 ミーナは指示された戸棚を開け、銃を手にする。確かに、深紅の石がはめ込まれていた。


 メモが付いていて、そこには「無限装填銃」リロードの必要がないことが書かれていた。




「師匠……」


「無限装填銃、カッコいいですよね!」




 新たな武器を手にしたミーナ、彼女の明日はどっちだ。




錬金術や賢者の石についてのバイブルは『鋼の錬金術師』です。

本当に名作なのでオススメです。

推しはマスタング大佐で、シンドバッド大佐の造型にもなっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ