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太陽と月  作者: 夢水四季
21/33

周瑜とエルフィン

 オルレアン補給作戦の二週間前。


 太陽国、本陣、休憩室にて。周瑜がエルフィンに話しかける。


「やあ、エルフィン君。最近、君、腐ってるそうじゃないか」


「何ですか。悪いですか」


「悪くはないよ。そういう時期だってあるさ」


「なら、そういう時期なので放っておいて下さい」


「いいや、放っておけないね。ずっと腐ってる訳にもいかないだろう。という訳で、一緒に出かけないかい?」


「何で僕が」


「上官命令。オルフェ君にも頼まれてる」


 エルフィンは渋々、付いていくことになった。




「という訳で、カードショップに来たよ!」


「わざわざヤマトまで来て、カードショップですか」


「Uチェスのお膝元だよ! ここでしか手に入らないレアカードが僕達を待っている!」


「そういえば、あなたコレクターでしたね」


「エルフィン君、エルフィン君。ヤマト縦断スタンプラリーの制覇賞を見ておくれよ」


「限定カード、クイーン「アゲハ姫」のイラスト違い、ですね」


「三枚は欲しい!」


「デッキに一枚しか入れられないのに⁉」


「使用用保存用、布教用の三枚だよ! 何言ってんの」


「えぇ……」


 エルフィンには理解しがたい世界が、そこにはあった。


「さあ今からスタンプラリーに参加しようじゃないか!」


「えぇ……」




 ヤマト縦断は過酷だった。スタンプラリ―のために5日間を要した。これでも周瑜の旅程が分刻みスケジュールだったお陰で、まだ短縮できた方らしい。


 交換場所で「アゲハ姫」のカードを感無量で受け取る周瑜と疲れ切ったエルフィンは対照的だった。


「エルフィン君、君ってデッキに入れないカードはいらない派?」


「そうですね。使わないですし。売りに出します」


「なら、そのアゲハ姫、譲ってくれるよね、ね?」


 確かに、自分は魔術師デッキを使うので、アイドル・姫シリーズのカードは必要ない。


「スタンプラリーの旅費、食費、宿泊費、全部、僕が出したよねえ?」


「わ、分かりましたよ! 渡せばいいんでしょう!」


「ありがとう、エルフィン君!」


(これでは彼の旅行に付き合っただけじゃないか……)


「まだ期間もあるし、もう一回くらい一人で回れるかな」


(オタクの行動力こっわ……)




ヤマトではカードオークションも頻繁に行われている。


「Uチェスアイドル・アリサちゃんの直筆サイン入りカード欲しい!」


 周瑜は、どうやら、お目当てのオークションを見つけたらしい。


 競りのスペースに入ると、しばらく後方彼氏面でオークションを見守る。


「5千!」「一万!」「1万2500!」


 値は、どんどん上がっていく。


「しゅ、周瑜さん……?」


「5万!」


 周瑜は手を上げ、一際通る声で言った。


「それ以上はいないか⁉ ……決まりだ!」


 周瑜はカードを手にして、密かにガッツポーズをした。


(開発倶楽部の給料って良いんですかねぇ……)



アポロン国に帰った二人は、そのまま周瑜の部屋へ行った。


 周瑜の私室はTHE・オタクという感じの部屋であった。ポスター、フィギュア、カード、その他諸々のグッズが整然と飾られていた。


 周瑜はカードが飾られているボードに直筆サイン入りカードを加えた。


 部屋の真ん中にテーブルがあって、そこにプレイマットを敷く。


「手に入れたカードは使ってみたくなるのがUチェリストの性ってものでしょ!」


「僕で良ければ、相手になりますよ」




「じゃあ、バトルスタートだ」




1~4ターン目 お互い、駒を動かす。




5ターン目 周瑜のポーンがエルフィンのポーンを破る。




6,7ターン目 お互い、駒を動かす。




8ターン目 エルフィンのポーンが周瑜のポーンを破る。


「これで、おあいこです」




9ターン目 周瑜のポーン「新人アイドル・ミカン(パワー3000)」がマジック「スキャンダル(相手のパワーマイナス10000)」を使い、エルフィンのクイーン「魔導師ウィング(パワー12000)」を破る。


「クイーンが!」


「すごいでしょ。序盤からクイーンなしはキツイよね」




10ターン目 エルフィンのポーンが周瑜のポーンを破る。




11ターン目 周瑜のビショップがエルフィンのポーンを破る。




12,13ターン目 お互い、駒を動かす。




14ターン目 エルフィンのポーンが周瑜のポーンを破る。




15ターン目 周瑜のナイト「クールアイドル・リカ(パワー10000)」がエルフィンのポーンを破る。




16ターン目 エルフィンのポーンが周瑜のポーンを破る。




17ターン目 周瑜のクイーン「アゲハ姫(パワー13000)」がエルフィンのポーンを破る。


「アゲハ姫も早速活躍できてよかった~」




18,19ターン目 お互い、駒を動かす。




20ターン目 エルフィンのビショップ「魔獣ベヒモス(パワー8000)」が周瑜のポーンを破る。




21,22ターン目 お互い、駒を動かす。




23ターン目 エルフィンのビショップ「魔獣ベヒモス(パワー8000)」が周瑜のポーンを破る。




24ターン目 ビショップ対決。エルフィンの「魔獣ベヒモス(パワー8000)」勝利。




25ターン目 周瑜のポーン「新人アイドル・ミカン(パワー3000)」がパワーアップマジック「事務所所属」を使い、エルフィンのビショップ「魔獣ベヒモス(パワー8000)」を破る。


「ミカンちゃん、ノッてるねえ」




26ターン目 周瑜のルークがエルフィンのポーンを破る。




27ターン目 ビショップ対決。エルフィンの勝利。




28,29,30ターン目 お互い、駒を動かす。




31ターン目 エルフィンのビショップがパワーアップマジックを使い、周瑜のナイト「クールアイドル・リカ(パワー10000)」を破る。




32ターン目 ルーク対決。エルフィンの勝利。




33ターン目 エルフィンのルークが周瑜のポーンを破る。




34ターン目 ルーク対決。周瑜の勝利。




35ターン目 ルーク対決。エルフィンの勝利。


「良いシーソーゲームだ」




36ターン目 ナイト対決。エルフィンの「星獣リーン(パワー9000)」VS「眼鏡っ娘アイドル・サキ(パワー10000)」周瑜の勝利。


「L・O・V・E、ゴーゴー、サキちゃん!」




37ターン目 エルフィンのポーン「見習い魔女・ポポ(パワー4000)」がマジック「パワーチェンジ」を使い、周瑜のナイト「眼鏡っ娘アイドル・サキ」を破る。




38ターン目 周瑜のクイーン「アゲハ姫(パワー13000)」がエルフィンのポーンを破る。




39,40,41,42ターン目 お互い、駒を動かす。




43ターン目 エルフィンのナイト「スカイペガサス(パワー9000)」がパワーアップマジックを使い、周瑜のクイーン「アゲハ姫(パワー13000)」を破る。




44ターン目 周瑜のキング「トップアイドル・アンジュ(パワー15000)」がエルフィンのナイトを破る。


「アンジュ様、降臨!」




45,46,47ターン目 お互い、駒を動かす。エルフィンが罠「水着審査」を踏み、キングのパワーダウン。




48ターン目 キング一騎打ち。「大魔導師マーリン(パワー14000)」のスキルパワーダウンで「トップアイドル・アンジュ(パワー15000→13000)」を破る。エルフィンの勝利。


「チェックメイト」




「良い気分転換にはなったかな?」


「はい。……もしかして、これが目的で?」


「まあ、僕の趣味に付き合わせちゃった形だけど」


「ありがとうございます」


「エルフィン君さ、自分一人で抱え込んでない? 君はまだ若いんだからさ、失敗するのは仕方ない」


「でも、僕がバーガーさんを守れなかったのは事実です。彼を死なせた」


「僕はさ、エルフィン君よりも長く生きてるし、軍にいるから、人が死ぬのは何回も見てきた。今でも慣れないし、一生、心の傷として残り続けるんだろうと思う。だけどさ、生き残った方が笑えなくなるのは違くない? 楽しい時は笑っていいし、悲しい時は思い切り泣いていいんだ。それが人生ってもんだと、僕は思う」


「周瑜さん……」


「だから、これからもUチェス講座の相方として、よろしく頼むよ」


「ええ、こちらこそ」





「僕、魔法とか嫌いなんだよね」


「それを魔法使いの僕の前で言いますか」


「言いますよ。でもエルフィン君のことは嫌いじゃないよ」


「そうですか」


「魔法ってさ、何かズルしてるみたいじゃん」


「ズル、ですか」


「僕は、どうにかして月国の魔法使いに勝ちたいんだよね」


「何か秘策でもあるんですか?」


「前にジャンヌちゃんがマジックキャンセラーって素材を剣に使ってたじゃん。これをNAに応用できればいいんだけど」


「手伝いますよ。実験には魔法使いの役が必要でしょう」


「ありがとう。助かるよ」




 開発は急ピッチで進められ、オルレアン補給作戦でアーサー達のNAにマジックキャンセラーが搭載されたのは、その数日後のことであった。活躍は言うまでもない。


 




正直、公式戦でもないこのバトルがベストバウトな気がします。

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