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太陽と月  作者: 夢水四季
20/33

ヨルムンガンド

領主会議にて、フリードは先日の負けについて、こってり灸を据えられていた。


「いやぁ、大変でしたねぇ」


 フリードに話しかけてきたのはホルムの領主・ヨルムンガンドであった。


 Uチェス6位、飄々とした男だ。


 フリードは面倒臭い相手に会ったという顔をして、無視をしようとした。


「あぁ、無視しないでくださいよぉ」


「何だ」


「楽しかったですか? 理人・アップルとのUチェスは」


「それがどうした」


「これで負け越しじゃないですか。研究が足りないのでは?」


「五月蝿い」


「まあ良いでしょう。次の作戦の指揮は私が執ります。あなたはしばらく休んでいて下さい」


 フリードは返事をせずに、その場を去った。




 現在、月国の領地だったオルレアンがジャンヌ・ヴァルキリアの元に戻り、統治体制も出来かけている。


 オルレアンは先日までヨルムンガンドの領地だったが、出来損ないの部下のせいで、ジャンヌに取り返された。しかも、その部下はジャンヌに入信したとかで戻って来ない。こんなことならば、自分がUチェスの相手をすれば良かったと後悔している。


 このオルレアンをもう一度取り戻す。


 幸い、オルレアンの周りは全て月国で囲んである。兵糧攻めでもすればいいだろう。


 オルレアン再攻略作戦の開始だ。



 ジャンヌの元にヨルムンガンドから書状が届いた。


「取返しにくるか。ヨルムンガンドめ、十年前の雪辱を果たしてやる」


 エコーはジャンヌに、擦り寄りながら言う。


「きっとぉ、ヨルムン様はぁ、エコーのミスを怒ってらっしゃいますぅ」


「それは、そうだろうな」


「だからぁ、エコーのこと、守ってくださいませね、ジャンヌ様ぁ」


「分かっている。お前は、もうダイヤモンド・ウィングスの仲間だ」


「うわぁん、ありがとうございますぅ」


 エコーは嬉し泣きをした。




 オルレアンの四方は全て月国の領地なので、どこからでも攻めることは可能であった。


 それに補給路も絶たれている。


 所謂、兵糧攻めだ。


 敵を包囲し、食糧補給を絶ち、戦闘力を弱めた上で、武力を使わずに降参させる。


 ヨルムンガンドが取ったのは、この戦略であった。




 オルレアン自体は比較的、食糧自給率は高めであったが、こう補給路を絶たれてしまうと、ジリ貧である。


「救援を要請する」


 太陽国リモート、リーダーズ会議にて、ジャンヌはオルレアンの窮状を訴えた。


「早急に対応しよう」


 アポロンは答えた。




補給係に任じられたのはナイト・オブ・スペードであった。


ミーティングルームにて、アーサーが地球儀を指差しながら説明している。


「補給路はただ一つに絞られる。海側だ」


 確かに、細くだが、オルレアンの西側には敵地を通らずに向かえるルートがあった。


「しかし、敵もそれは分かりますよね」


 アンが至極当然のことを言う。


「ああ、この海上で戦闘になるのは必須だ」


「戦闘……」


 アンはハルストンの海戦での、自分の不甲斐なさを感じていた。


「大丈夫だ、次は出来る」


「……はい」


 




 オルレアンに向かう途中には、ヨルムンガンドが配備した艦隊が並んでいた。


「あれを突破する」


「俺が行きます!」 


リンボが先陣を切る。


 アーサーの機体は「エクスカリバー」といい、その部下の機体は「エクス」という。


「俺も行きます!」


ジーンがリンボに続けて、ヨルムンガンド艦隊を攻撃する。


艦隊からの攻撃をかわし、ビームを放ち、艦を落としていく。


「行くぞ、エクスカリバー!」


 アーサーの機体から高出力ビームが発射され、いくつかの艦が沈む。


 これを機に、食糧コンテナの入った艦が動線上に入り込む。


 リンボやジーン、アーサーの機体を先頭にオルレアンまでの道を切り開いていく。


 ヨルムンガンドの用意した艦隊には魔法使いも乗っており、魔法を放っているが、効かない。


 アーサー達の機体にはマジックキャンセラーが施されているからだ。


 開発俱楽部が総力を挙げて作った特別製だ。




 魔法攻撃の嵐の中を駆け抜け、オルレアンに到着、食糧を届けた。


「アーサー殿。感謝する」


 ジャンヌからの謝辞を受け取り、アーサーは帰途に立った。





アーサーと言えば、やっぱりエクスカリバーですよね!

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