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太陽と月  作者: 夢水四季
17/33

ウィルとエルフィン

 太陽国・技術開発室。


「バーガーさん、調子はどうですか?」


 新人のバーガーがNAを操作しているところに、エルフィンが声をかけた。


「はい! 上々です。戦えそうです」


「それは良かったです」


 NAトリッカーの整備をしているテオもグーサインを出している。


「一応、模擬戦をやってみましょうか」


「はい!」




 ペイント弾がトリッカーに当たる。


「やっぱりエルフィンさんには敵わないなあ」


「まあ性能の差でしょう。仕方ありませんよ」




 アポロンズ・ハート、ミーティングルーム。


「次の戦いが決まった」


 オルフェがスライドに映像を映しながら説明をする。


「アテネの所有権をかけた戦いだ」




         ◇




 月国基地アトランティス、ミーティングルーム。


「次の戦いはアテネか!」


 ガルーダがさも楽しそうに言う。


「今回もシンドバッド大佐の隊との共同戦線になるで」


「ふん! 俺の方が強い!」


「何でこうも自信満々なのか疑問やわ」


 今回も光明は留守番で、ウィル、ガルーダ、潤子の三人で任務に当たることになった。




 三人はシンドバッド大佐と合流し、簡単な作戦会議をする。




 両陣営が向かい合っていた。


「あの機体は⁉」


「どうした?」


「あれはエルフィンの⁉」


「エルフィン? 誰だ、そいつは?」


「俺の元上司だ」


「そうか、傭兵時代の」


「あいつを叩けば、戦況が動く!」


「分かった。俺の翼を貸してやる。立花潤子、貴様も鎧を貸せ」


「は、はいっ」


「どういうことだ?」


「俺達は俺達同士を武器として使用できるんだ」


「そんなことが出来るのか」


「ああ。実際にやってみた方が早い。――――ふんっ」


 ガルーダが翼になり、浮いていた。


「ほら、立花潤子、貴様も」


「は、はいっ」


 潤子が鎧になる。


「着ろ」


「分かった」


「よ、よろしくお願いします」


 鎧を着ると、翼も装着されに来た。


「ほら。これで奴を倒してこい」


「ああ。任せておけ」




 戦闘開始の合図が鳴った。


 ウィルは一直線にエルフィンの機体に向かっていく。


 邪魔する者は自分の剣で斬っていった。とどめまで刺せたかどうかは分からない。


「エルフィンさんはやらせない!」


 先ほど斬ったと思った機体が立ち上がり、後ろから襲いかかる。




 部隊の奥にいるエルフィンは、味方が次々とやられているのに危機感を抱いた。


(あれは傭兵部隊にいた、名前は……)


 名前までは思い出せなかったが、あの顔には見覚えがあった。


(僕を恨んでいるでしょうね)


 すごい気迫だった。こちらが圧されていくようだ。


 自分の前にいるのはバーガーだけになっていた。


「この先には行かせない! 俺が止める!」


(バーガーさん……、彼がやられたら次は僕が……)


 恐怖、今まで抱いたことのない感情が胸を支配する。


「……死にたくない死にたくない死にたくない」


 エルフィンは逃げた。


「死にたくない死にたくない死にたくない」




 アポロンズ・ハート母艦。


「は? あいつ逃げ出してる?」


 オルフェはモニターを驚愕した顔で見ていた。




「死にたくない死にたくない死にたくない」


 逃げるエルフィンを確認したウィルは、そちらへ行こうとするが、バーガーが立ちはだかる。


「行かせないって言ってるだろ」


「邪魔だ」


 ウィルはバーガーを斬り捨てる。しっかり、とどめを刺したのを確認した。




 バーガーの足止めが効いたのか、エルフィンは戦闘区域から離脱していた。


「クソッ」


「追うな。もう戻っては来ないだろう。あいつの部隊も壊滅させたしな」


「分かった」


「持ち場に戻るぞ」


「ああ」





 バーガーが死んだ。


「僕のミスです」


 エルフィンは初めて「仲間」が死んだ感覚を味わった。


「反省は次に生かせ」


 オルフェは厳しい言葉を飲み込んで、簡潔に言った。




エルフィンのメンタルの弱さが露呈しましたね。

トリックリックは速い機体なので逃げ足も速いです。

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