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#3「一夏の思い出」

3話です。

 武響由人は分部彩絵花博士に一つの疑問を問いかけた。


「そういえば、何で共有機能を付けたんですか?」


「急にどうしたの?」


「直接聞いていなかったので、せっかくだから聞いてみようかと思いまして。ALT's Warriorsはそれぞれの分野に特化していると思っていたので他の超戦士の力は使えないのかと。」


「だって、一つぐらい他の人の力を使えた方が何かと便利で良いじゃな~い。全部使えちゃうと意味がなくなっちゃうけどね。」


「そう言われればそうですね。」


「でもアリツフォンが壊れたらその人の能力は使えなくなっちゃうから気をつけてね~。」


「じゃあ拳也さんのアリツフォンが壊れたら共有されているアリツハンドが使えなくなる、と言う事ですか?」


「そう言う事だね~。」


「それは一人一人気をつけなきゃですね…後、何でAction LET'S TRY何ですか?」


「今日は色々聞いてくるね~。」


「もう、この際なので色々聞いておこうかと。」


「拳也の時はまだ名前がなかったんだけど、拳也は一応空手をやっていたからそれなりに動けたけど、由人君は特に格闘技をやっていた訳じゃないから心配だったけど、武着装したら動けたから挑戦の意味も込めてこの名前にしたの。」


「そ、そうだったんですね…博士にも頼りなく見えてたんですか…。」


「そ、そうじゃなくて、心配で~」


「いや、いいですけど…後は何で超戦士と呼ぶようにするんですか?普通に戦士でいいような気がしますが…。」


「それは、超が付いている方が強くてカッコよさそうだからです!!!」


「あ…そう…。じゃあ、最後に、どうしてここまでしてカテラスと戦うものを作ろうとしたんですか?」


「それは、人々を襲っているのが許せないのもあるけど…」


「?」


「夫と二人で協力してこのシステムを作ったの。そうしたら、カテラスが現れて、そして私やみんなを逃がす為に夫が犠牲になって…。」


「そうだったんですか…。」


「でも、ごめんなさい。あなたをこんな事に巻き込んでしまって…」


「いえ、俺も人々を襲っているのは許せないですし、それにカテラスに対抗できる力を与えてくれた博士には感謝しています!ありがとうございます!」


「由人君…うん、ありがとね。そんな風に言ってくれて…。」


(軽い質問のつもりが湿っぽくなっちゃったな…。)


 その頃…時同じくして、ある所では—


「探せ!探せ~!」


「ゴ~」


「必ず見つけ出してやるぞ…カテラストーン!」


翌日—


 由人は文幸の付き添いで海に来ていた。


「おりゃぁー!」


「きゃ!やったわね~!それ!」


 文幸の監視役に、メイド長の大類桃江、そして護衛として武響由人と分部拳也が水着姿で遠くから微笑ましい光景を見守っていた。桃江と拳也のスタイルの良さに由人は劣等感を持っていた。


「いや~子供達が楽しく遊んでいるのは、平和って感じするわ~。そう思わねえか?由人。」


「それは、まぁそうだけどさ…何で俺達まで海に?護衛ならほかの使用人達を連れてくれば…」


「手が空いているのが、あなた方しかいなかったので。」


「てゆうか桃江ちゃんこそ、屋敷を留守にして大丈夫なのかよ~。」


「弟がいるので大丈夫でしょう。」


「そうですか。そういえば桃江さんってメイド長と言う割にはずいぶん若く見えませんか?」


「あら、どう言う意味ですか?それは。」


「いえ、メイド長と言ったらお婆さんのイメージがあったので、失礼ですがおいくつなんですか?」


「今年で37歳になりますね。」


「やっぱりメイド長としては、若いですね。」


「桃江ちゃんは、メイド長代理だぞ。」


「え!?代理!?」


 桃江は本来はメイドの一人で桃江の母がメイド長をしているが、母親は主である文幸の父親に付き添って、現在は海外にいる。執事長も桃江の父だが、メイド長同様に海外にいる。現在の執事長も桃江の弟が務めている。

 そこで文幸達が、由人達の元にやってきた。


「二人共紹介するよ。幼馴染の体山 育子(ていざんいくこ)ちゃんだ。」


「よろしくお願いします!」


 体山育子はおかっぱ頭の向かって左側のサイドテールで小顔が特徴の文幸の同級生で幼馴染だ。


「育子ちゃん、この人が護衛の分部拳也さんだ。」


「よろしくな!」


「うわー!強くて頼りになりそう!」


「そして、この人も同じく護衛の武響由人だ。」


「うわ~!弱くて頼りなさそう!」


「…ストレート過ぎない?」


 紹介を終えて、時間は過ぎていき—

 二人は不審な人物がいないか見回りに行った。そこに一人の老人が2人に話しかけてきた。


「そこの兄ちゃん達、宝石見ていかねえかい?」


 怪しげな風貌をした老人の前には、宝石が並んでいた。


「いくらなんだよ」


「そうだなぁ~大体50万ぐらいか?」


「高っ!いやでも、宝石だったら安い方?」


「なんでこんな所で売ってんだ?」


「案外こういう所で売れるかもしれねえだろ?」


「そ、そうかな?」


と、そこで桃江がやってきた。


「姉ちゃん宝石好きか?安くするぜ?」


「いや、買わないでしょ…」


「これ、全部偽物じゃないですか?」


「え!?」

「な!?」


「何!?この石三(いしぞう)様が売っている宝石をケチ付ける気か!」


「だってこれプラスチック磨いているだけじゃないですか。」


「「気づかなかった…」」


「み、見抜かれていたとは…」


 そこで懐から、アステロイドの形をした石が服の外に出た。


「石三さん、その石は?」


「それも偽物か?」


「これは、パワーストーンですか?」


 すると、石三は慌てながらその石を必死に隠した。


「こいつは、先祖代々のお守りだ!売り物じゃねえぞ!」


「それは、失礼しました。何故お爺様はこのような商売を?」


「こうでもしなきゃ孫を育てていけねぇからな。」


「そうですか、お孫さんのために…」


「よし!じゃあ今から宝石探しでもするか!」


「な、何を言っとるんじゃお前は!?」


「無かったら探せばいいだろ?海だったら真珠ぐらいならあるんじゃあねえか?」


「あるかな?」


「おーい子供さん達、宝石探ししねぇ?」


「ふーん面白い事言うじゃん。」


「やるー!」


「よーし!じゃあ、じいさんはここにいろよ?」


「こら、待たんか!」


 それから宝石探しを始めたが、簡単には見つからない。石三は由人達に疑問を突きつける。


「何故こんなジジイの言う事を信じられる!?もしこれが、嘘だったらどうするんだ!」


「だったらそれでもいいぜ、ここで本物を見つけて本当にすればいいだろ?」


 その後も宝石探しは続いたが、宝石は見つからなかった。桃江は文幸達と共に近くに休憩に行った。


「悪いな、じいさん。見つけられなくて。」


「いいんだ。必死になっているお前さん達を見ていたら、何だかワシのやっている事が恥ずかしくなってくるわい。」


「ちなみに今までもこんな事してたんですか?」


「いや、今日が初めてだ。孫のためにと思ってすぐに大金を、手に入れようと思って…バカだなワシは…。」


「石三さん…」


「もう二度こんな真似はせんよ。真っ当に働くとするよ。」


「それがいいですよ。」


「そうじゃねぇと孫に合わせる顔がなくなっちまうもんな!」


「そうだな。では、ワシは帰るとしますか。じゃあな兄ちゃん達。」


「さようなら。」


 とその時!


「見つけたぞ!カテラストーン!」


「な、何だこの怪物は!?あっ!?ワシの石を勝手に!」


 一体の禍々しい見た目の怪人が姿を現した!怪人は石三の身体を抱える。そして、石三の懐にしまっていた石を奪い取った。


「何だお前は!石三さんを離せ!」


「俺はカテラスを束ねる物の一人、ルオマー!」


「ほーう?じゃあお前は幹部的なポジションの奴だな。」


「カテラストーンというのは、何!?」


「この石は我らの長の力が封印されている物でな、その石がいくつもありこれはその内の一つだ。」


「じいさんの持っているものがそうだと言いてえのか!」


「ある物って、この石の事だったんだ…そんなの渡すわけにはいかない!」


 ルオマーは石三が持っていた、偽物のプラスチックの宝石を手に取った。


「本来は物だけにカテラスエネルギーを注入し、カテラスを生み出すが、即興だからあまり強力ではないだろう。しかし、これを人間に取り入れたらどうなるかな?」


 ルオマーはプラスチックの宝石にカテラスエネルギーを注入し、石三の体に押し込んだ。


「ぐ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!」


「石三さん!」

「じいさん!」


「よし、カテラス化成功だな。名付けるならプラスチックカテラスと言ったところか。」


「そんな…石三さんが、カテラスに…」


「そして行け!ゴリーク達よ!」


「「「「「「ゴ~」」」」」」


 そう言うとどこからともなくゴリークと呼ばれる奴らが、現れた。


「なんだ、戦闘員的な奴らか?」


「こんなの、今まで出たことないのに!」


「せいぜい苦しむんだな。」


 そう言うとルオマーは石三が持っていたカテラストーンを回収して姿を消した。そして、ゴリークとカテラスは二人に襲う。


「この戦闘員はお前に任せるぞ!」


「分かったよ!武着装!」


 由人はアリツウェッパーに姿を変えた。


「ウゥゥゥゥゥゥゥゥ…」


「じいさん、俺が今救ってやる!」


 拳也は緑色のアリツフォンを取り出しアリツチップを装填する。


[Martial Arts IN]


 待機音が鳴り響き画面にCERTIFICATIONの文字が表れる。


「武着装!」


[CERTIFICATION]


 画面をタップし、拳也は格闘術の超戦士アリツシャーマに姿を変えた。

 緑色の超戦士でフルフェイスの額に拳と蹴りが交差しているマークが付いている。


「行くぞ、じいさん!」


「ブゥァァァァァァァァ!」


 シャーマはパンチを繰り出す。


「弱いな。即興だからか?」


 そこで桃江がこちらにやってきた。


「由人さーん!拳也さーん!どこにいるんですかー?」


 そこに、ゴリークの一人が桃江に襲いかかる。


「ゴー!」


「きゃ!?」


 そこでアリツシャーマが颯爽と駆けつけ、シャーマはゴリークをぶっ飛ばした。


「大丈夫かい?お嬢さん?」


「あ、ありがとうございます…。」


「ここは危険だから安全な場所に避難するんだ。いいね?」


「は、はい//……」


桃江は安全な場所に避難した。


[Weapon Break]


「ゼイアーー!」


 アリツウェッパーはアリツソードでゴリーク達を蹴散らした。

 シャーマはカテラスに飛び蹴りを喰らわせ、アリツフォンを取り出し、アリツハンドを発動させた。


「すまない…じいさん、これで終わらせる。」


 アリツフォンにアリツブレイクチップを装填する。


[Break Standby]


 アリツフォンに文字が表示され、タップをし、マーシャルアーツブレイクを発動した。


 [Martial Arts Break]


「許せ…じいさん!はいやァァァァァァァァ!」


「グゥァァァァァァァァ!?」


 渾身のパンチを繰り出しプラスチックカテラスは爆散した、そしてカテラスの姿が消え石三の姿に戻り、石三は地面に倒れ込んだ。二人は百十九番通報をして、しばらく経って救急車が到着し、石三は病院に運ばれていった。

 そして、由人達は海を後にし、分部邸に戻った。


「今日は楽しかったね。文幸君。」


「また一緒に行こう!育子ちゃん!」


桃江は二人に質問をした。


「それにしてもお二方はどこ行ってたんですか?こっちは襲われて大変だったんですよ。」


「悪ぃ悪ぃ、じいさんを改心させていてな。」


「襲われたって、大丈夫だったんですか?」


「えぇ、緑の色をした御方が助けてくれまして//」


「へ、へぇ~そんな凄え奴がいるんだな~✨」


(すごい嬉しいそうにしてる…)


「あんなに颯爽と助けてくれて、きっと素敵なお方なんでしょうね////」


「きっとそうだな!ハっハっハっハっハ!」


(あれ?桃江さん、もしかしてアリツシャーマに…)


 いつもは真剣な表情が印象的な桃江も、この時は恍惚な表情をしていた。そして、褒められてすっかり調子乗っている拳也となんかえらいことになったなと思う由人であった…。

ある意味思い出になったとさ。

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