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君と終わりの世界で  作者: みかん
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包帯だらけの少女

目を覚ますと、私は白いベッドの上に寝かせられていた。周りを見渡すと誰もいないようだ。ここはまるで学校の保健室のようだ。いつもの中学校を思い出して思わず涙が出る。私の友人も殺されたのだった。

トントン。

扉をたたく音が聞こえ私は 「どうぞ」 といったら中から金髪の私と同じくらいの歳の男の子が食べ物をもって入ってきた。


「大丈夫か?これご飯。」


男の子は私の机の上に食べものを置いた。私はその中からリンゴをとり齧る。


「お前。先生に挑むとはすごいな。」


「先生?」


「お前を連れてきた男の人。あの人とっても強いんだぜ!みんな先生って呼んでるよ。」


あんなふざけた男が先生ってよばれているのか。とてもそのようには思えない。リンゴを置きは立ち上がって外に出ようと考える。


「お前、どこにいくんだよ。先生が呼んでたぞ。」


「…私は外に出る。」


「ええ??」


男の子は目を大きく見開いて私を見る。


「…は?」


ガラッとドアを開けると目の前にあの男が立っていた。内心とても驚いた。


「外に出る。カードを渡せ。」


「外に出るの?僕に一回負けてたけど?」


余計にイライラする。私には「負ける」という言葉は癪だ。一回殴ってもいいだろうか?私は男の横を通り過ぎるとそこは人が集まっている広場のようなところに出た。私は一通り周りを見回した。そして一人の子が目に入った。その子は全身包帯で巻かれている女の子だった。部屋の隅っこでひっそり皆を見つめている。病気なのだろうか?私の母も病弱だった。その子のほうに興味が沸き私は話しかけてみることにした。


「ねえ。なんで部屋の隅っこにいるの?」


私が質問を投げかけたらその子はやわらかい笑顔を浮かべて


「私、みんなの近くにいれないの。」


といった。どうしてだろうか。


「なんで?」


「話せば長くなっちゃうけどいい?」


とその子は聞いてきた。私は結構長い話にも耐えられるほうだ。私は頷きその子の話を聞いてみることにした。この子の近くにいるとなぜかとても心地よくなる。


「私ね。6か月前くらいに怖い人達につかまちゃったの。それでね。実験施設につれていかれてある薬を打たれたの。」


「…それは…?」


私は恐る恐る聞いてみた。


「それはね。外に沢山いる怪物になっちゃう薬だった。」

「…え?」


私は理解がすぐには追いつかなかった。言葉の意味を理解したとき自分でもなんだかわからない気持ちに襲われた。

その子は笑顔で話し続ける。


「それで閉じ込められていたところを先生に助けてもらったの。」


…この子は笑いながら話しているけれど怪物になる薬だと知ったときはどんな気持ちになったのだろうか?つらかっただろうに。そう考えるととても心が痛む。


「私、あの怪物になるまであと半年もないんだって。でもね、いずれ怪物になる私でも先生はこの場所…we resistに置いといてくれたの。いつ怪物になるのかわからないからみんなと一緒にいたら傷つけちゃう。だから端のほうにいるの。」


その子は太陽のような笑顔を私に向けてきた。


「……え?」


気づけば私の頬には涙が伝っていた。悲しくもないのに涙が出る止めようとしたけどどんどん流れてくる。


「えっ?えっ?大丈夫?」


その子はなおも私を心配してくれている。ああ…。この子は太陽のような子なんだな。


今まで私は人に裏切られてきた。とある町で生き残りの人たちと会ったことだ。

その人たちは助けを求めていた。ここら辺は怪物が多く助けてほしいと。

そこでその人たちがいるビルとやらに行った。中に入ったらすぐに中にいる全員から銃を向けられて食い物を出せと言われた。そして食べものなら腐るほどあるのでその中の半分を渡した。

その瞬間、口にハンカチを充てられて、ハンカチにしみこませた睡眠薬のようなものを吸されて私は気を失った。

そして目を覚ますと怪物がいっぱいいる道路に放り出されていた。そして銃を撃ってきたやつらがケラケラ笑いながら安全な場所でこちらを見てくる。その瞬間とんでもない怒りが沸いた。そしてビルごと拳一発で町をつぶしてやった。人は自分のことしか考えていない。ほかの生き物のことなんてどうでもいいんだな。



その時から誰も…何も信じられなくなった。



we resistという言葉がでてきましたが、意味は「私たちは抗う」になります。

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