#10「ニュースペーパーファッション」
10話です。
文幸は育子を連れて、能野町の町中に来ていた。先日家が爆破され、気持ちが落ち込んでいる育子を思っての行動だった。育子は申し訳なさそうに文幸に言った。
「ごめんね…何だか気を使わせちゃって…」
「いいんだよ、育子ちゃん達は被害者なんだから。今日は色々な所に連れて行くから元気だしてよ。」
「ありがとう…でも文幸君、一応屋敷のお坊ちゃんなのに大丈夫なの?」
「あぁ…それは…」
そう言って文幸が指を指した先には、数人のメイドと執事が物陰に潜んでいた。その様子に育子も驚きを隠せなかったが、同時に安心していた。
二人はNOUYA MOLLに訪れていた。おもちゃ屋に行って、育子の好きな女児アニメや魔法少女のグッズを見たり買ったりした。
「育子ちゃんはずっと好きなものが変わらなくてすごいね。」
「な~にそれ?私が子供っぽいって言いたいの?」
「いや、成長しても変わらない所があるのが、素直にすごいと思っただけだよ。」
「…褒めてるの?それ?」
「もちろん。」
そう言いながらも、育子の顔は笑顔があった。
その後は服屋に行ってお互いの服を選び合ったりした。
「文幸君はこうゆう所で服を買ったりする?」
「いや、買わないかな。」
「文幸君の服を選びたいんだけど、だめ?」
「育子ちゃんに選んでもらえるなんて、嬉しいな//」
楽しそうに服を選ぶ育子。育子に服を選んでもらった文幸もまた楽しそうな様子だった。
フードコートで昼食やアイスを食べたりその後に、公園に行ってブランコに乗ったり、ベンチで休憩したりと有意義な時間を過ごした。
育子は周りを見渡し、一際目立つ建物に指を指した。
「あれって、文幸君の会社だよね。」
「ん?あぁ、分部工業ね。」
文幸の両親が運営している、分部工業は能見町で一番でかく、様々な機械の部品を作っている。中には二足歩行ロボットに使われるものもある。
「さて、元気になったかな?育子ちゃん?」
「うん!すっかり元気になったよ!今日は色々連れて行ってくれてありがとう文幸君!」
「元気になってくれて良かった。さて、そろそろ帰らないと使用人達が心配するから帰ろう。」
そして二人は帰路についていた。その途中の河川敷での橋の下に二人は人影を発見した。二人は近づいてみるとそこには新聞紙一枚だけしか着ていない親子がいた。
「なんだ!?変態か!?」
「どうする!?文幸君!?」
「警察に通報する!?」
すると新聞紙を着ている少年が二人に話しかけた。
「あれ?文幸に育子ちゃん?」
「もしかして達夫くん?」
「それじゃあ、あの二人は両親か…」
新聞紙親子の正体は、二人の同級生である達夫とその両親である達則、達美であった。なぜこんな河川敷にいるのか二人は聞いた。
「実は家に帰ったら、家が粉々になっていてね。ウチは貧乏だから、仕方なく河川敷に来たんだ。みんな今、服が汚くて洗ってるから、仕方なくこんな格好をしているってワケ。」
達則は二人に説明した。この家族も育子達と同じくボンバーカテラスに家を爆破された被害者だった。
「私も同じです。私の家も帰ってきたら粉々になってて…」
「育子ちゃん家も?」
育子は文幸に提案した。それは達夫達も屋敷に住まわせる事だった。出来ない事ではなかったが、達夫達は悪いと思い、育子の提案を拒否した。
文幸は屋敷に電話をした。そして電話が終わり、文幸は達夫達に言った。
「環助に電話したら許可が取れたから、育子ちゃんに免じてあなた方を僕の屋敷に住まわせる事にします。」
「い、いいのか?文幸」
「そんなの、悪いわ。」
「いいんですよ。育子ちゃんと同じ被害者ですし、それにこんな所に、増してやそんな格好でいたらいつか通報されますよ?(後、もしかして下着着てない?)」
「文幸君…ありがとう…そんな事言ってくれるなんて…でも、やっぱり私達はここにいるよ。」
しかしそこにゴリークを引き連れたノイターが現れた。ノイターはカテラストーンを探し始める。そこでノイターは文幸達に気づいた。
「こんな所に人間か…見られたからにはしょうがない。」
ノイターはカテラスエネルギーを達夫とその両親に注入し、三人は怪物へと変わり果てた!
「「「ニュウゥゥゥ…」」」
「行け!ニュースペーパーカテラス達よ!二人を始末しろ!」
ニュースペーパーカテラスとなった達夫達は自我を無くし、ノイターに言われるがまま二人を襲い始めようとした。そこにアリツウェッパーが現れた。
「大丈夫か君達!」
「お前は、アリツウェッパーか…よしゴリーク達!ニュースペーパーカテラスと共にアリツウェッパーを始末しろ!」
「「「「「「「ゴ~」」」」」」」
ウェッパーはアリツアックスを出し、ゴリークを次々に処理した。アックスでゴリークを次々と薙ぎ倒した。
「ウェッパーさん!あの怪物は僕の同級生なんだ!」
「任せろ!一瞬で倒してやる!」
アリツアックスにアリツブレイクチップを装填する。
[Break Standby]
待機音が鳴り、ボタンを押す。
[Weapon Break]
「ゼイアーー!」
アックスのウェポンブレイクが発動し、ニュースペーパーカテラス達に横に一文字斬りした。
ニュースペーパーカテラスは爆散し、三人の姿は戻った。
「ここにはカテラストーンは無いようだから退散しますか…」
ノイターは退散した。
「逃したか…君達悪いが救急車を呼んでくれないか?」
「分かりました…」
しばらくして救急車が到着し、三人は病院に運ばれた。
「大丈夫なのかな?達夫君…」
「ウェッパーさんは一瞬で倒したからさほど怪我はしないだろうと言って居たけど…」
「でも…こんなのあんまりだよ…それに自分もこうなっちゃうかもしれないなんて考えたら…私…」
「大丈夫…育子ちゃんは何があっても、僕が守る…」
「文幸君…」
二人はそう言いながらしばらく抱きしめて合った。周りにいた護衛のメイドや執事達もしばらく涙を流していた。
短いなと思いました。
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