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ホームにて

嵐の朝だった。


僕はホームのエレベーターの陰に隠れて雨風を凌いだ。


学生鞄と野球道具を入れたバックを床に置き


未だに来ない電車を待つ


「もう、帰ろうかな」


先生に連絡して帰らしてもらうか迷っていた


きっと、僕と同じ連中もいるだろう。


「あー、濡れちゃった〜」


僕の隣に会社員だろうか女性が慌ててやって来た。


年上の女性。少し気になりながらも僕は先生に連絡をした。


先生によるとやはり僕と同じ連中が多くて学校は臨時休校になるそうだ。


やったー!帰ってゲームしよっ


けれど、僕は何となく女性の方に視線を向けると女性は会社に電話していた。


【課長もう少しで電車動くと思うんですが・・・はい・・タクシーですか・・はい・・わかりました、すぐに、向かいます、すみません失礼します】


なに、謝ってんだろ、悪いの天候なのにな。クスッと笑ってしまった。最低だ。


「なに?」


笑ってのが見えてしまったんだろうか女性を怒らせてしまったようだ。


「いえ、なんでもありません」


「笑ってなかった?」


「笑ってません」


慣れてないのに毅然とした態度で返答する。大分滑稽だ。


「まあ、いいわ、私急ぐから次会ったら話しましょう」


「えっ、あ、はい」


そういうと女性は立ち去った。


ダルいな、会いたくないな、でも、少しタイプだな。


ーーー


いつもの時間にホーム立つ


スマホでプロの投球を見つつイメージトレーニングをして


今日のトレーニングの内容を確認した。


「へー、君ピッチャーやってんだ?」


「うあっ、ビックリした、なんですか?」


「いやいや、なんですか?じゃないよ、覚えてないの私の事」


あの日の女性だ。うあー会ってしまった。謝ろう。


「あの日の事は謝ります.ごめんなさい」


「素直じゃない、最初からそうしてれば良かったのよ。でっあの日なんで笑ったの?」


正直に話そう。


「あなたが謝っているのが変で笑ってました」


「なんで?」


「天候が悪いのにあたかもあなたが悪いみたいに謝ってカッコ悪いなって思って」


「そうね。そうかも知れないね。もう癖になってるの謝ること、なにも悪い事していないのに『すみません』って私も最初はおかしいなって思ったけどね慣れてしまって違和感も感じなくなったの君もわかるよいつかねっ」


「僕はわかりたくないです。僕は僕らしくあなたのようにはなりたくない。けど、あなたを笑ってしまった事は僕が軽率でした。改めて謝ります。」


電車がホームに着くと女性は僕と別車両に乗る。


別れ間際に女性は僕にクスッと笑った。


ーーー


僕は大人になりプロ野球選手になった。


家で待つ妻とこれから産まれてくる子供の為に今日も


マウンドで三振を取りチームを勝利に導く。


家に帰ると、妻の手料理に頬が緩み


妻と一緒に食卓を囲む


その話題は、いつも同じ




あの日のホームでの出来事。






読んでいただきありがとうございました^ ^


また、近日投稿します!

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