#2「分部邸」
2話です。
武響由人は仕事に向かっていた。
そんな中、由人は前にソードカテラスが言っていたある物が、何なのかを考えていた。その事を報告したら、思い当たる節があるみたいで、これを聞いた未央理はすぐに調べる体制に入ったようだ。
そんな事を思っている内に由人は仕事場に着いていた。ここは由人の家から大体40分の所にある屋敷だ。由人は博士の実家であるこの屋敷の警備をしている。分部家は金持ちでかなりの使用人がいる。なぜ分部博士がここで暮らしてないかと言うと単純に開発や研究をする環境が合わないからだ。今は分部博士の兄が家主をしている。そして分部拳也も同じくこの屋敷の警備として、働いている。すると、一人の女性が現れた。
「おはようございます。由人さん。拳也さん。」
この女性は大類 桃江。お団子ヘアーの真剣な表情が印象的なこの屋敷のメイド長だ。兄と兄嫁は今は海外で仕事をしていて、桃江はその間、この屋敷の家主代理をメイド長と同時に務めている。
「今日も警備の方をよろしくお願いします。そろそろ坊ちゃんが学校に行く時間ですのでお見送りの方をお願い致します。」
そう言うと一人の少年が現れた。
「おはよう、二人共。」
この少年が博士の兄の一人息子の分部 文幸。小顔で凛々しく整った顔立ちをしている十四歳の中学二年生だ。
「おはよう、文幸君」
「おっす、文幸」
「二人共今日もしっかり、警備を頼むよ。特に由人は頼りないんだから、もっとしっかりしてよ!」
「は、は~い(汗)」
そして文幸は、門の前で高級車に乗り大勢の使用人見送られて登校していった。
「「「「「いってらっしゃいませ!お坊ちゃま!」」」」」
「いってらっしゃ~い」
「いってらっさ~い」
「お前、随分あいつに舐められてるな。しかも中学生に呼び捨てにされてるし。」
「呼び捨ては別に気にしないけど、そんなに頼りなく見える?」
「お前も戦闘中は頼りになるように見えるんだけどな~。」
「しょうがないよ、文幸君は俺達が超戦士だって事は知らないし。」
超戦士の正体は、研究所内の人間にしか今の所知られていない。
そんな会話をしている内に二人の仕事が始まる。
仕事内容は屋敷内外の警備だ。不審な人がいたら、その場で捕まえて使用人の人に確認してもらい、警察に引き渡す事が二人の主な業務内容だ。警備も使用人の仕事の内なので、使用人の人達も警備はしている。
「警備も使用人達が何人かやってるし、俺達ってやる意味あるのかねぇ~。」
「でも、そうしなきゃ俺達無職じゃないですか。拳也さんだって、研究所で仕事するのが嫌だって言ってたから、博士がここを紹介してくれたじゃないですか。」
「そうだけどさぁ~。何かお情けで雇われてるみたいじゃん?」
「実際そうだと思いますよ?それにカテラスが現れたら、外警備の時に抜けられるし、超戦士としては正体隠している以上、すごく都合のいい仕事だと思いますけど?」
「お、おう…。(こいつ…結構はっきり言うな…。)」
二人は、日勤の担当だ。夜間警備も使用人がしているが、今の所は夜間警備をするようには言われてい。どちらかと言うと夜の方が都合が良さそうだが、カテラスは主に日中に現れることが多い。だが夜に出ないことはないのでどちらとも言えない。
そして、警備をしている途中にアリツフォンに通信が入った。
「カテラス出現!至急現場に急行してください!」
仕事中でもカテラスは出現する。
「今回もお前一人で戦うんだ。由人」
「えっ!?」
「えっ!?じゃないだろう。初めて一人で戦った時は、ビビってたらしいし、その次は俺が助言したりしたが、今回はもう大丈夫だろう?」
「助言じゃなくて、博士の伝言を伝えただけだったような…。」
「とにかく、お前一人で行ってこい!それに一人残ってた方が言い訳しやすいだろ。」
「どう、言い訳する気ですか?」
「便所とでも言っときゃいいだろ。さっさと行け!」
「あーはい!はい!分かりました!」
そう強く言われて由人はカテラスがいる現場に向かった。
**
向かった先には、カテラスが街を襲っていた。
「うわーー!!」「きゃーーーー!!」
人々の悲鳴が響く。そのカテラスは全身が銃の形をしていて、頭上の銃口から真上に空砲を撃ち上げて人々に恐怖を抱かせる。
「未央理。あのカテラスは銃の形をしているぞ。」
「きっとピストルカテラスです。銃弾の威力は大型トラックを粉砕する程の威力をしています。くれぐれも銃弾には警戒してください!」
「さ~て俺様に撃たれて死にたい奴はどいつかなぁ~~。」
そう言うとカテラスは、人々を撃ち殺し初めようとしていた。由人はアリツガンを取り出し、ピストルカテラスに銃弾を連射した。
「あ?なんだぁ?あれ?誰もいねえ?」
由人は身を隠し、アリツフォンにアリツチップを装填する。
[Weapon IN]
待機音が鳴り、画面にCERTIFICATIONの文字が表示される。
「武着装!」
[CERTIFICATION]
画面をタップし、由人はアリツウェッパーに武着装した。武着装を完了させ、ウェッパーはピストルカテラスに姿を表した。
「てめえか?俺を撃ったのは?」
「あぁ、そうさ。お前も探し物をして人々を襲おうとしているのか?」
「一応そう言う事になっているが、俺様は襲撃の方がメインって所だなぁ~。」
「何!?」
「俺様の銃口から発射される銃弾、それが人間共に命中する瞬間、そしてそれによる人間共の悲鳴、その全てが俺様にとっての快感、心が満たされる時なんだよ。最高だと思わねえかぁ~?」
「それのどこが、最高なんだよ!!」
それを聞いたウェッパーは怒りに満ち溢れ、ピストルカテラスに突撃した。
「おっと、くらえ!」
ピストルカテラスから銃弾が発射される。ウェッパーは身をかわし、後ろの木に当たり、その木は粉々に粉砕された。
「あんな物喰らったら、ひとたまりもない…」
「どうした、チビりそうかぁ?」
「そ、そんなわけない!!」
**
屋敷では、文幸が帰ってきていた。
「「「「おかえりなさいませ、お坊っちゃま」」」」
「ただいま~(いつになったら、坊っちゃま呼びやめるんだろ…。)」
「おかえり~」
「ただいま拳也さん、あれ?由人は?」
「え?あ~便所だ便所。」
「ふ~ん」
(まぁこう言っときゃ大丈夫だろ…)
**
ピストルカテラスは銃弾を打ちまくり地面は穴だらけになってしまった。ウェッパーはアリツガンで相手を撃つが、効いてはいない。
「そんなカスみてぇな銃弾効かねぇんだよ!」
そんな中ピストルカテラスは恐怖で震えている少年を発見してしまう。
「おっ、ビビってるガキはっけ~ん❤️」
今にも泣き出しそうな少年に頭上の銃口を向けるピストルカテラス。
「うわ~~ん!ママぁーーー!」
そして、ピストルカテラスは銃弾を放つ。
ウェッパーは死に物狂いで少年の元に向かい、少年を庇い銃弾が直撃した。
「うぐ!」
「うぇ~~~~ん」
「俺は大丈夫だ。早く安全な所に逃げるんだ。」
武着装してるとはいえ、かなり大ダメージを受けてしまう。だが、少年を安心させる為にウェッパーは強がった。そう言うと少年は逃げていった。
「あ~あ、せっかくチビってくれるかと思ったのに、つまんね~の~。」
これを聞いた瞬間、ウェッパーの心の底から怒りが湧き上がる。
「お前!何がチビってくれるかだ!あんな年端もいかない少年を喜んで撃ちやがって!」
「だって、あんな所にいたら絶好のチャンスじゃ~ん❤️」
「何から何までムカつく奴!俺はお前を絶対に許さん!」
怒りが収まらない由人。そう思っているとアリツフォンに通信が入る。通信して来たのは分部博士だ。
「博士?どうしたんですか?」
「あのね、新しい武器作ったから伝えたくて~」
ウェッパーはすぐに、アリツフォンを確認し、新しい武器であるアリツボムを出した。ウェッパーはピストルカテラスの銃口の中にアリツボムを投げ入れる。
「なっ、何を入れやがった!」
アリツボムはピストルカテラスの体内で、爆発した。
「ぐわぁ~~!」
「これで、お前は銃弾が打てない筈だ。」
ウェッパーはアリツソードを出し、ピストルカテラスを交差に斬った。
「喰らえ!アリツクロス斬り!」
「グェェ!ク~ソ~が~~!」
ウェッパーは再びアリツガンを手にして、アリツガンにアリツブレイクチップを装填する。
[Break Standby]
「そんな物効かねえって言ってるだろうがよ!」
トリガーを引いた瞬間、4発のエネルギー状の針弾が発射された。針弾は相手の両手足に命中し、ピストルカテラスは廃ビルの壁に貼り付けられた。
「うっ、うぉぉわぁぁぁぁぁ!たっ、助けて!助けてくださ~い!」
「他人を平気で殺そうとするくせに、自分が殺されそうになったら命乞いか。(こういう小物みたいな奴、本当にいるんだ…。) 倒す前に聞きたい事がある。ある物とはなんだ!」
「そ、それは私もよく知らないんです~。」
「本当だな!(口調も一人称も変わってる…)」
「は、はい~!なので見逃してくださ~い!」
「これだけ街を壊しておいて!増してや子供を喜んで撃っておいて!どの口が言ってやがる!自分が行った愚業を後悔しながら倒されろ!」
アリツガンの銃口にエネルギー弾が大きく溜められ、目の前に現れ、音声と共にエネルギー弾が発射される。
[Weapon Break]
「ゼイアァーーーーーー!!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ピストルカテラスに直撃し、ピストルカテラスは爆散した。
「うっわ…初めて使ったけどこんな感じなんだ…すっごい…。」
カテラスを倒し、由人は屋敷に戻った。屋敷に戻ると拳也と文幸が外におり、文幸は由人に言った。
「ねぇ、由人…今の今までトイレに行っていたの?」
「えっ!?まぁ、うん…」
「そんなに、お腹が痛かったの?だったら今日もう帰っていいからね。」
「えっ!?いやいや、もう痛くないから大丈夫だよ!?」
「そうなの?だったらもっと体を鍛えておいたほうがいいよ!」
「あっ…はい…そうします…。」
そして文幸は自分の部屋に戻って行った。
「何か本気で心配された…結局俺は頼りない存在か…。」
しかし由人はカテラスが非道な存在だと再確認された。由人はカテラスを打倒にすると改めて誓ったのであった。
ちょっと、敵を過激にし過ぎました(汗)
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