#6「親子決裂」
6話です。
由人達は分部研究所に戻り、拳也をベッドに寝かせた。幸い、拳也は大怪我と言う程にはなっておらず、気を失っているだけに済んだ。
「ごめん…由ちゃん…」
「お前は悪くない。が、どうして壁美さんはそこまでお前を連れ戻そうと?」
防子の父親は、防子が高校に入学して、すぐに亡くなってしまう。そして、壁美は怪しい新興宗教に入信してしまい、その宗教にお金を注ぎ込んでいた。
友達にも巻き込みたく無いから言えず、由人は母親の看病をしていた為、気づけなかった。
しかし先日、お金が尽きてしまい、その宗教の教祖から娘を捧げるように言われてしまう。それが防子が由人の元を訪れた本当の理由だった。
「さっき言ってたカテラスって…後、由ちゃんのあの姿は…」
「それは…」
由人は防子にカテラスと超戦士の事を説明した。
「そっか、由ちゃんは一年間そんな事をしていたんだね。」
「あぁ…」
「お母さんは元に戻るの?」
「一応倒したらな。まぁ、多少怪我はするけど…」
「そっか…」
すると、そこに未央理が二人の元にやって来た。
「由人さん、大丈夫?」
「未央理…あぁ、大丈夫だ。」
「良かったです。でも、お兄ちゃんはしばらく安静にしてなきゃですね…アリツフォンも修理に時間がかかるみたいで…」
「まぁ…そうだろうな。」
「それで、えぇと、壁玉防子ちゃんでしたっけ?」
「はい…そうですけど…」
「お母さんを止めたくないですか?」
「えっ、でも、私じゃどうにも…」
「じゃあ、放っておくんですか?」
「そっ、そんなわけないじゃないですか!私だって止めれるなら止めたいですよ!」
「やっぱりそうですよね。すいません、意地悪しちゃいました。」
「えっ?」
「では、防子ちゃんにコレを。」
そう言うと、未央理は青色のアリツフォンを防子に渡す。
「これって、由ちゃん達と同じ…」
「未央理…何で?…」
「だって、防子ちゃんは自分の母親がカテラスになっても止めたいと強く思ってたので。それにずっとあんな風になった母親の為に必死に働く根性もありますので。」
「それはそうだけど…」
「これで、お母さんを止める事が出来る…。」
「いいのか?防子。超戦士になったらカテラスと戦う運命になるんだぞ」
「お母さんを止められるなら、それに、また別の化け物が出てきて、みんなを襲うなら、私はそれを止めたい!」
「本気なんだな?」
「うん!私、超戦士になるよ!」
すると、そこで警告音が鳴る。
「バズーカカテラスが現れました!」
「よし、じゃあ行くか!防子!」
「行こう!由ちゃん!」
二人は研究所を飛び出し、現場に向かった。
「頑張ってね…由人さん…防子ちゃん…。」
そして、壁美ことバズーカカテラスは町の建物に次々と穴を開けていった。人々が逃げ惑う中、由人と防子はバズーカカテラスの前に姿を現す。
「それ以上、町を破壊するのはやめろ!壁美さん!いや、バズーカカテラス!」
「やっと、おでましね。」
「もう一人はどこだ?」
「目的を達成したらしいから、帰ったわ。後は好きにしていいって言われてるの。」
「お母さん、何でここまで町をめちゃくちゃにしたの…」
「あなたが、全く出てこないからよ。町を破壊していれば出てくると思ったから、破壊の限りを尽くしていたのよ。」
「そのために町を、こんなにして、許さない!お母さんは私が止める!」
防子は青色のアリツフォンを手に取る。
「そ、それは!」
防子は由人に教えられた手順を実行する。
防子はアリツフォンにアリツチップを装填する。
[Defence IN]
待機音が鳴り響き、掛け声を言った。
「武着装!」
そして、画面をタップした。
[CERTIFICATION]
そして、防子に光が身に纏い、防子は防御の超戦士アリツシーリアに姿を変えた。
青色の超戦士で、フルフェイスの額に盾のマークが付いている。
「防子…あなたも超戦士に…」
「「「「「ゴ~」」」」」
そして、ゴリーク達が現れ、シーリアを襲い始める。シーリアはアリツソードを出し、ゴリークを次々に倒していく。そこにウェッパーが現れる。
「ゴリークは俺が引き受ける。防子はカテラスを!」
シーリアはバズーカカテラスの元に向かい、一騎打ちを仕掛ける。
「お母さん…」
「あなたが素直に私の言うことを聞いていればこんな事しないで済んだのに。」
「考えを変える気は…ないんだね…。」
「やっぱり無理矢理連れて行くしかないわね。喰らいなさい!」
バズーカカテラスは大砲を発射した。そこで、シーリアはアリツシールドを出し大砲を防いでみせる。
「なっ!?フン!威力が弱かったみたいね。なら最大出力で行くしかないわね!」
出力を溜め、発射の準備をしているバズーカカテラス。シーリアはアリツフォンにアリツブレイクチップを装填する。
[Break Standby]
「準備完了!これを喰らって大人しく私に従いなさい!防子!」
[Defence Break]
大砲を発射したその時、シーリアはアリツシールドにディフェンスブレイクを発動させ、アリツシールドはサイズが巨大になり、最大出力の大砲を防いだ。
「な、何ですって!」
その瞬間、シーリアはバズーカカテラスの目の前まで近づき、交差に斬った。
「交差斬り!」
「キャン!」
(クロス斬りじゃないのか…)
ゴリークを片付けたウェッパーはアリツガンにアリツブレイクチップを装填する。
[Break Standby]
トリガーを引き、4発の針弾が発射される。針弾はバズーカカテラスの両手足に命中し、バズーカカテラスを地面に貼り付けた。
「キャン!」
「ほら、お前が決着をつけろ。」
「…うん」
シーリアはウェッパーから、アリツガンを受け取り、地面に貼り付けられたバズーカカテラスを見下ろす。
「さ、防子!あなた、母親を撃つ気!?」
「…町をあんなにめちゃくちゃにしてよく言えるね。それに、私を差し出そうとする人なんて母親じゃない。」
「わ、分かったわ!もうあなたを連れて行かない!もう宗教も辞める!反省するから許してちょうだい!」
「えぇ。好きなだけ反省すればいいわ…刑務所の牢獄でね!」
エネルギー弾を溜め、バズーカカテラスに発射する。
[Weapon Break]
「ハイヤァァァァァァ!」
「キャァァァァァァァン!」
バズーカカテラスは爆散し、壁美の姿に戻った。その後、壁美は病院に運ばれた後、後に逮捕された。
戦いを終え、研究所に報告し、二人はアパートに戻り、ベランダから空を眺めていた。
「なっちゃった。由ちゃんと同じ超戦士に。」
「本当にいいのか?成り行きでなっちゃったけど…。」
「私と同じ思いをする人がいるかも知れないし、そんな思いを出来るだけさせないためにも、私は戦うよ。」
「……そうか」
「それに、由ちゃんも守れるからね!」
「ふっ…全く、言ってくれるよ。」
こうして三人目の超戦士アリツシーリアが誕生し、ALT's Warrorsは戦力が強化されたと同時に、壁玉 防子は母親を失い天涯孤独となるのであった。
嫌な母親…。
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