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#14「由人の挫折、防子の慰め」

14話です。

 アリツウェッパーはスピアーカテラスにトドメの突きを放たれる!

 そこに、アリツシーリアがウエッパーの目の前に現れ、アリツシールドで突きを防ぐ。


「むっ、邪魔が入ったか。わざわざ負け犬を助けに来たか。」


「よ...ウエッパーは負け犬じゃない!」


「スピアーカテラス、カテラストーンを見つけたから引くぞ。」


「御意。次に会う時は、その負け犬で腰抜けの姿にならないようにするんだな!」


 捨て台詞を吐き、二体の怪人は去っていった。


「大丈夫!由ちゃん!」


「...何とかな…俺は屋敷に戻るよ。」

 

 由人は屋敷に戻って、仕事に戻って行った。


 **


 仕事を終えた夜ー

 由人は部屋の隅で体育座りをして、一人で項垂れ、涙を流し、啜り泣いていた。

 そこに、玄関の戸を叩く音と共に声が聞こえてくる。


「由ちゃ〜ん。入るよ〜。」


 隣の部屋に住んでいる、防子が由人の部屋に入ってくる。

 由人の啜り泣く声が聞こえてきたので、心配して部屋を訪れたのだ。そんな由人の様子を見て、防子は心を痛める。

 防子は部屋の真ん中にあるテーブルのまえにある、二枚の座布団に由人を移動させる。由人は落ち着き始め、口を開く。


「俺...年齢を重ねて、大人になって、働き始めて、そして、超戦士になって、自分は立派に変わって、成長しているんだと思っていた...。」


「...うん、私も由ちゃんは成長してるとそう思うよ。」


「でも実際そんなことはなかった...不安になると、怖気づいて、体が動かなくなって」


「そ、それはー」


「俺は何も変わってなかったんだ!不安になったら、怖気ついて、泣いて、腰抜け呼ばわりされて、恐怖心に捉えて、結局、昔の臆病で泣き虫なままだったんだ!」


 そう言って、由人はテーブルを叩き、テーブルに項垂れ、先程同様に涙が流れ、啜り泣いてしまう。初めて、戦いの中で恐怖に襲われ、身に力が入らない有り様であった。

 その様子を見て、防子は由人の背後に回り、由人の事を後ろから、そっと優しく包み込む様に抱きしめ、頭を撫でながら慰めるように言う。


「気負いすぎだよ。もし私も同じ事になったら、私も絶対落ち込むし、何なら由ちゃんより落ち込むかもしれない。」


「...」


「変わってないって言うけど、私は全然そんなことないと思うよ。私が無理矢理連れ帰されそうになった時、必死になって助けてくれたし。」


「...そりゃあ、あんなの誰だったそうするでしょ...。」


「そうなのかなぁ?でも、あの時の由ちゃん、カッコ良かったなぁ...」


「...そんなにカッコ良かったの?」


「だって、止めてくれなかったら、今頃どうなってたか分からないし。」


「それは...そうかもしれない...」


「でもね、由ちゃんは一人でやっちゃおうとしちゃう事があるじゃない?何でもかんでも一人でするのはやめた方がいいと思うな。」


「うっ...」


「誰かに頼るのも大事だよ!私だって成長しているんだから、私の事も、もっと頼ってほしいな!」


 まさか防子にそんな事を言われるなんてー

 由人はまさか防子に自分のことを見抜かれるとは思ってなくて、かつて母親に言われた事を防子に言われるなんて想像もつかなかった。


「まさかお前にそこまで見抜かれてるとは思わなかった。」


「幼稚園から、ずっと一緒だもん。分かるよ。」


 防子は由人の肩に寄り添い言った。


「だから、もう気負わないで。もし、また落ち込んじゃったら、私がいつでも励ましてあげる。だから元気だしてね。」


「...ありがとう。防子。俺は防子みたいな、ここまで寄り添って、励ましてくれる幼馴染がいるのは幸せな事かもしれないな。」


「も、もう//そんな事ないよ//大げさなんだから//」


 由人は防子の励ましのおかげで、さっきまでの項垂れた姿とは一変し、スピアーカテラスに一刻も早くリベンジを果たしてみせるという強い闘争心があった。


 **


 翌日ー

 由人は仕事をしつつ、常にスピアーカテラスが現れないか、気を張っていた。

 その様子を見ていた文幸と育子は驚きを隠せなかった。


「由人さん、今日はいつにも増して真剣だね。」


「でも、なんか見栄えが悪いなぁ。イラついてるみたい。」


 由人が外警備をしていると、屋敷の門外にはノイターとスピアーカテラス、ゴリークの集団が屋敷を覗いている。

 由人はすぐさま、アリツウエッパーに武着装し、ノイター達の前に駆けつけた。


「また会ったな!ノイター!今度はその屋敷を探そうとしてるのか?そこは前にルオマーが探してたぞ!」


「あいつは、逃げ帰ってきて捜索したかどうかうやむやな状態でな。なので改めて捜索させてもらうぞ!」


「そんなことさせると思うのか?」


「そうだろうな...スピアーカテラス...やれ」


「御意」


 ノイターの命により、スピアーカテラスがウエッパーの前に、再び立ち塞がる。


「ほう...先日とは違い、闘争心が漲っているな。」


「そうだな。昨日までの俺だと思ってたら大間違いだ。それを証明してやる。」


 ウエッパーはアリツスピアーを出現させ、スピアーカテラスに挑む。

 ウエッパーは先手必勝に突きを放つが、これを見事に躱され、相手もその隙に突きを放つが、ウエッパーもこれを見事に躱す。

 相手に確かに違うということを見せつけ、応戦していく。

 相手の突きを防ぎ、自分の突きが防がれ応戦していく中、相手の本気の突きが放たれ、ウエッパーは屋敷を囲む塀に衝突して、屋敷の敷地内に吹っ飛ばされてしまう。


 窓の外からその様子を見た文幸と育子は、急いで屋敷内にカテラスが出た事を呼びかけた。


 吹っ飛ばされたウエッパーは、先日同様に槍の先を目の前に突きつけられ、追い詰められてしまう。


「先日よりは勢いがあったが、一歩及ばなかったな。では今度こそ、その首もらうぞ!」


 スピアーカテラスがトドメをさそうとしたその時、向こうから何かが迫る音が聞こえる。


「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」


 そこには、桃江と環助、数十人の使用人達がさすまたを持って全力疾走で迫り、スピアーカテラスは槍を落とし、身柄を抑え込まれた。


「何だこれは!?み、身動きが...取れん!」


「今だ!ウェッパーさん!」


 文幸が大声で言い、ウェッパーは立ち上がる。

 アリツスピアーにアリツブレイクチップを装填する。


[Break Standby]


 待機音が鳴り響き、武器に付いているボタンを押す。


[Weapon Break]


「はあぁぁぁぁぁぁ!」


 音声がなった瞬間、ウエッパーは力強く地面を蹴り、叫びながら空高く飛び跳ねる。

 ウエッパーが飛び跳ねた事を確認した桃江達が一斉に退け、全身全霊を込めた突きをスピアーカテラスに急降下して放った!


「ゼイアァァァァァァ!!」


「ぐふぅ!?まさか、拙者が抑え込まるとは...無念」


 スピアーカテラスは爆散した。


「くっ…スピアーカテラスが倒されるとは!…カテラストーンは無いようだから、撤収だな…」


 ノイターは静かに、この場から撤収した。

 ウェッパーは屋敷内の人達に感謝の言葉を述べた。


「みなさん、ありがとうございました。俺一人の力では勝てなかったです。」


「いいんですよ。これで私達も稽古の成果が実感できたので。」


「では、みなさん、俺はここで失礼します。」


 ウエッパーはその場を去っていった。由人の姿に戻り、しばらくたった後、屋敷に戻った。


「あっ!由人!今までどこ行ってたの!?」


「えっと、それは...」


「最近、やっと頼りになると思ってたのに!やっぱり由人は頼りないままじゃん!本当にもう、情けない!」


 文幸は由人に激しく叱責し、同時にカテラスに襲われた時にその場にいなかった事に怒っていた。

 

(ちゃんと助けてくれるんだな...)


 由人は叱責されながらも、周りがちゃんと助太刀してくれたことに感心していた。


「なに笑ってんの!」


「あっ...いや...ごめん...」


「文幸君、もうその辺で」


「次、頼りにならなかったら知らないからね!」


 育子が文幸に怒りを抑え込み、二人は由人の元から去った。

 由人はどれだけ文幸に頼りない、情けないと言われても、これでいいんだと思いつつ、これからはもっと母の教えを元に、周りと協力しながら、カテラスを倒していこうと心の中で思うのだった。


今回はいい話書けた思いました。

感想や意見を頂けたら嬉しいです。

次回は来週の日曜日更新です。

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