4話 アリとキリギリス――そして僕
夏の間、アリはせっせと働き、せっせと食料を集めていました。
キリギリスは毎日、歌い、踊り、遊び暮らしていました。
やがて冬が来て、木々も枯れ、草もなくなり、食べ物はどこにもありません。
キリギリスはお腹をすかせて、アリの家の戸を叩きました。
「アリさん、どうか少し食べ物を分けてください。
夏の間、私は歌ばかり歌っていて、何も蓄えませんでした。」
アリはこう答えました。
「夏のあいだ、どうして働かなかったのかい?」
キリギリスは答えました。
「だって、歌うのが楽しかったんだもの。」
アリはきっぱりと言いました。
「それなら、冬も歌っていなさい。」
キリギリスは、アリの家から追い払われ、
とうとう寒さと飢えで死んでしまいました。
――
僕はこの話を読んだ。
アリが正しいと思い、ひたすら働き続けた。
そして老後は、生活に困らない老後になった。
でも、話し相手も友達もいない。
どうやって時間を潰していいのかさえわからない。
毎日、ただ時間が過ぎていくだけであった。
友達はキリギリスであった。
僕が何度言っても、そんなに頑張らなくても、今を楽しもう。
そして彼の老後の生活は貧しくなった。
でも、多くの友達と貧しい中でも楽しく暮らしている。
僕の選択は正しかったのだろうか。
僕はアリではなくて『人間』だったんだ。
それを忘れてしまっていた。