3-脳筋娘と初配信
~イーストの町~
キャラクタークリエイトが終了した美咲はイーストの噴水前に転移していた。
「へぇ~ここが『AOW』のせかいかぁ~。」
美咲がうっとりと景色を見てしまうのは無理もない。そこには日本とは違い、化学工場などは無く、中世ヨーロッパのような世界が広がっていたからだ。
するとそこへ………
「やっほー!えっと……サキ!」
「?………!寧々!」
「そうだよ!『美咲現る所にこの寧々現る』だよ!」
そうして美咲は寧々と無事合流した。
「でもなんで寧々は私の場所が分かったの?」
「サキ。私はネネだよ。」
「?同じじゃないの?」
「気持ちの問題さ!」
実はこの寧々、美咲の事を脳筋と思っているが自分自身のことをお調子者だと思っていない。それが意外と配信では人気なのだが………
「それじゃあ配信の準備は出来てる?」
「うっ……出来てます。」
「それじゃあ始めようか。サキは自分のチャンネルを開いてね。一応宣伝とかはしといたから!」
「そんなことをしなくても………」
「どうせサキの事だから『サキチャンネル』とかにしたんでしょ?」
「何故それを!?」
「したんかい。」
寧々は半ば呆れつつもそそくさと配信の準備をした。もちろん美咲も。
「それじゃあ準備は出来たかな、サキ?」
「う、うん。」
「それじゃあ始めるよ。せーの!」
美咲と寧々は同時に配信ボタンをタップし、配信を開始した。
・1コメ
・うぽつ
・ネネのリア友の配信と聞いて
・ネネ、その子がネネのリア友?
配信が始まると直ぐにコメントが流れた。
「そうだよ~!紹介しておくね。私のリア友のサキだよ!」
「サ、サキです!宜しくお願いします!」
少しの礼儀を知っている美咲は緊張しながらも挨拶をした。
・ネネが言ったような脳筋っ娘に見えないような…………
・それね
・本当に脳筋かな?
「ん?脳筋?」
「あーあー!!サキは知らなくて良いの!気にしないで!」
・これは本人には言っていないのか?
・こんな可愛い子に脳筋なんて言えないでしょ。
・それな
・ほんそれ
「可愛いなんてそんな……」
「満更でもなさそうだね、サキ。」
「そそそんなことないよ!」
「はいはい。」
視聴者にからかわれた寧々は美咲に仕返しをした。
そこへ1つのコメントが流れた。
・ネネの種族は一族って分かるけどサキちゃんの種族は獣人種かな?
「そうそれ!私も気になっていたんだ!」
「種族?」
「そう。私が言うのはなんだけどさ、サキって面倒くさいことは取り敢えず上の項目を選ぶでしょ?なのになんで獣人種なのかなぁ~って思って。」
「それはね、ランダムを選んだからさ!」
寧々からの質問にドヤ顔で答えた美咲に視聴者は素早く反応した。
・ドヤ顔wwwwww
・でも可愛いから許せるww
・ランダムにしても獣人種になったんだww
「獣人種じゃないよ?」
「へ?」
・へ?
・へ?
・へ?
「ん?だから獣人種じゃな───」
「獣人種じゃないの!?」
「う、うん。」
・しゃあその猫耳と尻尾は何なんだ!?
・ドユコト?(困惑)
・獣人種だけど獣人種じゃない?
「サキ、こんなことしたらダメだと分かっているけどステータスを見せて下さい!」
「え?良いよ?」
「やっぱりダメだよね……え!?良いの!?」
「う、うん。」
そうして美咲は普通は秘匿するステータスを寧々と視聴者に堂々と見せた。